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なぜ「しごと」とひらがなで書くのか 〜 「仕える事」から「為す事」へ

前回の記事では「身の丈」という言葉に込めた私の想いをお話ししました。今回は、「しごと」という言葉に込めた意味の話です。なぜ私は「仕事」と書かずに「しごと」とひらがなで表記したのか、そのウンチクを語らせてください。

私たちが普段使っている漢字の「仕事」が、日本の歴史上初めて文献に登場したのは平安時代とされています。しかし、この時の読みは「つかまつること」で、まだ「しごと」という”音”は存在していませんでした。ちなみにこの時の「仕事(つかまつること)」の意味は「朝廷に仕えて行う職務」です。

〈訂正: 2026/8/6〉
改めて調べてみたらここはかなり怪しい情報だったので削除します。平安時代に「しごと」という"音"がなかったことは確かそうだったので、そこだけ残します。

「しごと」という読みが初めて文献に登場するのは鎌倉時代だそうです。鎌倉幕府第三代将軍・源実朝が詠んだ(下記参照: 次のように訂正→)[源実朝が編纂させた『近代秀歌』の中で、藤原定家が源俊頼の詠んだ]和歌に対して「上手のし事(じょうずのしごと)」(下記参照)と評した文献が、最初に確認できる「しごと」です。この時の「しごと」の意味は、「職人の技、手仕事」でしょうか。

〈訂正: 2026/8/6〉
・「上手し事」は間違い →「上手のし事」に訂正
・和歌を詠んだのは、源実朝ではなく源俊頼。
・源実朝が藤原定家に和歌の解説本を依頼。定家がその解説本『近代秀歌』の中で、源俊頼の和歌に対し「上手のし事」と講評した。

参考にしたサイト

ところが室町時代になると、「しごと」という読みと「仕事」という表記が一致してきます。『太平記』に「これ、ひとえに、信濃守(しなののかみ)が仕事の、いささか違ふ所あるによりて……」という箇所が出てきます。これが「仕事」を「しごと」と読んだ最古の文献と言われています。ちなみにこの部分は、ある人物の暗殺を信濃守に命じたのだが、彼はその”仕事”に失敗した、という意味です。なので、この時の「仕事(しごと)」は「任務」という意味でしょうか。
これ以降現在まで、「仕事(しごと)」は「目上の者に仕えて命じられた行動や奉公をすること」という意味で使われるようになります。

ところが、明治の文明開化が「しごと」の意味を豊かにしていきます。それを行ったのは、森鴎外であり、夏目漱石です。彼ら明治の文豪たちは、「命令されて行うしごと」に対しては「仕事」という漢字を通常通り使っていましたが、「自分の意志で行うしごと」に対しては「為事」という漢字を割り当てたのです。(私流に言うと「自分の理念に命じられたしごと」という意味と捉えることもできますが、理念の話はまた別の機会に。)

私が「身の丈しごと」を命名するとき、「しごと」とひらがなで書いたのは、「為事」の意味で捉えたかったからです。そして、従来の「仕事」の概念から自身を解き放ち、もっと自由に自分の「為事」を考えてほしい、という願いを込めているからです。
また、「為事」という漢字には他にも想像をかき立てられます。それは「為」という漢字には「する・なす」という行為の意味と同時に、「何かの『ため(目的)』」という意味も含まれているからです。私はここから、
「ある目的(理念)を持って、自分の意志で具体的なアクションを起こす」
という、人の生き生きとした姿を「為事」の背後に見てしまうのです。

「大きなコトを成したいわけじゃない。大金を稼ぎたいわけでもない。ただ自分の本心に従って、自分のサイズ感で、誰かを笑顔にするために『事を為す』。」 そんな主体的な「しごと」のあり方を、このサイトを通じて皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

[序#02]


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