MVP ARCHIVE | History of Flight 06 : Breaking the Sound Barrier / 音速突破

音速は「壁」だった
第二次世界大戦後、 航空機は急速に高速化していた。
しかし速度が音速に近づくと、 激しい振動や操縦不能が発生し、 多くの航空機が限界を迎えた。
当時、人々はこれを 「 音の壁( Sound Barrier )」 と呼んだ。
音速は、航空技術に残された最後の大きな壁だった。
Bell X-1
この壁を突破するために開発されたのが、 アメリカの実験機 Bell X-1 である。
ロケットエンジンを搭載し、 母機から空中発進するという特殊な方式を採用。
機体形状は、 高速でも安定すると考えられた 50口径ライフル弾を参考に設計された。
速度だけではなく、 超音速飛行そのものを研究するための航空機だった。
チャック・イェーガー
1947年10月14日。
テストパイロット チャック・イェーガーは、 Bell X-1 を操縦し、 世界で初めて水平飛行で音速を突破した。
記録速度は マッハ1.06。
音速は越えられない壁ではなく、 新しい飛行領域への入口であることが証明された。
音速突破が変えたもの
超音速飛行の実現により、 航空機設計は大きく変化した。
後退翼。高強度材料。新しい空力設計。
ジェットエンジンの性能向上とともに、 戦闘機はもちろん、 高速研究機や宇宙開発技術へと応用が広がっていく。
Beyond the Barrier
Bell X-1 は量産機ではない。
しかし、 その役割は世界初の超音速飛行だけではなかった。
未知だった超音速領域のデータを収集し、 その後に登場する数多くの航空機の基礎を築いたのである。
Legacy
ライト兄弟は「 飛ぶ 」ことを証明した。
ジェットエンジンは「 速く飛ぶ 」ことを可能にした。
そしてBell X-1 は、 音速という限界も越えられることを証明した。
この挑戦はやがて、 X-15 をはじめとする実験機へ受け継がれ、 人類は空の果てではなく、 宇宙そのものを目指す時代へと歩み始める。
