見出し画像

MVP ARCHIVE HISTORY|Energy : Oil Age 02 : Internal Combustion Engine / 内燃機関

Internal Combustion Engine / 内燃機関

内燃機関

蒸気機関では、燃料を燃やして水を加熱し、発生した蒸気の圧力でピストンやタービンを動かす。燃焼が機関の外側で行われるため外燃機関と呼ばれる。

これに対して 内燃機関 は、燃料を機関内部で燃焼させ、高温・高圧のガスを直接動力へ変える。
ボイラーや大量の水を必要とせず、小型で高い出力を得られることから、動力を固定された工場から解放し、自動車、航空機、船舶、農業機械、建設機械など20世紀の移動と産業を支える存在となった。

燃焼を機関の内部へ

内燃機関 では、燃焼によって膨張したガスがシリンダー内でピストンを押し、連接棒とクランクシャフトを介して回転運動へ変換される。
蒸気機関では燃焼・蒸気発生・動力取り出しが別々の装置で行われるのに対し、内燃機関 ではこれらが一つの機関内で完結するため、小型化と高い機動性を実現した。

実用化への歩み

機関内部で燃焼を利用する発想は17世紀頃から存在していたが、燃料供給や点火、圧縮、冷却など多くの課題があった。

1860年、エティエンヌ・ルノワールはガス燃料による実用的な 内燃機関 を開発し、燃焼をシリンダー内部で行う方式の実用性を示した。

1876年にはニコラウス・オットーが四ストロークエンジンを完成させる。
吸気・圧縮・燃焼(膨張)・排気の四工程を繰り返すオットーサイクルは、その後のガソリンエンジンの基本構造となった。

ガソリンエンジンとディーゼルエンジン

ガソリンエンジンは、ガソリンと空気の混合気を圧縮し、点火プラグの火花で燃焼させる火花点火方式である。
燃料噴射や電子制御の発達によって性能と効率が向上し、軽量で高回転を得やすいことから乗用車やオートバイ、小型航空機などへ広く普及した。

ルドルフ・ディーゼルが開発したディーゼルエンジンは、空気だけを高圧縮して高温にし、燃料を噴射して自然着火させる圧縮着火方式を採用する。
熱効率に優れる反面、構造は頑丈で重量が増すため、トラック、船舶、鉄道車両、建設機械、発電設備など大型用途で活躍している。

また、構造が簡単で高出力を得やすい二ストロークエンジンも広く利用されたが、排出ガス規制の強化に伴い、多くの用途で四ストロークエンジンへ移行が進んだ。

社会を変えた動力

内燃機関 は、自動車の大量生産によって道路網やガソリンスタンドなど新たなインフラを生み出し、人々の移動や物流を大きく変えた。

さらに、軽量なガソリンエンジンは航空機の実用化を支え、農業ではトラクターやコンバイン、建設現場ではブルドーザーや掘削機など、多くの機械を動かす原動力となった。
燃料を運べば電力網のない場所でも利用できることから、産業活動の範囲を大きく広げた。

効率向上と環境への対応

内燃機関 は燃料のエネルギーをすべて動力へ変えられるわけではなく、多くは排気や冷却によって熱として失われる。
そのため、圧縮比や燃料噴射、燃焼制御、潤滑技術、ターボチャージャーやスーパーチャージャーなどの過給技術によって効率向上が図られてきた。

一方で、燃焼に伴い二酸化炭素や窒素酸化物などの排出ガスが発生するため、触媒装置や電子制御などによる排出低減技術も発展している。

電動化との関係

近年は蓄電池やモーター技術の進歩によって電動化が進んでいる。
電気モーターは高効率で排気ガスを出さない一方、内燃機関 は液体燃料の高いエネルギー密度や短時間で補給できる利点を持つ。
そのため、自動車だけでなく、長距離輸送や大型機械、船舶、航空などでは用途に応じた使い分けが続いている。

Internal Combustion Engine

内燃機関 は、燃焼によるエネルギーを一台の機械の内部で直接動力へ変えることで、動力を固定された場所から解放した。
人々は自由に移動し、機械は道路や農地、建設現場、空へと活動の場を広げた。

それは単に新しいエンジンの誕生ではなく、エネルギーを機械の内部へ搭載し、自ら動く機械を実現した、新しい動力の時代の始まりだった。


いいなと思ったら応援しよう!