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MVP ARCHIVE HISTORY|Energy : Energy History SPECIAL 10 : Cooling System / 冷却システム

Cooling System / 冷却システム

冷却システム

原子炉では、核分裂 によって大量の熱が生み出される。
この熱は発電に利用される一方、燃料や原子炉設備を安全な温度に保つため、絶えず外へ運び出さなければならない。

原子炉から熱を受け取り、発電設備へ送り、最後に発電所の外へ放出する。
この一連の役割を担うのが、Cooling System( 冷却システム )である。

熱を運び続ける

核分裂 で生まれた熱は、まず 燃料ペレット から被覆管へ伝わり、その外側を流れる冷却材へ移る。軽水炉では、主に水が冷却材として使われる。

水は 燃料集合体 の間を流れながら熱を受け取り、炉心 の外へ運び出す。
原子炉の出力が安定していても、熱を運ぶ流れが失われれば、燃料の温度は上昇するため、冷却は原子炉を運転するための基本条件となっている。

加圧水型原子炉の冷却

加圧水型原子炉( PWR )では、原子炉を通る水を高い圧力に保ち、炉心 内部で沸騰しないようにしている。

高温になった一次冷却水は 蒸気発生器 へ送られ、伝熱管を通して二次側の水へ熱を渡し、熱を失った一次冷却水は、ポンプによって再び原子炉へ戻される。

二次側では、水が蒸気へ変わり、タービンを回したあと復水器で再び水へ戻る、原子炉側とタービン側を分けた二つの循環系が、熱を段階的に運んでいる。

沸騰水型原子炉の冷却

沸騰水型原子炉( BWR )では、炉心 を流れる水が原子炉圧力容器の内部で直接沸騰、発生した蒸気は水分を取り除かれたあと、そのままタービンへ送られる。

タービンを通過した蒸気は復水器で水へ戻され、給水ポンプによって再び原子炉へ送られる。

PWR と BWR では設備の構成は異なるが、冷却材を循環させ、炉心 から継続して熱を取り出すという基本的な役割は共通している。

原子炉を止めたあとも残る熱

制御棒 を挿入して 核分裂連鎖反応 を停止しても、炉心 の発熱がすぐにゼロになるわけではなく、燃料内部に蓄積した核分裂 生成物が放射性崩壊を続けるため、崩壊熱 が発生する。

停止直後の崩壊熱は、運転中の出力より小さいものの、燃料を損傷させる可能性があるほど大きく、崩壊熱は時間とともに減少していくが、長期間にわたって冷却を続ける必要がある。

緊急炉心冷却システム

配管の破損などによって冷却材が失われた場合には、通常の冷却系だけでは 炉心 を十分に冷やせなくなる可能性がある。

そのため原子炉には、緊急炉心冷却システム( ECCS )が設けられている。
ECCS は、異常時に水を 炉心 へ注入し、燃料を水で覆いながら熱を取り除くための設備である。

ECCS 緊急炉心冷却システム

高圧状態で作動する注水系、圧力が下がったあとに大量の水を送る 低圧注水系、蓄圧された水を自動的に送り込む設備など、複数の方式が組み合わされている。

一つの設備が使用できなくても冷却機能を維持できるよう、系統は多重化・独立化されている。

電源と冷却

冷却材を循環させるポンプや弁を動かすには電力が必要である。
発電所が外部の送電網から切り離された場合には、非常用ディーゼル発電機などが安全設備へ電力を供給する。
( 蓄電池や電力を必要としない受動的な冷却機能を備える原子炉もある。)

原子炉を停止できても、冷却設備へ電力を供給できなければ、崩壊熱を十分に取り除けない可能性がある。
そのため電源の確保は、冷却システム を維持するための重要な要素となっている。

冷却は複数の段階で行われる

原子力発電所の冷却は、一つの配管や一台のポンプだけで行われるものではない。
燃料から一次冷却水へ、一次冷却水から蒸気系へ、蒸気から復水器の冷却水へと、熱は複数の段階を通って移動する。

通常運転を支える設備に加え、停止後の冷却設備、緊急注水設備、最終的に熱を海や大気へ放出する設備が組み合わされている。
それぞれの系統は役割を分担しながら、炉心 から熱を取り除くという一つの目的につながっている。

Archive Point

Cooling System は、原子炉で生まれた熱を 炉心 から取り出し、発電設備を経て、最終的に発電所の外へ運ぶための設備群である。

通常運転では冷却材を循環させながら熱を発電へ利用し、原子炉停止後には核分裂 生成物が生み出す崩壊熱を取り除く。
異常時には緊急炉心冷却システムが 炉心 へ水を供給し、燃料の温度上昇を抑える。

原子炉の安全は、連鎖反応を止めることだけでなく、停止したあとも残り続ける熱を、途切れることなく外へ運び続けることで維持されている。


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