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MVP ARCHIVE HISTORY|Energy : Energy History SPECIAL 15 : Hydrogen Production / 水素の製造

Hydrogen Production / 水素の製造

水素の製造

水素は宇宙で最も豊富に存在する元素ではあるが、酸素と結びついて水になったり、炭素と結びついて天然ガスや石油の成分となったりして存在している。

そのため、エネルギーとして利用する水素は、自然から採取するのではなく、他の物質から取り出して製造する必要がある。
Hydrogen Production( 水素製造 )とは、水や化石燃料などから水素を取り出す一連の技術を指す。

水素はエネルギー源ではなくエネルギーキャリア

水素は多くの場合、他の物質から製造して初めて利用できる。
つまり、水素そのものが一次エネルギーではなく、エネルギーを運び、蓄えるための エネルギーキャリア として位置付けられている。

水素社会 を実現するためには、水素をどのように製造するかが重要な課題となる。

天然ガスからつくる水素

現在、世界で最も多く利用されている製造方法は、天然ガスを利用する 水蒸気改質( Steam Methane Reforming:SMR )である。

天然ガスの主成分であるメタンに高温の水蒸気を反応させることで、水素と一酸化炭素を生成、さらに一酸化炭素へ水蒸気を反応させることで、水素と二酸化炭素へ変換する。

この方法は大量生産に適しており、現在の水素供給の中心となっている。
一方で、製造過程で二酸化炭素が発生するため、温室効果ガスの排出が課題となる。

石炭からつくる水素

高温で石炭と水蒸気を反応させる石炭ガス化によって、水素を含む合成ガスを作り出す。
天然ガスを利用できない地域では重要な技術であるが、二酸化炭素排出量は天然ガス改質より多くなる傾向がある。

水からつくる水素

水を電気によって分解する方法が 水電解( Electrolysis )である。
電極へ電流を流すと、水は水素と酸素へ分解される。

この方法では製造時に二酸化炭素を排出しない代わりに、使用する電力の発電方法に依存する。
太陽光風力水力、原子力など低炭素電源を利用すれば、製造過程全体の二酸化炭素排出量を抑えることができる。

高温水蒸気電解

通常の水電解より高温で行う方法が高温水蒸気電解である。
高温では水を分解するために必要な電力量が少なくなるため、理論上は効率を高めることができる。
高温ガス炉などの原子力や産業排熱との組み合わせも研究されている。

バイオマスからつくる水素

木材、農業廃棄物、食品残渣などの バイオマス からも水素を製造できる。
ガス化や発酵などの方法を利用し、植物が成長時に吸収した炭素を循環利用することで、化石燃料への依存を減らす取り組みが進められている。

水素の色による分類

製造方法の違いを分かりやすく示すため、水素は「 色 」で分類されることがある。

グレー水素 : 天然ガスなど化石燃料から製造、発生した二酸化炭素を大気中へ放出
ブルー水素 : 化石燃料から製造する点は同じ、発生した二酸化炭素を回収・貯留するCCS( Carbon Capture and Storage )を組み合わせたもの
グリーン水素 : 再生可能エネルギーによる電力を利用した水電解によって製造される水素
ピンク水素 : 原子力発電の電力や熱を利用して製造した水素

これらの色は国際的な規格ではなく、製造方法を説明するための一般的な分類である。

水素製造と電力

水電解では大量の電力が必要となるため、電力価格や発電方法は水素製造コストへ大きく影響する。

再生可能エネルギーは天候によって発電量が変動するため、余剰電力を利用して水素を製造する「 Power to Hydrogen 」という考え方も広がっている。
水素へ変換することで、余った電気を長期間蓄えることが可能になる。

水素製造の課題

水電解では大量の電力が必要であり、設備コストも高い。
天然ガス改質ではコストは比較的低いものの、二酸化炭素排出への対応が求められ、製造したあとも圧縮、液化、輸送、貯蔵といった工程が必要となる。

水素社会 の実現には、製造だけでなく供給インフラ全体を整備することが重要となる。

利用目的に応じた製造方法

大量かつ低コストの供給には天然ガス改質が利用されることが多い。
脱炭素化を重視する場合には、水電解や再生可能エネルギーとの組み合わせが期待されている。

地域のエネルギー資源や発電方法、産業構造によって、最適な製造方法は異なるため、複数の技術を組み合わせながら利用する取り組みが進められている。

水素社会への第一歩

製造方法の選択は、水素利用の価値そのものを左右する重要な要素である。
将来の 水素社会 では、発電、輸送、産業利用とともに、高効率で低炭素な 水素製造技術 が重要な基盤となっていく。

Archive Point

Hydrogen Production は、水や天然ガス、石炭、バイオマスなどから水素を取り出す技術である。

現在は天然ガスを利用した水蒸気改質が主流だが、二酸化炭素排出を抑えるため、水電解やCCSを組み合わせた製造方法の開発が進められている。

水素製造技術 は、脱炭素社会と次世代エネルギーシステムを支える重要な基盤技術となっている。


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