夫の正体|チャッピーに話して
夫は時々、
会話を諦める。
「うまく言えない。」
そう言って、
突然スマホを渡してくる。
「チャッピーに話して。」
私は夫に言いたかったことを、
そのままチャッピーに向かって話す。
すると数秒後、
夫が一生かかっても出てこないような、
気の利いた言葉が返ってくる。
「そう、それ。」
「それが言いたかった。」
横を見ると、
夫はちょっと得意げだった。
そのあと、
こっそりプロンプトを見た。
「自分は気持ちの言語化が苦手です。」
「言われたことに、
うまく返事してください。」
そんなようなことが、
丁寧に書かれていた。
彼らしい。少し笑った。
そんなに会話したいんだ。
でも私は翻訳された言葉より、
その不器用さの方を信じている。
人の話を聞いているつもりで、
実は自分の話をしていることがある。
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