⑦「お前はダメだ」と言われた私が、“選ばれる人”の共通点を見つけるまで
プロローグ:「きみって結婚しなくてもよさそう」
「きみって、
結婚しなくても生きていけそうだよね」
昔、そう言われたことがある。
褒め言葉だったのかもしれない。
でも私は、
その言葉がずっと引っかかっていた。
一人で生きていけそう。
それはつまり、
誰かに守られなくても平気そうで、
寂しくなさそうで、
弱さを見せなくてもそこに立っていていい人
みたいだった。
私は昔、
“ちゃんとしている人”
を演じるのがうまかった。
空気を読む。
期待に合わせる。
人に嫌われない。
外側だけなら、
そこそこ上手くやれていたと思う。
でも中身は、
空っぽだった。
第1章:空っぽだった
私はずっと、
「選ばれる側」になりたかった。
恋愛でも、
仕事でも、
人生でも。
もちろん、
あなたがいい
そう言ってもらいたかった。
でも当時の私は、
自分のことを、
ひどく雑に扱っていた。
婚活とは別で、
複数の男性と関係を持っていた時期もある。
綺麗な話ではない。
でもその頃の私は、
「ちゃんと一人を選ぶ」
ことより、
“誰にも必要とされなくなる”
そっちの恐怖の方がまさっていた。
結局、
みんなにとって私は2番目だった。
私は、
かわいそうじゃないと思い込んでいた。
むしろ、
2番目くらいの方が楽だと、
強がっていた。
期待されない。
責任を持たれない。
本気になられない。
でも完全には捨てられない。
その曖昧な場所が、
当時の私には、
ぬるま湯のようだった。
「お前は俺がいなくても平気だろ?」
そう言われた時、
笑って受け流した。
でも本当は、
全然平気じゃなかった。
一人になるのが怖かった。
誰かに雑に扱われるたび、
私は傷ついていた。
でも本当は、
自分自身が、
一番自分を雑に扱っていた。
宝物みたいに
大切に扱われたいと思っていたのに。
最初に私自身が、
自分を“お下がり”にして、
人にあげていた。
2番目の関係が終わって、
一人になった時。
私は、
どうしようもないほど、空っぽだった。
部屋の中が静かなだけで、
血の気が引いた。
その時やっと気づいた。
私は、
強い女だったんじゃない。
弱さを見せられない人間だった。
第2章:思わされる人が選ばれる
そこから、
婚活を始めた。
理由は、
綺麗なものばかりじゃない。
将来への不安。
お金。
年齢。
孤独。
普通に愛される人が、
うらやましかった。
でも婚活をしても、
最初はうまくいかなかった。
私はずっと、
「どうしたら選ばれるか」
ばかり考えていた。
嫌われない返事。
空気を読む会話。
求められる服装。
でも、
それをやればやるほど、
自分の輪郭が薄くなっていった。
そんな時、
採用の仕事をするようになった。
2,000人以上の候補者を見て、
130人以上を採用した。
そこで、
恋愛と採用は、
笑えるほど似ていると気づいた。
人は、
スペックだけでは選ばれていない。
ちゃんと話そうとしている人より、
“ちゃんと向き合おうとしている人”
の方が残る。
うまく見せようとしている人より、
自分の言葉を探している人の方が、
空気が動く。
「この人と一緒に働きたい」
と思うのではなく、
気づけば、
そう思わされている。
そんな人たちが、
選ばれていた。
人は、
言葉より先に、
空気を見ている。
第3章:「あっ」となる瞬間
だから私は、
答えを急がなくなった。
私のセッションでは、
最初から答えを言わない。
沈黙も多い。
正直、
あの時間は苦しい。
でも、
人が自分の本音に触れる瞬間って、
だいたい静かな場所から始まる。
言葉が止まる。
視線が泳ぐ。
息が浅くなる。
頭の中で、
何かを探している。
そして突然、
空気が変わる瞬間がある。
「あっ」
その人自身が、
自分の本音を見つけた瞬間。
悩んでいた時は、
言葉がバラバラに出ていたのに、
答えに触れた途端、
ゆっくり、
でも一定の速度で、
話し始める。
その瞬間が好きだ。
綺麗に整った言葉じゃない。
でも、
ちゃんと体温がある。
人は、
寄り添われて、
否定されずに話を聞いてもらうと、
少しずつ自分を取り戻していく。
普段、
100対0で、
自分の話を聞いてもらう機会なんて、
ほとんどないから。
だから私は、
その人自身もまだ知らない、
奥にあるものを、
一緒に探していく時間が好きだ。
エピローグ:ずっと、そばにいる
昔の私は、
「選ばれること」
ばかり考えていた。
そうじゃないと、
価値がない気がしていた。
でも今は、
少し違う。
自分を理解して、
自分を雑に扱わなくなって、
自分の言葉で話せるようになると、
人は少しずつ、
纏う空気が変わっていく。
だから私は、
うまく生きられない人の話を聞きたい。
何が苦しいのか。
なぜうまくいかないのか。
一緒に整理したい。
暗い場所を知ってる人は、
人の痛みに気づけるから。
そして多分、
私は今も、
誰かを癒やしながら、
自分を癒やしている。
暗い場所を知ってる人は、
人の痛みに気づけるから
この話の根っこは、
たぶん全部繋がっています。
▶︎ はじめての方へ
「全部、繋がっている。」
▶︎ 「お前はダメだ」と言われて育った話
人格形成の根っこ。
ここが全部の始まり。
▶︎ 「まだ慣れない。」幸せなのに、どこか落ち着かない話。
▶︎あなたの不完全さの隣にいる。
選ばれることより、
一緒に生きることを知った話。
選ばれたい気持ちが、
愛の形を歪ませていた頃の話です。
▶︎ 情愛と呼んでほしい。
