純文学|寂しいと言えない女だった
同時に何人かと付き合っていた頃、
私は、寂しいと言えない女だった。
仕事をしている時間以外を、
それぞれに分配した。
だから、
寂しくなかった。
一人の人と会っているときは、
スマホにも触らない。
誰も、
私たちの中には入れない。
一緒にベッドに入り、
目を閉じる。
隣に体温があれば、
寂しさを味わう間もなかった。
そうやって、
いくつも空いた夜を埋めてきた。
会いたいとも言わない。
寂しいとも言わない。
いや。
言わなくてすんだ。
相手が一人だったら、
私は寂しいと言っただろうか。
私は、
モラルに反することを好まない。
恋愛を除いて。
あの頃の自分は、
今でも説明がつかない。
誰にも。
言ったら、
本気になってしまう気がした。
私は他人には許しを渡せるのに、
自分を理解することだけは、
許せなかった。
自分のことだけは、
行動だけで裁いていた。
だから、
言えない分だけ、
相手を増やしていった。
──「なぜ、私はこうなったのか」を書いた話。
『全部、繋がっている。』
