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製造業向け|人を選べない現場で、どうチームを強くするか


好きな仲間だけで仕事はできない

仕事もRPGみたいに、仲間を選んでから始められたら楽だと思うことがあります。

力のある人。
周りを見られる人。
細かいところに気づく人。
こちらが少し言っただけで、だいたい意図をくんでくれる人。

そんなメンバーで組めたら、仕事はかなり進みます。

でも、現実の職場はそう都合よくできていません。

急ぎの仕事が入る。
予定していた人が別件に取られる。
設備の空きも限られる。
本当は慣れた人に任せたいけれど、別の人で進めなければいけない日もある。

現場は、理想のパーティを組んでから冒険に出られる場所ではありません。

今いる人でやる。
今ある設備で作る。
今決まっている納期の中で、どうにか形にする。

ここに、現場管理の難しさがあります。

固定メンバーでやる仕事は、やはり楽

固定メンバーで仕事をするのは、やはり楽です。

お互いの癖が分かっているので、余計な説明がいりません。
「あれ、前と同じ感じで」と言えば通じる相手もいます。
少し曖昧な指示でも、相手が勝手に補ってくれる。
こちらが言い忘れたことに、先に気づいてくれることもある。

こういう関係は、現場ではかなり助かります。

毎回ゼロから説明していたら、それだけで時間がなくなります。
気の合う相手、仕事の感覚が近い相手、確認の線が似ている相手と組むと、余計な摩擦が少ない。

それは悪いことではありません。

ただ、その楽さに慣れすぎると、少し怖いことも起きます。

人が変わると、隠れていた弱さが見える

ある日、担当が変わる。
休みが出る。
別の部署から応援が来る。
新人や若手に少し任せてみる。

すると、今まで普通に流れていた仕事が急に止まることがあります。

こちらとしては、同じように伝えたつもりでも、相手には伝わっていない。
確認してくれると思っていたところが、そのまま流れている。
「そこは普通見るでしょ」と思った場所を、相手は普通とは思っていない。

こうなると、疲れます。

いつもの調子で進まない。
説明が増える。
確認も増える。
手を止めて戻る場面も出てくる。

横で見ているうちに、自分でやった方が早いと感じる人もいるはずです。

実際、短期的にはその通りです。

慣れた人に頼めば早い。
自分で見た方が確実。
教えながら進めるより、分かっている人だけで終わらせた方が楽。

忙しい時ほど、そうしたくなります。

ただ、それを続けていると、仕事は一部の人だけで回るようになります。

慣れた人はさらに忙しくなる。
任されない人は経験できない。
仕事の中にある注意点も、言葉にならないまま残る。

そして、いざ人が変わった時に崩れます。

ここで見えてくるのは、相手の能力だけではありません。
今まで仕事がうまくいっていた理由です。

本当に流れとして整っていたのか。
それとも、慣れた人の気遣いに助けられていただけなのか。

ここは分けて考えた方がいいと思います。

固定メンバーでうまくいく仕事は、現場の強さでもあります。
信頼関係があり、気が利く関係があり、無駄な確認を減らせる。
それは立派な力です。

でも、特定の組み合わせでしか成立しないなら、別の見方も必要になります。

その仕事は、仕組みで回っているのではなく、個人の慣れで持ちこたえているのかもしれません。

新しい仲間は、最初から強くない

RPGでいえば、強い仲間だけでずっと進んでいる状態です。

戦い方は安定します。
誰が前に出るかも分かっている。
回復役も補助役も、だいたい決まっている。
危ない場面でも、慣れた動きで乗り切れる。

ただ、新しい仲間を一度も戦わせなければ、その仲間のレベルは上がりません。

最初は動きが悪いです。
なぜそこでその行動をするのか、横で見ていて頭を抱えることもある。
装備も足りないし、経験も少ない。
こちらの思った通りには動いてくれない。

それでも、一緒に戦わせなければ育たない。

現場も似ています。

違う人と組むと、こちらの説明不足が見えます。
相手の得意不得意も分かります。
どこまで任せてよいのか、どこで止めるべきかも見えてきます。

それは面倒です。
きれいな教育論のようには進みません。

予定より時間がかかることもあります。
後で手直しが出ることもある。
教える側が疲れて、結局いつもの人に戻したくなる日もあります。

でも、その面倒な部分を避け続けると、現場は広がりません。

理想の人材を待っても、現場は進まない

人を選べない現場で必要なのは、理想の人材がそろうのを待つことではないと思います。

今いるメンバーで、どこまで仕事を成立させるか。
古い設備なら、どの癖を先に押さえるか。
経験が浅い人には、どこまで任せて、どこから確認を入れるか。
慎重な人には、迷いやすい場所を先に伝える。
勢いのある人には、止まるポイントを決めておく。

全員を万能にする必要はありません。

むしろ、そんな職場はほとんどないはずです。
誰にでも得意不得意があります。
細かい作業に強い人もいれば、段取りを組むのがうまい人もいる。
スピードはあるけれど確認が甘い人もいるし、時間はかかるけれど危ない部分を拾える人もいる。

大事なのは、足りない部分を責めることではなく、組み合わせとして仕事になる形を探すことです。

人を見ずに仕事を振れば、ただの丸投げになります。
かといって、慣れた人だけに寄せれば、対応できる範囲は増えません。

チームを強くするには、少し面倒な組み合わせも必要になります。

あえて違う人と組ませる。
普段と違う役割を持たせる。
小さな範囲で任せてみる。
失敗したら困るところだけは、先に確認の線を引いておく。

そうやって少しずつ、仕事の幅を広げていく。

もちろん、急ぎの案件や危ない仕事で無理に試す必要はありません。
現場には、育成に使っていい仕事と、外してはいけない仕事があります。

そこを分けずに「経験だから」と投げると、教える側も教わる側も疲れます。
それは成長ではなく、ただの消耗です。

最強メンバーだけでは、強いチームにはならない

固定メンバーで早く終わる仕事はあります。
その強さは使えばいい。

ただ、いつもの組み合わせだけで回していると、見えない弱さも残ります。
人が変わった時に止まる。
説明が変わると崩れる。
慣れた人の気遣いがなくなると、品質や納期が急に不安定になる。

それでは、現場全体の力とは言いにくい。

本当に強いチームは、最強メンバーだけで勝つチームではないと思います。

少し不器用な人が入っても、仕事の流れが止まりすぎない。
新しい人が加わっても、確認する場所が分かる。
得意な人に頼りながらも、少しずつ任せる範囲を広げていける。

そういう現場の方が、長く見ると強い。

人を選べないことは、たしかに現場の理不尽です。
けれど、その理不尽の中で組み方を考えるから、チームは育ちます。

いつもの人なら楽なのに。

そう思う場面は、これからもあります。

でも、その楽さだけで仕事を回していると、現場は今の強い人に寄りかかったままになります。
新しい仲間のステータスを上げるには、やはり一緒に仕事をするしかありません。

少し疲れる組み合わせの中に、次の現場の強さが隠れていることもあるのだと思います。


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