「話せる人」が、伝わる人とは限らない――コミュニケーションは自然には身につかない
研修講師、手話通訳士の横山熊太郎です。
AIを活用しながら、シニア向けの情報や、書籍やガジェットの紹介などをしています。
「コミュニケーション能力が高い人になりたい」
そう思う人は多いと思います。
しかし実際には、コミュニケーションは、ただ年齢を重ねただけでは自然に身につきません。
学校に通い、社会に出て、たくさんの人と関わっていても、「うまく伝わらない」「相手とすれ違う」「誤解される」と悩む人は少なくありません。
それはなぜでしょうか。
理由のひとつは、「話すこと」がコミュニケーションだと思われがちだからです。
けれど、本当に大切なのは、「相手を理解しようとする姿勢」なのです。
コミュニケーションの出発点は「聞くこと」
よいコミュニケーションをしたいと思ったとき、多くの人は「うまく話そう」と考えます。
ですが、本当に大切なのは、まず相手の話をきちんと聞くことです。
しかも、ただ音として聞くだけではありません。
「この人は何を伝えたいのだろう」
「どんな気持ちで話しているのだろう」
「本当は何に困っているのだろう」
そうやって、相手の気持ちを理解しようとすることが大切です。
ここが抜け落ちると、どれだけ言葉が上手でも、相手には「わかってもらえなかった」と感じさせてしまいます。
逆に、話し方が少し不器用でも、「ちゃんと聞いてくれている」と感じる人には、安心感があります。
人は、自分を理解しようとしてくれる相手に心を開くからです。
「伝える力」より前に、「受け止める力」が必要
コミュニケーションというと、「説明力」や「会話力」が注目されがちです。
もちろん、それも大切です。
ですが、その前提として必要なのが、「受け止める力」です。
相手の話を途中で決めつけない。
自分の考えをすぐ押しつけない。
最後まで耳を傾ける。
こうした姿勢があるだけで、コミュニケーションの空気は大きく変わります。
特に、手話通訳や対人支援の現場では、この姿勢がとても重要です。
言葉だけではなく、表情、間、視線、ためらい、沈黙。
そうしたものの中にも、相手の気持ちは現れています。
だからこそ、「聞く」という行為は、単なる情報収集ではありません。
相手を理解しようとする、ひとつの態度なのです。
コミュニケーションは「技術」であり「訓練」でもある
「自分はコミュニケーションが苦手だから」
そう感じている人もいるかもしれません。
ですが、コミュニケーションは才能だけで決まるものではありません。
むしろ、多くの部分は「意識」と「経験」で育っていきます。
・相手の話を最後まで聞く
・否定から入らない
・相手の立場を想像する
・わからないときは確認する
・自分の考えを押しつけすぎない
こうしたことを、少しずつ積み重ねていくことで、人との関わり方は変わっていきます。
つまり、コミュニケーションとは、「自然にできる人だけの特別な能力」ではありません。
相手を理解しようとする努力を重ねた人が、少しずつ身につけていくものなのです。
「わかろうとする姿勢」が、人間関係を変えていく
人は、完璧な会話を求めているわけではありません。
「この人は、自分を理解しようとしてくれている」
その感覚があるだけで、人間関係は大きく変わります。
逆に、どれだけ正しいことを言っていても、相手を理解しようとする姿勢が見えなければ、心は離れていきます。
コミュニケーションの本質は、「うまく話すこと」ではなく、「相手に関心を持つこと」なのかもしれません。
そして、その姿勢は、一朝一夕では身につきません。
だからこそ、日々の関わりの中で、少しずつ育てていく必要があるのです。
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