よわよわ作家とつよつよ編集さん 4
4 担当さんとの初顔合わせ
二度ほどメールのやりとりをして、出版日程の表もいただいたみつきです。
みつき「ふうん……出版までに、改稿・赤入れ・編集チェック・校正チェックという流れがあるのね……そして出版目標は、来年の春か……わりと先が長いな?」
もっと早く、三ヶ月くらいで本は出るのかなって思っていたんですが、この行程を見ると三ヶ月ではムリそうです。
そのへんは出版社さんによっても違うんだろうし、作家さんも人それぞれだよねーってことで、軽く読み流しました。
さて。いよいよ担当さんと初顔合わせです。
おしゃべりをする前にですね。
私の方からも自作品について、気になってる部分を列挙して、送っておいたんですね。
メールの内容はこんな感じでした(一部抜粋)
*****みつきから米田さんへ*****
顔合わせ、打ち合わせでお話することだとは思いますが、現時点で作品に対して自分が思ってることを、記しておきます。
お話するまでに、目を通していただけたら幸いです。
・タイトルはいいのが思い浮かびませんでしたので、変更したいです。
・ラブみをもっと加えたほうがいいでしょうか。
・全体的に軽くてふんわりしたお話で終わってるので、テーマをもっと強くしたほうがいいでしょうか。
・舞台設定の説明がとても少ないと感じています。どのへんまで足せばいいでしょうか。
・作風、古くはありませんか?
***********
2Pみつき「ダメな部分、多すぎじゃない……? よくこんなので公募に出そうと考えたよね?」
1Pみつき「……恥……今さら少し足してもたいして変わんないかなぁと(視線→)」
2Pみつき「調子に乗るんじゃない! ( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン」
私の書いた作品は、(自分では)「青春ラブ・コメディ」なジャンルだと思っていたのですが、読者さんにとって、あるいは担当さんから見て、どういう位置づけになるのかはわかりません。
書くことはできても(できてないんですが)、売ることに関しては完全にさっぱりなため、どんな印象の本にするのか、というのは担当さんにまかせたほうがいいと考えての質問でした。
(メールの返信には、打ち合わせの時に合わせてお答えします、と書かれていました)
そして、いよいよ打ち合わせ当日です。
ドキドキしながら待つこと一時間――。
米田さん「はじめまして、米田です。よろしくお願いします!」
とっても元気です、担当さん。
ハキハキしたしゃべり方。よどみのない語り口調。うーん、さすが言語を扱う仕事をしている方だ……すごい、沈黙の間がない。(拍手)
(ちょっと思ったんですが、編集さんを含めこういった「しゃべれる人」というのは、どこかで訓練をされてる方ばかりなんでしょうか?
スペースとかでしゃべってる人を見かけると、すごいなぁとしか思えないんですよ。
「話術」って、参考書を読んだだけでは絶対にできませんよね?)
この後、さっそく作品の話に入ります。
緊張しながらも、拙作について、「なんで選んでくれたんですか?」と質問をしてみました。すると……。
米田さん「今回のみつきさんの作品は、好みド・ストライクでした。楽しく読ませていただきました!」
――きゃ。(=゚ω゚)
ツンデレとか出し惜しみとかのない、ド直球の告白きた――――――
ちょっと待って。待って。
いきなりだから、心臓に悪いよ。
ICレコーダーで録音して、何回も聴ける状態にしておけばよかった~~!!(涙
みつき「くっ……一撃で致命傷だった……いいパンチだぜえ、米ちゃん……っ(額から血)」
――なんてことは、もちろん思ってはいませんでしたが、シチュエーションとしては似たようなものです。
米田さん「あと、作風に古さは感じないですよ。むしろ、昔よりも今のほうが、この設定は喜ばれると思います。時代がみつきさんについてきた、と言えます」
みつき「ブッフォ!!」(※声に出してません)
こ、こ、この連続攻撃の強さよ……さすがの剣速よ!(致命傷)いいわぁ、からだがあったまってきた!
米田さん「(話はづついている)……ですので、これは早いもの勝ちのネタになるので、みつきさんが最初ですね!(にこり)まだ他に誰も書いていません!」
みつき「かっ……(光)」
焼かれる……閃光のように……!(リバイバル)――――――
2Pみつき「だからリップさーび」
1Pみつき「黙れ! 米田さまの言葉が信じられないのか、黙れ! それ以上申せばいかに貴公といえど!」
2Pみつき「以上、詐欺でころっとやられそうな隙のある女の一例でした」
(ここでいったん深呼吸)
……取り乱しました。すみません。
あまり褒められることのない平凡な人間にありがちの、ごくごく普通の反応です。失礼いたしました。
褒められるって、嬉しいですよね。
なぜ自分自身を褒められるより、自分の作品を褒められた方が嬉しいんでしょうね?
もし仮に私が読者さんに「あなたは優しい人ですね」って性格を褒められても、嬉しくはあるけれども取り乱すことはないと思うのです。
でも作品のことを「この作品は素敵ですね」って褒められたら、だいたい上記みたいな反応になってしまうわけで……。
この違いはどこにあるのかなぁと、このエッセイを書きながら10分くらい考えました。
(2Pみつき:10分……)
それで、なんとなく結論ぽいのが出たんですが。
おそらく、自分自身が褒められるのは、「人から与えられる喜び」なんですね。
そして自分の作品が褒められるのは、「人に与える喜び」なのです。
これなら、後者の方が強いに決まってます。はい、大正解です私。
そして打ち合わせの内容が、どんどん具体的になってゆきます。
最初にメールで出しておいた質問にも、米田さんはていねいに返事を下さいました。
そのときにこっそり思ったことなんですが……。
みつき(ちょ……米田さん、もしかして私より作品に詳しくない?)
あまりにも突っ込まれるポイントが的確で、びっくりしたのでした。
もちろん、コンテストのときに通しで一回は読んで下さってると思いますが、編集業とは忙しいものだと聞いてます。
だから、一受賞者の作品を、何度も読み返したりはしないと思うのですよ。
なのに……こんなにすらすらと改稿ポイントを言えるって……??( ゚Д゚)(唖然)
みつき(こんだけ作品の足りない部分が見えていて、かつ改善案を出せるのなら、自分でいくらでも面白いの書けるのでは……? 何で書かないの? ねぇ、米田さん、なぜ編集業をやってるんです……? いえ、もちろん、お仕事の面白さは人それぞれなのですが!)
新人作家より言語化能力に優れ、構成力に長け、語彙も豊富、発想力もさることながら読者さんの視点も持っている……それが担当編集さん。
――私、原案だけ差し出して、米田さんに書いてもらった方がいい作品になるのでは――?
「編集さん」とは謎の生き物なのか……?
と、思った瞬間でした。
+++
>じゃあ一体、どんなところを指摘されたの?
と、興味を持たれる方もいらっしゃるかもしれないので、印象に残ったところだけを、紹介させていただきますね。
(そして、担当米田さんの有能ぶりを、ぜひぜひ感じていってください。)
*****
米田さん「では、恋愛シーンの追加についての質問ですが……これはですね。絡みを足した方がいいです。絡みといっても、性的なものではなくコミュニケーションで十分なので、もう少し欲しいかな、と思います」
みつき「は、ははははい……!?(←恋愛シーンを書くのが苦手な人) やっぱ、あれだけじゃあダメでしたか? けれど、あれ以上出すと、展開にジャマかなぁと思うのですが……」
米田さん「恋愛を意識した台詞を入れるだけでいいのですよ。ただの会話をただの会話で終わらせてしまわないように。それから、これは後で言おうと思っていたんですが、関連しているので今、お話しさせていただきますね」
みつき「はい、どうぞ」
米田さん「冒頭が大切なんです。現在のスタートでもダメではないんだけど、引きとしては弱い。地の文で説明してしまうのではなく、会話で関係を見せるように。エピ強化していただければと思います」
みつき「……。(今世紀最大に難しいことを言われた……)」
米田さん「あとですね」
みつき「……はい」
米田さん「ラスト部分、コミカルさが強すぎて、アリはアリなんですが、恋愛好きな読者さんからは物足りないと思われるかもしれません。いっそ、コメディではなく恋愛描写で終わらせてみてはいかがです?」
――こ、コメディじゃダメでしたか!?(困惑)
みつき「たしかにラスト、気に入ってはいないのですが……主人公が動かないので、このままメリバ(メリーバッドエンド)でもいいのでは?と思うのです。切なエンドってことで」
米田さん「んー。読者さんに喜んでもらうようにするなら、ハッピーエンドがいいですね。読後感の満足度に関わってきますので」
みつき「(そっか。満足度が低いと「時間返せ」って言われちゃっても仕方がないかもね。よし、恋愛脳をフル稼働させてハピエンにしよう!)わかりました!やってみます!」
*****
この後、恋愛シーンの加筆のために、みつきは数々の少女漫画を読み込む作業に入ります。(小説だと時間がかかってしまうので、漫画中心でした)ゲームもやりました。
一応、原稿はできたのですが、今後の課題だなぁと思った次第です。
>5へ続きます
