よわよわ作家とつよつよ編集さん 3
3 担当さんとの出会い
「き、きた……メールがきた!」
世の中に編集さんはたくさんいらっしゃいますが……人には相性がありますよね?
学校でも社会でも、相手の性格が好きでも受け入れがたくても、それなりの距離感を保てれば大きなトラブルにはならないのですが、担当さんともなるとそうもいきません。
こちらの界隈でのSNSでは、よく「編集ガチャ」という言葉を聞きますが、そんな言葉を使えるほど、私はつよつよではないのです。
むしろ、あちら側が「作家ガチャ」に外れてしまって、ごめんなさいですよ。どうも――誠にすみません。
「……さて、そろそろ頃合いね。武装しようか、みつき」
と、私の中の2Pみつきが警告文を出してきたので、すみやかにメンタル武装を始めます。なにぶん相手は初対面。これをしなければ、不意打ちで致命傷くらってアウトです。
やりとりが始まる前に、イメージトレーニングが必要なのです。
まず、想像の範囲で担当さんのタイプを分けてみましょう。
A:私の作品を気に入ってくれて、心から応援してくれて相談もできて、なおかつお仕事もきっちりやってくださる神のような担当さん
B:ひととおり読んでくれたけど、特に思い入れはない。でも、修正案を出したり、こちらの質問には答えてくれたりする協力的な担当さん
C:作品の内容はよく覚えていない。あとは形になるまでほぼ放置。作家ががんばれというスタンスの担当さん
D:作品をダシに、個人的な感情で作家へのメンタル攻撃をしてくる担当さん
Q:どの方がいいですか?
みつき「Aで! ぜひぜひAでお願いします!! Bでも嬉しいですが、できればAで!!」
Q:Dの場合はどうしますか?
みつき「社会人生活で得たスルースキルをおおいに活用し、かつこれまで以上に磨きます!!
さらに自作でポイントカードをつくり、耐え抜き30回分のスタンプが溜まったら、ごほうびとして自分にケーキを買ってあげます!!!」
Q:ファイナルアンサー……?
***<<<初メール>>>***
『はじめまして。つよつよ出版、OOOO編集、米田(仮名)と申します。
このたびはOOコンテスト受賞おめでとうございます。
(中略・米田さんによる親しみのある自己紹介が続く)
みつきさんの今回の作品は主人公が〇●▼◇×という内容で、その点が良かったです。
〇●、良いですね。●×▼◇理由や、●×だからこそのエピソードなど、しっかり▼▼▼を生かした物語を書かれていた点も高評価の1つです。
こちらの作品をぜひ世に出したいと思い、選定させていただきました。ここから販売までを担当させてもらいますので、よろしくお願いします。
***********************
みつき「き、きたわぁあァァ━━━━。゚+.ヽ(´∀`*)ノ ゚+.゚━━━━!!!」
私の受賞作品を褒めてくれてるーーーーー!!
フレンドリーだわ、担当さん、いい人――――――――っ!!!!!!
今なら私、乙女ゲー小説系におけるチョロインの気持ちが100%わかる……!!
こんなん、惚れてしまう、嬉しいわ!!!!
(※チョロイン=ころっと恋に落ちてしまうヒロインのこと)
思えば、編集さんに褒められたのって初めてかもしれない。
今まで、他の賞に応募して選評をいただいたことはあったけれど、それの多くは具体的ではなかったものね。
というわけで、担当さん、私のところに来てくださってありがとうございます!
ご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします!(メールに対して土下座)
そして、翌日。
いくぶん冷静になった私に、言葉が降ってきたのでした。
2Pみつき「ねぇ、君。リップサービスという言葉をご存知?」
1Pみつき「……(´゚д゚`)」
ひ、ひどい。
どうしてそう、人の好意から出た言葉を素直に受け取れないんですかーこの子は。
けれど、否定できる材料を持っていない。
言い返すことも出来ずに、眉間にしわを寄せ、真剣に悩む姿勢になってしまう。
そして次第に、もう一人の私がいうことも、それなりの真実をふくんでるような気になってきたのでした。
……うん。だって。
この作品。他の賞に応募したときは全然だったからね……。
担当さんの言葉を疑うわけじゃないけれど、もう一度、初顔合わせのときにでも作品の良かったところを聞いてみたほうがいいのかも。
なんてことを思いながら、初メールから数日後。
初顔合わせ(という名の会談)の日がやってきたのでした。
※ちなみに、受賞の連絡から担当さんからのメールまで一ヶ月は開いてます。
なので、「担当さん、どんな方かなぁ」とあれこれ考えて、メンタル武装していた期間は、なかなか長く感じられたのでした。
>4へ続きます
