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天王山のサヨナラゲーム

 今季残り4試合。

 首位石川ミリオンスターズとのゲーム差は僅か1.5。 

 独立リーグ・日本海リーグ所属、富山GRNサンダーバーズは前期戦を制し、後期戦もその勢いのまま総合優勝を果たしたいところだが、連敗が続き足踏み状態が続いている。
 もし後期戦の優勝を逃せばプレーオフとなり、リーグ公式戦終了後に3試合行われ、その内2試合先勝しなければならない。

 その事を重々承知している両チームベンチは試合前からピリピリとした、それでいて季節外れの猛暑にも負けぬ熱さに包まれる。

 通算49試合目にして初の先発マウンドに上がる道崎亮太投手は、その緊張を諸共せず、3回4奪三振無失点と締まった内容。
 対する石川ミリオンスターズ藤井大智投手も6回6奪三振失点2と、先発投手としての役割を充分に果たす。

試合前のシートノックを見つめながら
気持ちを作る道崎投手

 一塁塁審によるミスジャッジが二度。

 一回目は石川ミリオンスターズ鈴木隆世選手のセーフティーバントが一度はアウトと宣告されるも、リクエスト判定によりセーフの判定。

 二回目は同じく石川ミリオンスターズ上田大誠選手がライトポール際に放った大飛球がHRと判定されたが、リクエスト映像を確認するまでも無く、責任審判がファウルと最終決断。

 さらにデッドボールも二度あり、荒れる試合内容になってもおかしくなかったが、両チームの選手共に泰然としており、感情的にならない冷静な対応。

 審判団及び互いの選手にリスペクトを感じるグランドはそれだけで清爽さに溢れ、汚れなき天王山にふさわしい。

 その後、8回表まで石川ミリオンスターズは3得点、富山GRNサンダーバーズは2得点と進み、1点の重みがヒシヒシと両チームに伸し掛かる。

 8回裏、富山GRNサンダーバーズ恐怖の9番打者、玉生貴一選手が

レフト前に2点タイムリーを放ち3対4と逆転に成功するが、9回表に石川ミリオンスターズ大坪梓恩選手が、意地の三遊間を抜ける強い打球で4対4の同点。

 日本海リーグには延長回が無く、このまま終われば1.5ゲーム差のまま。

 9回裏、セカンドエラーで出塁した根本剛希選手を、続くバッター瀧本駿選手が初球を技ありの送りバント。1アウト2塁。
 四番三好辰弥選手は申告敬遠、空振り三振の後、古賀太智選手がショート内野安打で2アウト満塁。

 打席に立つは、境勇惺選手。

 この打席の前では二打席とも空振り三振し、後期戦に入ってからは打撃不振やレフトの守備でHR性の当たりを獲りに行きボードに激突、怪我で一度は登録抹消された。
 それでも気持ちを切らさず、黙々とバットを振りフォームを固めてきた彼。

リストバンドには”一撃”の文字

 ファウル、ボール、ファウル、ファウル、ボール、ファウル。

 タイミングを合わせ粘った末の7球目、133kmのスライダーを逆方向に振り抜くとベンチの選手達が歓喜しグランドに飛び出す、サヨナラヒット。

 負けゲームを、引き分けを、勝ちゲームに持っていった底力。

 あと3試合。
 負けられないゲームは続く。

泥だらけのヒーローインタビュー


(写真は全て筆者撮影)


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