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恐怖の9番打者

 独立リーグ・日本海リーグ後期公式戦第10回戦、3回表に富山GRNサンダーバーズが見せた攻撃はゲーテの言うシュトゥルム・ウント・ドラング、疾風怒濤のビッグイニングになった。

 3点ビハインドでワンアウト。

 9番バッターの玉生貴一選手はそれまで淡白に終わっていた攻撃陣の雰囲気を打破する、三塁線に転がすセーフティバント。
 結局この安打がエポックメイキングとなり、この回、一挙9点を挙げる。

 地元富山県富山市八尾出身、球団史上初の12個人スポンサーがつく、周囲の期待を一身に背負ったプレイヤー。

 開幕当初はセカンドの控え選手としての出場、前期戦でも自身が思うバッティングの成績は残せず、守備でもショート瀧本駿選手に遠慮する、恐々としたプレーが多々見受けられた。

 しかし、後期戦に入って8月3日の対滋賀ハイジャンプス戦でマルチ安打を記録してから、試合状況やカウントを鑑みた打席に変わってきた。

すっかりセカンドのレギュラーとなった玉生選手

 今日の試合でも3打数3安打の活躍、ここ10試合でも打率.321打点3を残し、そしてなにより得点8と勝ちに絡むプレーを見せてくれている。

 このまま陰のリードオフマンと呼ばれる9番打者として今シーズンを過ごすのなら、ロッテ・オリオンズの名内野手、水上善雄選手の様に出塁率や犠打、守備にもこだわったプレイヤーになって欲しい。

 マスターズリーグ・東京ドリームスのセカンドとして華麗なプレーを見せてくれていた際に懇意にさせて頂いたが、常に笑顔でファンにも懇切丁寧、試合後にお話をお伺いすると一つ一つのプレーの意味を詳細に解説して下さる賢哲な方だった。

 後に水上さんは日本ハムファイターズの二軍監督に就任されたが、その時に選手達に伝えた言葉が未だ脳裏に刻みこまれている。

「やる気のないスイングをしたら、お客さんはため息ついて帰るだけ。でも、全力でフルスイングをしたら、たとえ空振り三振でも、すごい、当たったらどこまで飛ぶんだろう、次の試合も見に来たいとお客さんは思う。それが、プロの仕事なんだよ。」

 水上さん、プロの仕事をしてくれている選手が、独立リーグでも育ってくれていますよ。
 残りの6試合でも、全力のスイングをしてくれる筈です。

(写真は全て筆者撮影)


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