マウリッツハイス美術館の回り方~《真珠の耳飾りの少女》だけじゃないマウリッツハイス美術館
オランダのデン・ハーグ在住で、アートとチョコレートが大好きなミイルです。
今回は、地元の大好きな美術館であるマウリッツハイス美術館について、見逃せない有名作品からミュージアムショップやカフェまでご紹介します。

マウリッツハイス美術館はオランダ・デン・ハーグの中心に佇む小さな美術館です。17世紀のオランダを代表する傑作がぎっしりと詰まっていて、とくにヨハネス・フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》やレンブラントの作品に会うために世界中から人々が訪れます。
建物自体が元々はオランダ領ブラジル総督だったヨハン・マウリッツの邸宅で、華やかでその影に隠れた暗い歴史も知れる場所です。訪れるとまるで17世紀にタイムスリップしたような優雅さと、絵画の魅力に圧倒されます。
訪れる前に知っておきたいこと
以下の情報は2026年2月のものです。変更されることがあるので、訪問前には必ずマウリッツハイス美術館の公式サイトで確認してください。
開館時間
月曜日 13時00分~18時00分
火曜日~日曜日 10時00分~18時00分
(2026年2月)
週末や祝日は混みやすく、繁忙期はチケットを買うだけでかなり並ぶのでオンラインで時間指定チケットを事前に購入することをおすすめします。
チケット料金と割引
大人 €21
19歳以下 無料
Museumkaartや学生割引あり
(2026年2月)
アクセス
Plein 29, 2511 CS Den Haag
デン・ハーグ中央駅から徒歩10分。
所要時間
1.5〜3時間程度
ゆっくり見るなら2〜3時間確保を。
外観

1633-1644年にヨハン・マウリッツのために建てられたオランダ古典主義の傑作で、建築家ヤコブ・ファン・カンペンによる設計です。左右対称の四角い建物にイオニア式の巨柱と控えめなペディメントが施され、古典的な美しさを保っています。

左がもともとのマウリッツハイス美術館で、右は2014年に拡張された建物です。二つの建物は地下でつながっています。左の建物にフェルメールやレンブラントの作品が展示されていて、右の建物にはカフェや企画展示室があります。

美術館の入口はPlein広場に隣接しています。カフェが並んでいるので活気のある場所です。
また、マウリッツハイス美術館の背後はデン・ハーグ中心にある池ホフフェイファーに面しています。池越しに見るファサードが特に美しく、水面に映る姿も素晴らしいです。


受付フロアでまずは準備を

マウリッツハイス美術館の受付フロアは地下にあります。受付フロアには美術館正面の門から入って左に進んで階段を下りていきます。

ガラスの扉を抜けると、まず明るく開放的な受付フロアが迎えてくれます。チケットはオンラインで事前購入しておくとスムーズですが、当日券もここで買えます。


大きな花瓶の下が受付で、ここでチケットが買えます。受付の右側の通路を進むとコインロッカーとトイレがあります。左側に有人クロークがあります。受付フロアの一番奥にはミュージアムショップがあります。
ロッカー、有人クローク、トイレ
荷物はロッカー(50ユーロセント)、もしくは有人クローク(無料)に預けましょう。
ロッカーはコインロッカー式で50ユーロセント硬貨を入れて鍵を回して閉めます。50ユーロセント硬貨は使用後に返却されます。


受付フロアのトイレはこのコインロッカーの向かいにあります。
館内ルール
展示室に入る前に係員による荷物チェックがあるので、持ち込めないものはロッカーに預けましょう。
展示室内に持ち込めないもの
✕飲み物(水筒もNG)
✕傘(折りたたみ傘も含む)
✕A4サイズ以上の大きなバッグ・リュック
(小さなリュックは体の前で抱えること)
✕スーツケース(展示室はもちろん建物内に持ち込むことはできません)
写真撮影はOK!
ですが、以下は禁止されています。
✕フラッシュの使用
✕三脚の使用
✕自撮り棒の使用
✕動画撮影
そして、展示室内は飲食禁止です。
一階の展示室:ヨハン・マウリッツの部屋と黄金の間
受付の近くからいよいよ展示室へ入ります。

展示室に入るときには、係員によるチケットと荷物のチェックがあります。カバンはすぐに開けられるようにしておきましょう。

係員が立っている横の机に、運がよければ館内地図が載っているパンフレットがあります。観光シーズン、とくに世界中から観光客が訪れるチューリップが咲く時期はほぼありません。

階段を昇りきったら、まずは正面の部屋へ。
Room 5: 黄金の間

「黄金の間」(Golden Room)。元々はマウリッツの豪華な応接室でしたが、1704年の火事でほぼ建物の内部は全焼してしまいました。その後、18世紀初頭にルイ14世様式で再建され、金箔がきらめく壁と天井や暖炉に描かれたヴェネツィアの画家ジョヴァンニ・アントニオ・ペレグリーニの寓話的な壁画が描かれました。


光が反射して部屋全体が輝く様子は、本当に「黄金」と呼ぶにふさわしく、建物そのものが芸術です。

マウリッツハイス美術館は大きくない建物で、展示室の配置もシンプルで迷うことはありません。真ん中に階段のある大きな部屋があって、この部屋を周りをコの字で囲むように小さな展示室が並んでいます。
とくに順路は決められていないので、混んでいない部屋を選んでみていけばいいと思います。
Room 3: ルーベンスと花の部屋

ピーテル・パウル・ルーベンスの《聖母被昇天》(1622~1625年頃)。ダイナミックな構図と鮮やかな色彩が天に昇る聖母をドラマチックに描き出していて、思わず息を呑みます。(2026年2月時点では企画展示室で展示中)

また、アンブロシウス・ボスハールトの《花瓶の花》(1618年頃)は、細密で繊細な花々がまるで今朝摘んだばかりのように生き生きとしています。虫や露まで描き込まれていて、17世紀の花を描いた静物画の美しさを象徴しています。

Room 8: ヨハン・マウリッツの部屋
マウリッツハイス美術館に来たら、「ヨハン・マウリッツの部屋」(Room 8)も見てほしいです。ここではマウリッツハイス美術館の建物の成り立ちがよくわかります。

ヨハン・マウリッツは1637〜1644年にブラジルを統治し、砂糖や貴重な木材で富を築いた人物です。その富を使って建設されたのがこの私邸マウリッツハイス(マウリッツの家という意味)です。
ただ、ヨハン・マウリッツの絵画はほとんど彼の存命中にデンマーク王などに譲渡され、現在美術館に残るのは彼の肖像画やブラジル関連の数点のみです。マウリッツハイス美術館が所蔵するコレクションの中心は主にオランダ総督ウィレム5世(1748-1806)の収集品です。そして、息子の国王ウィレム1世が1822年に国家に寄贈し、王立絵画館としてマウリッツハイスに置かれています。
ヨハン・マウリッツの肖像画があるこの部屋には彼が遺したブラジルに関する貴重なコレクションが展示されています。まだカメラがない時代に熱帯の動植物や先住民の暮らしを記録しています。植民地時代に奴隷を使っていたという複雑な歴史も感じさせつつも、ヨハン・マウリッツの好奇心と冒険心が伝わってきます。



このフロアの作品を見たら、さらに階段を上って二階へと向かいましょう。


二階の展示室:17世紀オランダのスターたちに会う
赤い壁の部屋がマウリッツハイス美術館の最上階で、レンブラントやフェルメールが展示されているフロアです。
Room 16: 赤い部屋

たぶん、ここを訪れた方はこの天井画はなんかほかの作品とちがうと感じると思います。実は、このマウリッツハイス美術館の最上階の天井画は1987年につくられた現代作品なんです。

ギリシャ神話のイカロス(翼が溶けて墜落)と「傲慢を避けるための労働」が表現されているそうです。そういわれてみれば、手前の作品には大きなスコップが描かれているような気がする……?
Room 9、10: レンブラントの部屋
天井画にちょっとびっくりして正面右の部屋(Room 9)に入ると、レンブラントの作品が待ち構えています。


圧倒的な存在感を放つのが《テュルプ博士の解剖学講義》(1632年)。
右の帽子をかぶったテュルプ博士が左側にいる医師たちに人体について解説しています。検体を囲んで最新の医学を真剣に学ぶ様子が描かれています。

隣の部屋(Room 10)にあるレンブラントの《自画像》(1669年)は、彼の晩年の最後に描かれた自画像の一つ。彼の眼差しには人生の重みが宿っていて、じっと見つめていると胸が締め付けられます。
Room 12: かわいい動物に出会う

Room 12にはかわいらしい動物が描かれた作品が展示されています。


ルーベンスとヤン・ブリューゲルの合作《エデンの園》(1615年頃)は、豊かな自然と聖書の物語が融合した華やかな一枚。たくさんの動物が描かれていて、隠れている動物を探すのが楽しい一枚。

今は修復中で別の部屋にありますが、パウルス・ポッターの《牡牛》(1647年)も印象的な一枚です。写実的な動物描写で知られる画家らしく、牛の毛の一本一本まで丁寧に描かれています。
Room 14: にぎやかな家族団らん

ヤン・ステーンの《この親にしてこの子あり》は、生き生きとした表情と筆致が魅力。まるで笑い声が聞こえてきそうな家族の温かさを伝えています。
Room 15: フェルメールの部屋
そして、フェルメールの部屋(Room 15)。マウリッツハイス美術館が所蔵するフェルメールの3作品がここに展示されています。

《ディアナとニンフ》(1653~1654年頃)は早い時期の作品で、神話的な柔らかな光が美しい。月の女神ディアナは黄色い服を着て、頭に三日月のモチーフをつけています。

《デルフトの眺望》(1660年~1661年頃)は、静謐な街並みと空の雲の表現に目を奪われます。フェルメールが生まれ、そして愛したデルフトの街の光と空気の湿度まで感じられる作品です。

《真珠の耳飾りの少女》(1665年頃)。彼女の「永遠の瞬間」を前にすると、時間が止まったような感覚になります。多くの人がここで立ち止まり、静かに見つめている姿が印象的です。
小さな名品にも目を向けて
人気の作品に囲まれながらも、ひっそりと輝く「隠れた名作」がマウリッツハイスにはたくさんあります。

フランス・ハルス《笑う少年》(1625年頃)(Room 13)。無邪気に大きく口を開けて笑う少年の表情が生き生きと捉えられています。 17世紀オランダ絵画で最も魅力的な笑顔の一つと言われています。

カレル・ファブリティウスの《五色ヒワ》(1654年)。 (2026年2月12日~6月7日までは企画展室で展示)静物画なのに「生き物」の肖像画のようです。

アドリアン・コールテの《野生イチゴの静物》(1705年)(Room 11)は小さなキャンバスにイチゴを描いたミニマムな作品。光と影のグラデーションが繊細で、静寂の中に生命の息吹を感じます。見逃しがちですが、静物画の極み。

ヘンドリック・アーフェルカンプの《冬の愉しみ》(1610年頃)(Room 16)は凍った運河でスケートを楽しむ人々がいきいきと描かれ、17世紀のオランダ人の冬の暮らしが微笑ましく伝わってきます。寒ささえ楽しげに見える不思議な魅力があります。
女性画家たちの輝きにも触れて
マウリッツハイスには、黄金時代のスターたちだけでなく、時代を切り開いた女性画家たちの作品も大切に展示されています。彼女たちは当時、男性中心の美術界で自らの才能を証明し、独自の道を歩んだ人たちです。

クラーラ・ペーターズ《チーズ、アーモンド、プレッツェルと静物》(1615年頃)(Room 3)。女性画家として17世紀初期に活躍した稀有な存在で、この作品は彼女の代表作の一つです。テーブルに並ぶさまざまなチーズ、アーモンド、プレッツェル、干しイチジク、そして豪華なヴェネツィアングラスや中国の皿。どれも触れそうなほどのリアリティで、食欲をそそる静物画です。

特に興味深いのは、容器の銀色の蓋の縁に映り込んだ自画像。注意深く見ると画家本人がこちらを見ているのがわかります

ラッヘル・ライス《花瓶の花》(1700年)(Room 11)。花の静物画の女王と呼ばれるにふさわしい一枚です。咲き誇る美しさだけでなく、わずかなしおれや枯れ始めの葉がリアルに表現されています。そして面白いのが、中央の一番目立つ場所に花を切られた茎の断面が描かれていることです。

さいごは、ユディト・レイステル《若い女に金を差し出している男(誘い)》(1613年)(Room 13)。ユディト・レイステルはハーレムの画家ギルドで「マスター」の称号を得た最初の女性で、自分のアトリエをもち、弟子を取るほどの実力者でした。当時の女性画家が静物画を描くことが多かったなか、こうした人間ドラマを描いた点が革新的です。微笑ましい日常の裏側に潜む緊張感が、時代を超えて心に響く一枚です。
ミュージアムショップで思い出を持ち帰る

展示を一巡したら、受付フロアにあるミュージアムショップへ行きましょう。

フェルメールグッズが充実していて、《真珠の耳飾りの少女》のポストカード、マグネット、トートバッグはもちろん、可愛いミッフィーが少女に扮したぬいぐるみが大人気! あの青いターバンと大きな真珠を付けたミッフィーを見ると、思わず笑顔になってしまいます。お土産にぴったりです。


カフェで一息

最後にミュージアムショップ横の階段を昇ったところにある、カフェで休憩を。
コーヒーやオランダのアップルタルトをいただきながら、見てきた作品を振り返る時間がとても贅沢です。

さいごに
マウリッツハイスは、決して大きくない美術館ですが、一枚一枚の絵が心に深く刻まれる場所です。デン・ハーグを訪れたら、ぜひ時間をたっぷりとって訪れてみてください。

▶マウリッツハイス美術館公式サイト
▶2026年夏、《真珠の耳飾りの少女》は日本に行きます!
▶マウリッツハイス美術館のカフェについてもっと知りたいときは、こちらの記事をどうぞ!
▶マウリッツハイス美術館のミュージアムショップの情報はこちらから!
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