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#5-2 静かな違和感|追憶のオリジン~氷の女王の眠る街

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第2話 静かな違和感



ラーフェへ向かう森は、平和だった。

ミミの圧倒的な魔力、炎の気配で小さな魔物は寄ってこない。


時折、不意に発現する魔現象を避けながら、秋の深まる薄暗い森を慎重に進んだ。


二人のタトはピタリとそばにいるが、顔は合わせなかった。

レイの結論は、「魔現象の一種だろう」ということで落ち着いた。




ルリを加えた旅は、どこか温かくまた、心地が良かった。彼女の口ずさむ歌のおかげかもしれない。

タトの胸のざわつきも、二人に分裂してからは、なぜか消えていた。




霧が深く冷え込む森で野営を繰り返しながら、半月ほどが経った。


「タトー!街の見張り塔だよ!ボロい!」


先を進んでいたミミの叫び声が響く。


霧の中に、ツルに覆われた街の見張り塔が現れた。

今にも崩れ落ちそうだ。


「この町も、もしかしたら廃墟に近いのか…?」


不安が胸をよぎる。

この先はもう街のはずだが、森との境界もあいまいで、人が住んでいる気配はない。


しばらく進むと、荒れた廃屋の街と、上部が崩れ落ちた塔が佇んでいた。

広場も道も、空気さえも、白い霧の中で眠りについているようだ。


「森に半分のまれかけてるね。ヴァリスのように分散して暮らしているのかな?」


「見てくる!」


ミミはタッと霧の中に駆けていった。

程なくして戻ると、ミミは首をかしげた。


「誰もいない。生活もしてなさそうだよ」



教会塔広場をひと通り見て回っていたレイが提案した。


「塔は上部が崩れているが、教会は無事だ。中に入ってみよう」


教会の大きな扉の前で、ルリが目を輝かせてつぶやいた。


「わぁ……これが教会なのね」


そんなルリに『タ』が優しく声をかける。


「ノーレムは綺麗に修復されていてとても荘厳だよ。今度行ったら案内するよ」


『ト』が小さくつぶやいた。


「図々しいな」


タはムッとして顔をしかめる。


「レイは案内なんてしないんだから、ボクがするんだよ、普通のことだよ」

「それが図々しい」


ミミがあたふたと声を上げた。


「も〜!また始まったー」


「ふふ。二人とも、ありがとう。さぁ、塔のことを教えて?」


ルリがするりと間に割って入り、二人の腕に手を絡めて歩き出した。

タトはまるで元から双子だったように二人いる。


「中は清潔ね。まるで誰かが手入れしているみたい」


ルリの声が小さく反響した。


「光の心部も残っている。上へ行ってみよう」


レイはノーレムと同じ、光の間のらせん階段を慣れた様子で上がる。

みんなはそっとその後に続いた。


風が塔の隙間を抜けて、かすかな金属音がしたような気がした。

しかし、次の風ですぐにさらわれていった。



(つづく)

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