#3-12 守護神|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街
第三章 知を求めて
第12話 守護神
よく朝、三人はフェリサリアの街に入った。
「あれ…?ねぇミミ、何か街の雰囲気が違わないか…?」
風は張りつめ、人通りはさらに少ない。
ミミも周囲を注意深く見回している。
崩れた友情の塔のふもとにある教会で、
エリザは静かに祈っていた。
タトたちの訪れに気づいた瞬間、目を見開いて、立ち上がった。
「あぁ、タト……!!よくぞ無事で。
ミミまで……一緒だったのね……」
ミミは視線を逸らし、そっと横を向いた。
「こちら、ノーレムのレイです」
タトの紹介に、エリザは疲れた微笑を返した。
目の下には深い影が落ちていた。
三人が談話室で腰を下ろすと、エリザは湯を沸かし、丁寧にお茶を淹れてくれた。
霞色の湯気が、どこか懐かしい香りを運んだ。
「ミミが街を出て、タトが旅立ってから……フェリサリアは、試練続きでした」
エリザの声は、硬く乾いていた。
「森は急速に広がり、魔獣が現れる頻度も増えて……水は街を侵食し始めて……今は、狩りに出るのも命がけです。
あなたたちが来てくれて、本当に良かった……私は、どうしたら……」
エリザの指先が、膝の上でかすかに揺れていた。
「エリザ……」
重い沈黙が流れる。
タトは、一度言葉を探すように目を伏せ、そして静かに続けた。
「……実は先日、森の中で……フェリサリアの塔の石を見つけました。
ミミは、この通り、オリジンです」
ミミは光り輝く六角柱の石を、エリザの前にそっと差し出した。
「……まさか……!そんなことが……」
エリザは椅子の背にもたれ、目を見開いたまま動かなくなった。
しばし、時が止まったような静寂が広がった。
それを破ったのはレイだった。
「……ミミの魔力の加護が動いたからだ。
ミミの力は諸刃の剣だが、この街にとっては紛れもない守護神だった。
それを、自然を操る、希少な能力者(エレメンタル)を、追い出すなんて……」
石壁に反響するその声は、小さくても誰の耳にもはっきりと届いた。
「ミミは、未熟者で…そんな、選ばれるような子では…」
エリザはかすかに首を横に振りながら呟いた。その手は震えていた。
タトの隣で、ミミはただ静かに目を伏せていた。
(つづく)
第12話 守護神 - 追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜|不思議な六角柱の石が世界の謎へと導く冒険ファンタジー | Tales 物語・小説
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