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#7-4 頂上のドーマ|追憶のオリジン~氷の女王の眠る街

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第4話 頂上のドーマ


真っ白な頂の一角。そそり立つ絶壁を背後に、氷の台座がある。
そこに、甲冑姿の大きな男が座っていた。

その男も、ウォールと同じく氷でできている。


いつの間にか、コツ、コツという足音も止まっていた。

背後を監視するように付いてきていたウォールが、気づけば階段の脇に立っている。

逃げ道は、ない。


タト、ミミ、レイの三人は手を取り合い呼吸を合わせると、台座の前へと進んだ。


近づくと、その男の氷像はとてつもなく大きい。
片手に槍のような杖を持っていた。

三人は男の膝下ほどだった。


タトは、ミミの手から熱を受けて口を開いた。


「あなたが、ドーマですか……?」


玉座のような椅子に座るその男は、ギロリと目だけを動かし三人を睨んだ。

ひときわ青く、深い青氷のような視線は刺すように鋭かった。


「……ここへ何をしに来た…愚かなオリジンよ…」


張り詰めた静けさに唾を飲み込む。


「じょ、女王に…会わせてください。」


「氷山は、決して開かぬ」


「この氷山は広がっています。このままではすべての街を飲み込んでしまう!」


「……それが、何だというのだ」


「女王はなぜ、世界をこのようにしておくのですか?パレスへ行かせてください」


「否。
何を犠牲にしても、ここはこのままだ」


その否定は地の底から響くような重みがあった。
タトは思わず叫んだ。


「お願いです、女王と話をさせてください!」


その途端、ドーマの目がカッと見開かれた。


「無力で価値のない者共よ!
お前たちは、この汚れた世界に産み落とされた罪人だ!
たとえオリジンだとしても、呼ばれてもいないのにこの場に来た不遜を自覚しろ!!」


ドーマの放つ圧倒的な圧は、山頂の空気をビリビリと震わせ、その怒号は落雷のように響き渡った。
沈みそうなほど重くなる足元をぐっと耐える。

ここまで、来たのだ。

「…くっ……!」


レイは二人の手をとったまま、震える唇を動かして言霊魔法をつぶやいた。
自分たちに向けてかけたのだ。

放たれた言葉がわずかに空気を揺らし、ふわりと三人に吸い込まれる。
ようやく体の震えが止まった。


「ほう…。
ここで萎えた者もいたが、耐えるか。規律を乱す愚かなオリジンよ…」


レイが言葉を発した。

「僕たちは…、女王が眠っているからここまで来ました」


「不届き者らよ…。 
女王を起こすことは叶わぬ。眠りのなかで守られているのだ。

お前たちは耐え忍び、自らの運命を待つのだ。女王に何かを望むことなどあってはならぬ。それが、規律だ」


レイは、巨大なドーマをしっかりと見上げた。


「女王は眠りの中で、世界の中心を凍らせ、冷気を噴き出している。瘴気で生き物を狂わせ、世界を苦しめている。
これが、あなたのいう『規律』なのですか?」


ドーマは厳しい顔で睨みつけてくる。


「それはこの世の罰だ。
お前たちはそれを耐え忍ぶことで贖罪となる。
欲せず、騒がず、乱さず、堕ちた場所で使命を全うするのだ。

そして、私はこの氷山を守るために裁く者、ドーマだ!!」

ドン!

ドーマは杖を台座に打ち付けた。

その衝撃と威圧に、三人はたまらず膝を付いた。
まるで何倍もの重力がかかったように全身が重かった。


階段の脇で、門番ウォールが薄ら笑っているのが、垂れた頭の端、その視界の隅に映った。



(つづく)


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タト・ミミ・レイ/ルリ・イオ
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