#7-5 審判の刻|追憶のオリジン~氷の女王の眠る街
【前回までの話】
氷山の入口「氷門」を通過し、時間の感覚がない不思議な空間の中、延々と階段を上り続けてようやく頂上まで辿り着いたタト、ミミ、レイの三人。その頂には裁判官ドーマが待ち受けていた。そして、圧倒的な威圧と厳しい規律で三人をはねのけるのだった。
第5話 審判の刻
レイは足元を見たまま声を張り上げた。
「僕たちは!女王と、この世界を救うために来ました!
あなたが言う『規律』が世界の存続を願うものなら、僕たちの目的はそれと一致しているはずです!」
ドーマの周囲の空気が、パキパキと音を立てて凍りついていく。
「沈黙せよ…小さきオリジンたち。
この氷山が今の存続へと繋がっている。
それが、正しさの証明である」
ドーマは冷気を吐き出し、静かに言葉を重ねた。
「ここから何百年と見てきた……。
お前たちは、わずかな試練を与えるだけで、いとも容易く、惑い、争い、自ら乱れていく。
我らが与えてきた罰の数々を忘れたか?
災害に震え、涙を流すたびに、お前たちは理解したはずだ。
『希望など、この地には存在しない』と。
そう、思い知らされたはずだ!」
レイが力を振り絞って首をもたげ、ドーマを見上げる。
「……あの災害や魔攻撃は、あなたが……!?」
青氷の眼光は冷たい光を放っていた。
「災害は、人々を試す。
自らを制御できないものに、ここを通る資格はない」
「そんな……」
「無価値で愚かなオリジンたちよ。
お前たちは地上で、最後の血の一滴まで世界に尽くすのだ!
女王への献身は、その貢献によってのみ証明される!これ以上進むことは認めぬ!!」
その時、ドーマの背後の壁に扉があるのに気がついた。
レイは魔法を込めた自分の杖をついて、よろよろと立ち上がった。
「……街を飲み込み、世界を壊し続けている今の氷山は、一体、何への『貢献』なのですか。
世界が滅びれば、女王の民も、守るべき女王自身も残らない。このままでは、世界そのものが失われてしまう!」
「それも運命だ。
女王はいま、安全のなかで眠っている。
お前たちは、その眠りを脅かそうというのか!」
「いいえ。違います。
僕たちは、女王を支えるために、ここへ来た!」
「笑止!
お前らごときに、何ができる!」
その目玉は、鋭くミミを捉えて止まった。
「そこの赤獅子…お前は、最後の生き残りだな。あれほど試し自滅していったものを、まだ燃え尽きていなかったとは……」
そして、憎々しげに言う。
「感情を制御できず、規則を守ることもできず。その力で、すべてを焼き尽くし、自らの手で滅びを招いた愚か者どもめ」
ミミはぶるぶると震えだした。
「沈黙すらできぬ、死に損ないめが!存在する恥を知れ!」
その言葉を聞いたウォールが、うっとりと満足そうに笑っている。
レイは、杖がみしりと悲鳴を上げるほど強く握りしめた。
「さあ、この山頂で、その醜い炎を燃やし尽くし、すべてを焼き払うがよい!」
タトがたまらぬ思いで、重圧を押しのけて叫んだ。
「ミミは、まだ子どもだ!できなくて当たり前だ!!」
「ならば、お前も同罪だ」
ミミの震えは、ガタガタと大きくなった。
タトはミミを強く抱きしめた。ミミの体が強い熱を帯びている。
「さあ、審判の時だ!」
ドーマは高らかに叫んだ。
「お前たちは、罪を犯した。
秩序を乱した罪。
役割を放棄した罪。
自らの力を傲慢に振るった罪。
身に余る平和を望んだ罪。
そして、
世界に貢献できない罪!」
ドン!
杖を台座に打ちつける。
「オリジンは、不要。女王は、我々が守る!!」
ドン、ドン!!
「お前たちは、有罪だ。よって、凍結!!」
ドン、ドン、ドン!!
(つづく)
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〇第七章マガジン
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