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こぼれ話〜森での食事②

【背景】本編 第二章のこぼれ話

森での食事①

森での食事②

あっという間に仕留めたシカを見下ろしてミミが言った。

「ミミ、大きいのは丸焼きはしないよ?火事になるから」


「もちろん、解体してから焼こう」


ミミのダイナミックな発想に微笑みつつ、
タトは手際よく小柄のシカを解体し、広場へ運んだ。


「さて、今日の分はこれでいいかい?」


早速、肉を火にかざして嬉しそうにしながら、ミミは言う。

「うん?……もうちょっと」

タトが選り分ける肉を、ミミは指差して次々と追加していく。


「ここも」

「はい」

「これも食べたい」

「ミミはよく食べるんだね」

「だってだって、おやつも欲しいもん!」

「それならこのあと保存食を作るからぴったりだ。木は登れるかい?」

「うん。ちょっとなら」



タトは適当な木を見つけると、余った肉を担ぎ、ナイフを使って幹を登った。

ミミも爪を立て、素手で後を追う。


冷気で白くなった枝に肉を吊るし、さらに上層へはツルで縛った肉を投げ上げた。


「凍った肉は、火がないときは薄くスライスしてシャーベット状で食べるのもいいんだ。」


「へー!ミミは焼いたのと生しか食べたことないよ!」


「それなら、こんなのもあるよ。ほら、固いけど…樹液の飴」


「まるい…!へー!甘い!」


火が乏しいルミナリーでは、冷気を生かし、加工保存をしてきた。

けれど、ミミがいれば、この森でも豊かな食事ができそうだ。


「ミミはねぇ、たまに色々と焦がしちゃうの。それでよく怒られてさぁ…」


こんなふうに語らいながらの食事は、タトに、故郷を思い出させる。

あんなに冷たくて恐ろしかった森が、ミミとなら暖かく感じた。


二人ならどんな場所でもやっていけそうだ、タトはそんなことを思った。


そう、二人なら、きっとどこへでも行ける――そんな思いが頭の隅を、手のひらに落ちた雪の結晶のように、そっと触れて、消えた。




(おわり)

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望月むう(ムーン)🐾|物語と思考|物語に浸りたい ここまで読んでくれてありがとう♡