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#3-10 引返す旅路|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜

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旅立ちの朝、ノーレムの街には霧のような風が吹きこんでいた。

塔の前に集まった三人は、ライアンと教会の数人の見送りを受けながら、静かに準備を整えていた。


「レイ、見送りの祭りもせず、こんなに急に出発するなんて……。念のため、これとこれも持っていきなさい」


「三ヶ月後に一旦戻ってくる。その時までとっておいて」


「帰ってきたときは、盛大な祭りを開くぞ!」


レイはひらっと手を上げ、無言で歩き出した。


「行ってきます!」


タトが深く頭を下げ、ミミが大きく手を振る。

三つの影は霧に溶けるように、朝の森へ消えていった。



来た道を戻る旅は、ミミの記憶とレイの地図、そして知識に頼って進んだ。


レイの指示でもっとも効率的なルートを選ぶ。
危険な魔獣の森を何日もかけて抜け、やがて湿地に入った。


一羽の白鷹が空を横切り、すっとレイの腕に舞い降りた。

レイは巻物に何かを書き込むと、その紙片を白鷹の足に結び、再び空へと放った。


「この先は、こちらから回った方が歩きやすいだろう」

空を見上げながら、レイが淡々とつぶやく。


そうして彼は、道の脇に石を三つ積み上げ、小さな目印をつけていった。



行き先も道筋も曖昧だった往路と違い、帰り道には、どこか懐かしさと安心があった。



道中、レイはミミに魔法の扱い方を教えた。

だが、ほとんど口を開かない。
タトの後ろにぴったりついて、ブツブツと呟く。

タトがそれを聞き取り、代わりに伝えるのが日常になっていた。


「ノーレムでは、あんなに喋ってたくせに!」

ミミが呆れたようにぼやく。


「ほらミミ、集中して。魔力が散りかかってるって、今、彼が言ってるよ」


タトが苦笑いしながら言う。


「レイはクセ強いなぁ、もう!」


「……効率だ」(ボソッ)



ミミは小さな火の扱い方も訓練した。

おかげで、熾石を燃やすことがなくなった。タトが声を弾ませる。

「すごいよ、ミミ! 熾石の熱が安定してる!」

そして、レイの言葉を聞き取ると、続けて言った。

「次のステップは……飴だって。このサイズを焦がさずに、沸騰させてごらん」


レイの呟きを翻訳するタトの口調は、どこか楽しげだった。


訓練はまだまだ必要だったが、ミミは確実に変わり始めていた。




(つづく)

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第10話 引返す旅路 - 追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜|不思議な六角柱の石が世界の謎へと導く冒険ファンタジー | Tales 物語・小説

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望月むう(ムーン)🐾|物語と思考|物語に浸りたい ここまで読んでくれてありがとう♡