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#4-5 ルリの町|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街

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第5話 ルリの町


荒れた街道をたどり、ルリがいるという町へと向かう。

レイはいつものように、何かを書きながら黙々と歩いていた。


先ほど歌を聴いた広場に、ルリの姿があった。

まるで彼女のまわりだけに光が差しているように、ひときわ目を引いた。


「どう? 長(おさ)とはうまく話せた?」


三人に気がつくと、彼女が笑いかける。花が開くようだ。


「うん……この街のことを聞いたよ」


「あまり頼りにならない長だけど、大事な役目を担ってるわ。
今夜はどこに泊まるの?」


「どこでも使っていいと許可をもらった。教会跡に行こうと思ってる」


「あら、あそこは亡霊が出るわよ。うちの隣を使ったら?」


「……君は、信じているの?」


「亡霊のこと…?」

ルリは身を乗り出してタトの顔を覗き込んだ。


「ええ。会ったことがあるもの」


そして、いたずらっぽく笑った。


「ふふ。ね、今日はこの街を案内しましょうか?
私も、あなたたちの話を聞きたいの」


瑠璃色の瞳が、タトをまっすぐにとらえる。
タトは返事を飲み込んだまま、動けなかった。


「まずは中央町へ行きましょうか」


さらりと長い髪をかき上げ、ルリは三人を振り返る。


「うんっ!」


ミミが顔を輝かせて答え、ルリの手を握った。

いつの間にか、すっかり懐いたようだ。



ルリに導かれ、三人は廃墟が点在する通りを抜けていった。


「私はいつも色々な町を回ってるの。頼まれごとをしたり、子どもたちの相手をしたりね」


彼女が通ると、子どもが走り寄ってくる。


「ルリ! 今日のお昼の歌はなぁに?」

「おばあちゃんが、膝が痛いって」

「南で大物が取れたから、ハンスが来てって!」


ルリは一人一人に丁寧に声をかけながら、 
歌うように手配をしていく。


「今日は西町で歌いましょう。聞きたい子には声をかけてね」

「辛い痛みには手当てをしましょうね。リリ、東町でヒシの薬草をもらってきて」

「サナはゲンたちを連れて、ハンスのところへ」


伝言、見守り、物資の配分、町と町をつなぐ役割まで──

気がつけば、すべてがルリを中心に回っているようだった。


けれど本人は、「好きなことをしてるだけよ」と、屈託なく笑った。


タトはその姿から目が離せなかった。


一方レイは、タトと皆の様子を無言で見つめていた。


人の輪が遠ざかっていく中、レイの背に冷たい風が触れる。

レイは、何者かの視線を感じていた。



(つづく)


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望月むう(ムーン)🐾|物語と思考|物語に浸りたい ここまで読んでくれてありがとう♡