#7-2 氷壁の秘密|追憶のオリジン~氷の女王の眠る街

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7−2 氷壁の秘密
ミミはマントの中で、炎の力を潜めていた。
タトはそんなミミをかばうようにして、氷のウォールに向かって大きく息を吸った。
「運命を待つことは、破滅を待つことだ!女王に、冷気と瘴気を止めてもらう!」
「それを判断するのも我々です」
レイは、鋭く切り込んだ。
「では、なぜ世界を修復しない?パレスからの光を届けるのが先決だろう?」
「……修復したら、また壊れるでしょう?
このままで良いのです。
今までのように、身の丈に合った生活を、静かに続けなさい」
「僕たちは話し合うために来た。パレスへ通してくれ」
ウォールの声が低く沈む。
「決定事項は変えられません。
どうしても帰らないというのなら、あなた達も、この氷の壁の一部になりますか?」
その瞬間、雲が割れ、日が差した。
白い氷の壁が照らされて、中がきらりと透ける。
壁の中には、たくさんの人が立っていた。
「オリジンは、女王を守る壁になってもらいます」
左右に延々と続く氷の凹凸。それは何百年もの間、世界を救おうとここを訪れた、「先代」たちのなれの果てだった。
呆然と立ち尽くすタトたちに強い風が吹き付ける。
舞い上がった雪が、ミミのマントのフードを跳ね上げた。
あらわになる、真っ赤な髪と耳。
黄金の瞳。
ミミは今にも全身から炎を上げそうだった。ウォールを睨みつけ、奥歯を噛み締めて耐えている。
だが、ひと言も発さない。
それは、もう二度と、自分の衝動的な炎で仲間を危険にあわせない、という強い意志だった。
その地底のマグマのようなミミのオーラを見た瞬間、
今まで氷のように動かなかったウォールの顔つきが変わった。
「……!!おまえは……赤獅子の子!!」
息を呑んだウォールは一拍置いて、低く笑った。
「ふふふ、面白い……。これはドーマが喜ぶ。
どうしても通るというのなら、いいでしょう……」
手のひらを返した態度に、三人は眉をひそめた。
ウォールはスッと腕を上げると、門の奥を指さした。
「この先の階段を頂上までいくと、もう一つの門があります。
そこに、ドーマという男がいます。
彼に審判を仰ぎなさい」
「何だ?ミミの力を警戒したのか?」
「ふふ。
どんな制裁が下されるのか、私も見物させてもらいますよ……」
スッと一方の足を引き、門の奥へと進むよう手で大きく促した。
「この門の先は、時間の概念がありません。足を踏み外さないようせいぜい気をつけて、ドーマの元へたどり着いてごらんなさい。」
ウォールはどこか楽しそうに、口角をニヤリと上げた。
「さあ、おゆきなさい」
だが、その目の奥は背筋が凍りそうなほど冷たく、三人を睨みつけたままだった。
笑っていても、固い拒絶だけは微塵も揺らがない。
認められたわけではないことが、はっきりと分かる。
「この先はいっそう、気を引き締めたほうがよさそうだ」
三人は顔を見合わせると、頷きあった。
そして、ゆっくりとウォールの横を通り、冷たい氷の門をくぐった。
三人が門の中に入ると、ウォールは一瞬にして、厚い氷で門を塞いだ。
もう、後戻りはできない。
外の氷の中から、多くの人々の影が、彼らを無言で見送っていた。
(つづく)


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