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#4-13 瑠璃石のペンダント|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街

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ルリがヴァリスの町を旅立つと告げてから、彼女の家には人の出入りが絶えなかった。


野菜や干し肉、布、手紙……次々と贈り物が届き、訪れる人々は別れを惜しんだ。


ルリは一人ひとりに丁寧に応じた。


「ありがとう、ハンス。愛しているわ」

「リリ、大事なお守り、嬉しい。町をお願いね」


その声はあくまで柔らかく、落ち着いていた。


人々は名残惜しそうにルリの抱擁を受け取り、

当日の見送りには長蛇の列ができていた。




「……これ、いつ出かけられるの?」


はじめは物珍しそうに見ていたミミも、肘をついてぼそりと呟く。



「私たちのルリを頼みます」

「どうか、無事に帰還されますように……」



そんな声が次々に玄関で交わされていた。



レイは感心したように呟いた。


「すごいな……これはもう、信仰に近い」


タトは頷く。


「それだけ、ルリがこの街を愛してきたんだ……」


「タトは単純だよね」


「えっ、そうかな?」


ふいっと顔をそむけるレイ。

「別にいいけど」



──そのとき。



「お待たせしました。さあ、行きましょう」


ルリは栗色の艷やかな髪をサッと結んで振り返った。


それまで、顔周りできらきらと揺れていた豊かな髪が、白く細い指に梳かれて、一本にまとまり、背中へと流れた。


タトはその所作に、なぜか胸を掴まれたような気がして、動けなかった。


ルリがチカチカと光って見える。

また、胸が苦しくなる。



レイがタトを振り返る。


「……タト?」


「あ……、うん」


あわてて外へ向かいながら、タトは、自分の短い髪先に触れた。





外に出ると、見送りの列の最後に、ティルが立っていた。


ルリは、彼の前へ出ると、大きく息を吸い込み、

町の人々に届くように言った。


「ティル!
あなたは長を継いで、いずれこの町のリーダーになるわ。

あなたには、その素質も、資格もある」


そう言って、胸元から外した瑠璃石のペンダントをそっと背伸びをして、ティルの首にかけた。


「これを、持っていて」



ティルの瞳が揺れた。

何も言わなかったが、その瞳はしっかりと、ルリの瞳を見つめ返していた。




「みんな、行ってきます!」



ルリは明るくそう言って、ヴァリスの地を後にした。



高く澄んだ空の下、

栗色の髪を結い、瑠璃色の瞳を輝かせた少女は、

かつての塔の街をしっかりと背にして、歩き出した。




(つづく)

*ラピスラズリ(瑠璃石)のペンダント*



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望月むう(ムーン)🐾|物語と思考|物語に浸りたい ここまで読んでくれてありがとう♡