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#4-14 二人のタト|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街

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ザワ、ザワ……

心の奥で、何かがざわついていた。

けれど、それが何なのか、タトには分からない。



ヴァリスを出て野営中。

タト、ミミ、レイ、そしてルリの四人になった一行は、次の街を目指していた。

みんなはすでに眠っていて、タトは一人、火のそばにいた。

昼間のことを思い出す。


水辺で、

「髪を伸ばそうかな……」

何気なくこぼれた一言。

それを、レイに聞かれてしまった。


「……似合わない」

カツン、と靴を鳴らし、レイは踵を返して去っていった。

タトの顔が一気に熱くなった。


――なぜ、口をついて出てしまったのか。

頭を抱え、ため息をつく。


ルミナリーをでてから、ここまで、色々とあった…

初めて見ること、初めて感じる責任、初めて味わう感情…

タトの世界は、目まぐるしく変わっていく。

そしていま――


ルリに出会って、ボクは……

ボク?

……ほんとうに?


わたし…? いや、ボクだ。

ボクなんだ。

ボクは、ルミナリーのタト。



熾石を胸元から取り出して、じっと見つめる。

何度も加熱し直され、表面はすっかり古びていた。


婆はどうしているだろう。

ジルやニナ、故郷ルミナリーの街のみんなは――。


ボクは……いや、わたしは、

あたしは……


タトは、ふと、遠い記憶に触れた気がした。

守られていた、小さな頃の記憶。

あの頃の自分と、ルリの笑顔が重なる。

好きだったこと。憧れていたこと。

でも、強くなりたかった。

男のように。誰かを守れるように。

それも、確かに本当だった。


体を鍛え、技術を身につけ、今の自分には満足だ。

けれど――

ルリは、そのままで、強い。

女性なのに、笑っているのに、強い。

美しい……

ルリは、ほんとうに、美しい。



ふと気づけば、空が白みはじめていた。

みんなの静かな寝息が聞こえる。


――いつの間に、眠っていたのか。


薪をくべようと手を伸ばすと、隣にいた誰かも同時に薪へ手を伸ばした。


えっ?

……誰だ?

顔を上げて目を合わせる。

――タト、だ。

自分だ。

なんだ、自分か……?

……え?

ええ?

ええええええーーーー!?!?


タトは目を剥き、声にならない声を上げた。

その様子に、ミミが目を覚ました。



「あれ、タト……? ふたり……?? なんで?」
 

タトは、なぜか――ふたりになっていた。




(第五章へつづく)


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第四章のまとめ



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