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#5-8 異なる信念の中で|追憶のオリジン~氷の女王の眠る街

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第8話 異なる信念の中で


地下都市ラーフェは、とても快適で、興味深かった。
ルリとミミは毎日のように、迷路のような街を歩き回った。

タトとレイは、モーゼに頼み込み、書庫を訪れた。

青の広場にある書庫は、湿気を完全に遮断した石造りの空間で、数百年にわたり受け継がれた地下都市の記録が、整然と並んでいた。


「書物もたくさんあるだろう?私もすべては把握していないのだよ。
写したいものがあれば、管理の者に声をかけておくれ。」


レイは古い書物を慎重に手に取り、外の世界や伝承に関する記録を探した。
タトは地下都市の歴史書を一冊ずつ丁寧に読み進めた。



また別の日は、黄色の広場にある発掘品の倉庫を訪れた。

そこには瓦礫や石、化石や木の根……乾いた土の匂いが棚ごとに漂っていた。


「ここはね、土の中から見つかった珍しいものを保管しているの。
モーゼは集めるのが趣味で、ガラクタばかりが増えて困っちゃうのよ」


ラーは苦笑しつつ、部屋の奥へ案内した。


「彼は古いものを捨てられない人なのね。
きっと全部、なにかの記憶だと思っているんだわ。」


続けて、少し声をひそめる。


「私のお気に入りは、こっちの棚にあるのよ。」


その棚は布が敷かれ、埃が払われているだけなのに、空気まで澄んで見える。ラーの感性で選ばれた品々は、どこかオーラをまとっているようだ。

その一角に――


黒い六角柱の石が、ひっそりと置かれていた。

タトとレイは同時に足を止めた。


「……あった」


レイが低くつぶやく。

タトはそっと手を伸ばし、触れた。その瞬間、黒い表面がゆっくりと白く透き通り、中から淡い光があふれ出した。


「まあ……!!これ、そんなものだったの?」


目を丸くして驚くラーに、タトは固く頷いた。


「これが、探していた『オリジア石』です」



その日の食事後、タトはモーゼに尋ねた。


「この石を、譲っていただけませんか?」


モーゼは少し驚いたように目を細めた。

タトは希望の塔のオリジア石を、ミミは友情の塔の石を、
そして、レイは知識の塔の石をそれぞれ差し出した。


「ほう……同じものが、すでに三つあるのかね。これが源光盤と同じ石で、塔の象徴というわけか」


四つの石が並ぶと、淡く光が重なった。モーゼはその光を見つめ、少し考え込んだ。


「なるほど、興味深い」


「氷山のパレスに入るのに、必要だと言われています」


モーゼはゆっくり頷いた。


「――いいだろう。必要なら持っていきなさい。ただし、役目を終えたら、ここへ戻してくれるかな?これは大切なコレクションのひとつだからね」


そう言って、ウインクをしてみせた。



ラーフェの人々は、『オリジン』に関しても探す予定はないという。

タトたちはこの地下都市で、他の街にはない知識や技術、エレメンタルの魔法に触れた。
ラーフェの人々は皆、穏やかで優しかった。

しかし、彼らの信念は交わることはなかった。

五人は一週間後、地上へ戻ることを決めた。



「残念だわ。またいつでも、いらっしゃいね。」


タとトは、ラーの手を握り丁寧にお礼を言った。


ラーに見送られながら、五人は来た道を戻る。

それぞれの色を象徴した広場を抜け、初めて訪れた緑の広場の回廊を通り、小さな通路へ入った。


やがて、教会塔の裏にある簡素な扉から外に出ると、外の風は刺すように冷たかった。

森の上部は白く、雪が舞い始めていた。



(つづく)


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望月むう(ムーン)🐾|物語と思考|物語に浸りたい ここまで読んでくれてありがとう♡