#3-9 レイの力|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜
第9話 レイの力
作戦会議は続いていた。
「僕は後方から知識を提供する。支援はするけど、前線には出ない。――それから、僕の護衛もよろしく頼むよ」
あまりに当然のように言うレイに、タトは呆気にとられた。
「なにそれ!」
ミミがカッと立ち上がる。
「ねー、そもそもさ、こんなヒョロヒョロで森を歩けんの?遅れて魔獣に襲われてもミミ知らないからね!瘴グマにガブリだよ〜?」
わざと脅かすように言うミミ。
「その点は問題ない。それより、君の魔力の放出が気になる」
「へ? 何言ってんの?」
レイはミミの額を指さす。
「気づいてないの?怒りが高まると、魔力が無意識にあふれ出てる。魔獣を寄せつけないほど、強力なやつが。
……ほら、集中して、魔力をまとめてごらんよ」
ミミは、ぽかんとしたままレイを見上げた。
「やれやれ、無自覚とは恐ろしいね。うまく使えば便利なのに」
タトが驚いたように言う。
「ボクには魔力なんて、まったく見えないよ。……レイ、キミも魔法を使えるの?」
レイは少し間をおいて、視線を外した。
「魔法というほどのものじゃないよ。ないと思ってもらったほうがいい。役にも立たないだろうからね」
「……そっか」
「さあ、行こう。
氷山は、いつ大災害を起こすか分からないからね」
レイは整った顔を少しも動かさずに、淡々と言った。
*
ライアンが慌ただしく動いている。
「ああ、あんなにも動かなかったレイが……!しっかりいってくるんだぞ!
さあ、装備を整えよう!あれと……これも……!」
「必要なものだけ、もらっていくよ」
「ああっ……神のご加護を!!」
「大袈裟なんだよ。
やるべきことをやるだけだ」
『やるべきことをやるだけ』
――タトはその言葉を聞いて、故郷のジルの口ぐせを思い出した。
レイとは、きっとうまくやっていける。
そう思った。
他のオリジンに助けてもらおうと思って出発した旅だった。
それなのに、いつの間にか、仲間と共に氷山を目指している。
タトは、この不思議な運命を――そっと胸にしまった。
(つづく)
第9話 レイの力 - 追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜|不思議な六角柱の石が世界の謎へと導く冒険ファンタジー | Tales 物語・小説
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