#2-12 火の子、ミミ|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜
第12話 火の子、ミミ
旅をしている時のミミは、
必要な時以外に火を使わなかったし、しっかりと自分の力をわきまえているように見えていた。
それがーー
「制御できなかった…?」
「ええ。
感情が高ぶると、その力は街をも巻き込みました。あの子が原因でこの街が壊滅しかけたことも、何度かあったのです」
言いながら、エリザの手がひざの上で強く握られる。
「我々の決まりに従わず、どれだけ諭しても、戒めても、厳しくしても、きかなかった。」
唇をキュッと結んだ。
「もう、我慢できなかった…。
だから……そうせざるを得なかったのです」
エリザはふっと一息吐くと、落ち着いた声で言った。
「あの子自身も、居場所をなくしたのが分かったのでしょう。
ある日、ひとりで出て行きました。それきりです」
静かに語られる過去に、タトは黙って頷いた。
それが肯定にも否定にもならないことを、エリザは感じ取ったのか、視線を窓の外へと向けた。
「ルミナリーの方角にいたのですね……あちら一帯は、あの子が出て行ったあとで、一度焼き払われてしまったのです。森ごと、すべてが」
苦々しい響きに、沈黙がながれた。
ぽつりとエリザが言う。
「それでも、誰かのお役に立ったのなら…
――少しは、大人になったということかしらね」
ほんの一瞬、目を細めたその声には、薄く笑みが混じっていた。
けれど、笑ってはいなかった。
理性の奥にある複雑な痛みの響きが、タトの胸に残った。
(つづく)
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