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ティルの声なき語り① 〜サイドストーリー

こちらは「追憶のオリジン」第四章のサイドストーリーとなります。
※第四章のまとめは以下からどうぞ。
※本編マガジンはページ下部からどうぞ。


①光の少女


彼女は──

きっと、神に祝福された子だ

気がつけば自分と同じ
年頃の子どもたちの中に
ごく自然に、彼女はいた

いつも笑みを絶やさず
その瞳は澄み、
歌い、踊りながら
人々の心を癒していた

迷いがなく
たおやかで やさしく
けれども 
芯の強さを宿している


あの子は いつも
人々に求められていた

まるで光のように



ある頃から、彼女は
点在する集落を 
誰に言われるでもなく、
回るようになった

それぞれの集落に
必要な知らせを伝え歩き、
人々の間をつないでいた


そして
弱った者のもとを訪れては
手当をし、
そっと歌を歌い
その心をあたためた

仲間たちと力を合わせ
食べ物を分け、
足りない物資を届けて回る


けれど私は、
勇気がなくて、
手伝うこともできず
ただ彼女の後ろを
こっそりついて歩くだけだった



子供の頃は、
ルリの「しっぽ」や「影」と
からかわれていたけれど
今は、そんな言葉を
誰にも言わせたくはない

彼女が、溌剌とした少女から
しなやかで美しい女性へと
成長してゆくほどに、
私は心配でたまらなかった

だから毎日、
誰にも知られぬように
彼女のあとを追うのが
私の日課になった


たまに、無鉄砲な彼女を見ては
私が颯爽と現れて
彼女を守る場面を――

ただ、心の中で
何度も思い描いていた



またある時から、彼女は
夜の崩れた教会跡で
歌うようになった

日が落ちた後に外へ出ることは、
禁じられていた

なぜそんなことをするのか、
私には全く理解できなかった

彼女は、
亡霊を相手にしていたのだ


とうとう、神に
連れられてしまうのかと、
本当に恐ろしかった

それでも私は
相変わらず
彼女をこっそりと
見守っていた

夜に歌う彼女の存在が
もし誰かに知られたら…

それは決してあってはならない


しかし、ある日、
私は気がついた

彼女は、亡霊をも

慰めていたのだ



(②へつづく)→


☆本編はこちら


☆設定サイドストーリーなど


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