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社会人博士課程(社D)という選択:今振り返って思うこと

自分も気づけば31歳、博士取得後約3年(2022年9月)、大学教員も3年目(2023年4月~)と年々博士課程期間の記憶が薄まりつつもあるので、今更ながら後世の誰かの何かの参考になればと、社会人博士を選択した私の経験談みたいなものを残しておこうと思います。
これを機に誰かが博士課程に進んでくれたら嬉しいです。
あくまでも個人的主観がのった1サンプルの経験談なので、すべてがこうではありませんんが、今後博士進む方の何かの参考になればと思います!


社会人学生アドカレの12/15に投稿しています。ありがとうございます!


↓よければ拡散してくださると嬉しいです!

記事執筆者の前提

  • 大学時代、週3-4のサークルに明け暮れ、バイト(家庭教師→飲食店→塾講師)も沢山していたごく普通の学生(のはず)

  • 研究はロボット関係、研究室配属後B3後期10月より、モータ制御(ロボット)をはじめる。昔からロボコンやプログラミング等していた人でもない。

  • 修士修了後、2019年4月に新卒で民間企業に入社(配属ガチャどきどき)

博士へのあらゆる選択肢。修士後のキャリアについて(なぜ民間企業、社会人博士?)

私自身、小さい時から博士課程に進もうと思ってもいない人間でした。大学学部生の頃は、どこかの民間企業で働こうとぼんやりと思っていた感じです。ロボット研究はじめる前はとにかく面白いこと、世界を驚かせ、人々を笑顔にしていくこと。そして誰かの役に立つことをしたいと思っていました。ロボットの研究をはじめてから沼にはまったのですが。。。
そんな割と(?)どこでもいそうな人間がなぜ社会人博士などという(珍しい?)道を選択したのか、僭越ながら記載していこうと思います。

博士へ興味もったきっかけ

まずそもそも当時博士課程に憧れや興味がわいたのは様々な理由があるのですが、ぱっと箇条書きすると以下のような気がします。

①国内・国際学会 会議が楽しかった

  • 国内、国際会議への参加で、同世代や様々な世代の同・異分野の人との関わりが増えるのが楽しい

  • 研究を頑張ったご褒美に国内外色々な場所にいけるのも楽しい

  • 自分が提案した研究について、話す時間を頂けて、沢山の専門家とディスカッションができる

  • (学会参加後とかに、こういう事が仕事にできれば楽しそうと思い始める)

②短期海外訪問でいつ学んでも良いという価値観が芽生えた

  • 2週間という短い期間であるものの修士2年生の時にオーストラリアのタスマニアでホームステイとタスマニア大学での授業をうけ、そこには世界中から様々な年齢の方々が英語等を学びに来られていました。その時に、何歳になっても学び始めても良いのだと改めて気づかされたと思います。日本の中にいると、当たり前のように小、中、高とあがり教育をうけていくので、あまり世界に目を向けれていませんでした。

③研究、開発が楽しかった&どこか不完全燃焼だった

  • 研究や開発はとても楽しかったのも大きな理由です。もちろん、滅茶苦茶しんどいこともあったのですが、、、

  • あと修論を書いたものの、どこか不完全燃焼な気持ちもありました。

④教育が好き

  • 小さいときの夢が教員(not 大学教員)であったくらいに教育が好きであったこと。(ちなみにバイトは家庭教師→飲食店→塾講師)

⑤成し遂げたいことができた

  • 詳細は控えるのですが、色々と成し遂げたいことができました。

とまだまだ思いあたる節はあるのですが、いったんこの辺りで。。。

冒頭書いた通り、私はストレートで博士課程に進学していません。それは博士課程に進学するというビジョンが修士1年生から2年生初旬の就活時期ではあまりなかったためです。なので、ストレートで博士進学というのをあまり考えてもいませんでした(もちろん博士自体に興味はありましたが)。
当時の私はとにかくサービスロボットエンジニアになりたいと、無我夢中で就活をしていました。その当時は様々な人にお世話になり、今でも沢山の事を覚えています。

ではそんな人物がなぜ博士課程へと進んだのかといいますと、さきほど、①~⑤の通り、就活終わってから国際会議への参加とオーストラリアへの短期留学にいき、これら経験から博士課程、アカデミアの世界に興味がでてきたのがかなり大きいです。

ぶっ飛んでいるのですが、まとめますと、色々と就活後にアカデミアの世界を知っていくうちにアカデミアにさらに興味がわき、色々と本当の意味で自分の夢みたいなものを実現するには、大学教員になるのがいいのかも?と思うようになったことです。
といいつつも、これを内心思っていただけで、2019年3月に普通に修士修了し、2019年4月から民間企業に入社しました。

社会人博士 入学の決意

2019年4月に民間企業に入社し、ドキドキハラハラの配属ガチャの結果、名前から想像するに希望していたロボット部門ではなく最初は少し落ち込んだのですが、蓋をあけてみれば、ロボット・製造装置系の技術開発の職場でした。基本は産業用ロボットを活用した技術開発がメインですが、大学との共同研究もしている部署で自分的にすごく良い職場に配属されました(今思うとロボットのお仕事とわからずに就職していたので、かなりギャンブルではありましたが、、、)。
あと当時の(世間をあまり知らない)自分は将来的にはつよつよなロボットエンジニアとして活躍していきたいという思いがありました。その反面、うっすらもしチャンスがあれば大学教員にもなってみたいと思っていました。(当時の自分では能力的にも無理だろうと思ってはいましたが。。。)。

そんなこんなで、つよつよなロボットエンジニアになりたい自分もいれば、アカデミアの大学教員になりたい自分もいました。両方の道を捨てずに自分のスキルを磨く/自己投資するには何がいいかと思った結果、社会人博士を選択しました。安易な考えですが、社会人博士なら、民間企業でプロが沢山いる職場で世界最先端製品クラスの実応用技術や現場力が身につけられ、つよつよなロボットエンジニアに近づけると同時に、大学では自由に最先端な学問を追求できると思いました。

ですが、社会人博士といっても会社でそのような制度が当時あるわけでもなく、完全なる私費かつプライベートな時間での社会人博士です。(ようするに、平日帰宅後から研究、休日も研究みたいな生活です。)
勝手に社会人博士として、入学していいのかもわかっていなかったので、当時の上司に相談したところ、快く承諾して頂き、無事2019年10月の秋入学することができました。本当に入社してきた新卒の社会人がいきなり、博士課程に進みたいといって少し驚かれたのかもしれませんが、当時のOJTの方と上司には大変感謝しております。幸いにも社会人博士の件は職場の方にも徐々に広まり理解され、色々と雑談の中で応援もしてくださったこともあり、良い職場だったと思います。

社会人博士時代の生活

私は結果的には3年(2019年10月~2022年9月)で博士号を取得しました。
正社員で民間企業に在籍していたのは、2019年4月~2021年9月の2年半です。博士期間としては2019年10月~2021年9月なので丁度D1とD2の2年間は正式な社会人博士として過ごしていたことになります。そのあとは別企業でインターン等しておりました。2021年9月に何故、退職してみたいなところはまた何か機会あれば書こうかなと思います。ちなみに2021年9月以降は、2021年11月~2022年3月までOMRON SINIC X (OSX)でインターンシップや2021年11月~2022年9月まで国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST) 次世代研究者挑戦的研究プログラムに従事していました。

今回はD1,D2の民間企業に在籍しながら、博士課程の生活を送っていた時のことについて書こうと思います。

自分はロボット系の研究なので、実機実験との兼ね合いを考えると、うまいことテーマを考えないと社会人博士は厳しいと思っていました。それも大学は兵庫県にあり、職場は長野県等にあったためです。
戦略としては、基本的に大学にいけない期間はシミュレーションで新しい提案手法のアルゴリズム開発のサイクルをあげ、長期休み(ゴールデンウイーク、お盆休み、年末年始等)でシミュレーションで有効性を示した実機実験をしていく戦法です。

まず、社会人博士時代の日常はざっとこんな感じでした。
秋入学にはなるものの、事前に論文誌を書いていた感じです。

研修期間:2019年4月~2019年8月

入社してすぐは基本的に研修でした。
平日:

  • 6時起床

    • 朝始業前に研究、夜更かしすぎたらよく寝る

  • 9時~18時

    • 就業 (日により変動)

  • 18-19時帰宅

  • 1時~2時 博士研究、趣味開発等

土日祝:

  • 博士研究、趣味開発等

    • 基本的によくカフェで作業していた

  • 時々、息抜き等

趣味でRoomba Hackをしようと画策しているようす。


色々な研修がおわった後に、メーカ勤務だったので、製造実習がありました。研修では沢山の学びがあってとても良かったです。

製造実習期間:2019年8月~2019年12月 

基本的には3勤3休の勤務形態でした。

  • 勤務日(3日):

    • 6時起床

      • 朝始業前に研究、夜更かしすぎたらよく寝る

    • 8時~20時

      • 就業

    • 21時帰宅

    • ~1時、2時まで 博士研究、趣味開発等

  • 休日(3日)

    • 博士研究、趣味開発等

      • 基本的によくカフェで作業していた

    • 時々、息抜き等

      • テニス等

ここから長いので読み飛ばしてもらうのがいいかもです。

趣味でJetson nanoでRoomba Hackをしようと画策

仕事後の論文執筆…

Jetson nano の環境構築

少しずつ前進…

そんなこんなで… Nintendo SwitchのコントローラでRoombaがついに!!!
(あまり博士研究と関係ないことをなぜかしている…)

カフェで研究している図

この時は趣味開発が色々と楽しくてしかたなかった

なぜかこの時はJetson nanoでGazeboを動かす等…(開発PCもってなかったんですよね…)

https://x.com/MeRTcooking/status/1188863480188661760

点群で遊んでいる図

趣味開発ばかりしていたので、将来を予言している…

この時期はずっと色々開発して技術研鑽していた気がする。
https://x.com/MeRTcooking/status/1195319737594466304

だいたい深夜投稿ですが、CADをやっていた模様

おなじみのロボット本!


この時までは私費で中古PC買って開発してました…

社Dの時はTwitterにとても支えられました…

この時はまだエンジニアになり続けようとも思っていないので、まさかアカデミアに身をおくことになるとは…働くほど、自分の無知さを痛感しました。企業のプロの方はすごいとずっとなっていた記憶。


製造実習がおわってさぁ開発となり、、、後にコロナ期間に突入したのも覚えています。


ここからも長いので読み飛ばしてもらうのがいいかもです。

通常勤務・コロナ期間:2020年1月~2021年9月 

平日:

  • 6時起床

    • 朝始業前に研究、夜更かしすぎたらよく寝る

  • 9時~19,20時

    • 就業 (日により変動)

  • 20-21時帰宅

  • 1時~2時 博士研究、趣味開発等

土日祝:

  • 博士研究、趣味開発等

    • 基本的によくカフェで作業していた

  • 時々、息抜き等

この当時は趣味で自作ロボを何かつくろうとしていた

RoombaでROS のNavigationも動かしてみるなど。

メカナムでうごかしてみるなど、、、


こちらもNavigationでうごかしてみるなど。

YOLOであそんでいた

なつかしのロボ

なつかしのパート2!

https://x.com/MeRTcooking/status/1284511358784946177

何かいれようとしていた。

なにかうごかしていた。

https://x.com/MeRTcooking/status/1299739491028971520

2020年はこんな感じだったらしい

2021年にはついにロボットアームを私費で買っていた。

なんかテンションがあがっていた

ROSで動かしてみた

Qiita書いてた


ros controlやらHardwareInterfaceを勉強していた。

myCobotのContributorになっていた

コード公開していた

たまには研究のことも

よく雑誌もかっていた気がする

そんなこんなで2021年9月に企業を退職して、その後OSXのインターンを発見したのでした…(この当時の様子はまた別の記事にでも…)


と、Twitterでも思い出す限りで書いてみたら、こんな感じでした。Twitterでは研究の内容はあまり投稿していないので、実際には研究もちゃんとしていましたが、平日働きつつ、その後で研究する生活をもう一度しないといけないとなると、なかなか骨が折れるものがあります。

結果的にはこの1年後に、3年(2019年10月~2022年9月)で博士号を取得しました。

2019年~2022年の博士期間の業績はこんな感じでした。コロナ化や業務等で学外発表は控えめで,ジャーナル論文に力を入れていたと思います。(最近自身の業績を可視化してみるなどしています)

↑ソースはこちらです。


社会人博士を過ごしてみてのメリット・デメリット

メリット

  • 良くも悪くも精神的に少し余裕ができる

    • 博士研究がうまくいかなくても、企業に身をおいているので、安心感がある

    • 逆に企業でうまくいかなくても、大学に籍があるので何かしら社会的地位もまだある

    • 経験しましたが、両方うまくいかない時期は地獄です。。。

  • プロの人達から沢山学べる。

    • メカ、エレキ、ソフト、知財、デザイン、製造、保守保全等の達人が沢山いる。企業の人材の豊富さはすごい。企業のプロフェッショナルとの人脈が形成され、実務応用に関する情報が入手しやすくなる。

  • 同期が沢山できる。私が入社した会社は同期が高卒(工業系等)の方から博士卒の方までいました。個人的に年齢はあまり関係なく,高卒の方でもすごい技術をもった方や真面目に熱心に取り組んでいる方もいましたし,博士卒の方の安定感も凄かったです。適材適所感がありました。

  • 企業での実務経験が、大学の研究テーマ選定や、研究成果の実社会への適用可能性を考える際に、独自の視点をもたらす。ほんとに多角的な視点から見ることができるようになった気がする。

  • 企業で給料が安定して貰えかつ終身雇用なので、経済的に安心できる

  • 企業で働いてるので、アカデミアに行かなければ就活の心配もしなくて良い

  • 企業にもよるが、博士号を取得すると良い事がある。自分がいた会社はとても良い事がありました。色々と免除されるなど。

  • 良くも悪くもコロナで色々とリモートで対応になった。現地参加の授業だと交通費の出費はすごかったと思う。

  • 博士課程ではとにかく好きな研究が自由にできる。

  • 学割がつかえる。大学特有のサービスがつかえる。

  • 大学のお金で海外にいける。国際会議の発表など。(研究室に予算がある場合に限る)

  • ある意味、二刀流(大谷世代なので便乗)

デメリット

  • ストレートで博士課程に進学する人より、圧倒的に時間の確保が難しい。

  • とにかく3年で博士号を取ろうとすると、少し人間をやめないといけない。平日勤務後と土日研究は寝不足になりがち。(3年取得プランでなければゆっくりしていいと思います)

  • 同期などとあまり遊べなくなる。少し心苦しいが予定を断らないと研究もすすまない(3年取得プランでなければゆっくりしていいと思います)

  • 遠方勤務の場合、色々と大学にいかないといけない時に有給をつかわないといけない。学会参加なども然り。

  • 企業での業務と関連性が深いテーマを選ぶと、知財や守秘義務の問題から、研究成果の公表(論文執筆)に制約がかかる場合がある。そのため、全く別のテーマを選ぶ必要性に迫られることがある。自分はもともと別のテーマを選びました。

  • アカデミアにいきたいのであれば、就活までしている時間を捻出するのは割と厳しいかもしれない。(特にガチ公募狙いの場合)

  • 研究室に頻繁にいけないので、孤独との戦いになりやすい。自分の場合はSNS(主にTwitter)で回避した。

  • 長期間にわたり仕事と研究を送るため、肉体的・精神的な疲労が蓄積しやすく、バーンアウト(燃え尽き)のリスクが高まる。

  • ライフプランの設計は少ししにくいかも(?)

とぱっと思いつくものを挙げてみました。まだ何かありそうな気もしますが、、、

社会人博士や博士課程について思うこと

こんなこと言うと飛び火がくるかもしれませんが、社会人しつつ博士課程への進学や入学はもっと気楽なものとして考えてもいいのではないかと思います。
企業へ入社しても、なんやかんや資格の勉強があったり、なんかそんなつもりではなかった人も論文みたいなものを企業で書いたり、何か習い事をしたり、独学で勉強したりと、昇進するために自己研鑽をする人も多いかと思います。はたまた転職を見越して色々とインプット・アウトプットしたりと。

極端にいうと「博士課程も習い事のひとつ」みたいなフランクな感覚でも良いのではないかと思ったりもします。別に軽視しているわけではなく、気持ちの持ちようとして。。。
社会人で少し博士課程に興味がある人は、試しに入学してみて、いやとなればいつでも辞めてもOKだとも思います。疲れたり、ライフプラン的に学業に専念できなければ、休学も使っていいと思います。
大学によりますが、社会人博士制度を導入しているところは、社会人博士のことを配慮してくださる制度もあります。
たとえば3年間の学費で、6年間分在籍できるなど、社会人の忙しさを考慮してくれる制度もあったりします。

日本はどこか博士人材が少ないとよく目にしますが、社会人博士という選択が1つの何か博士人材の増加になればいいとも思います。そうすることで、産学連携が加速され面白い未来になるのかも?しれません。

長々7000文字くらいざーっと書いてしまいましたが、ここまでもし読んでくださる方がいましたら、ありがとうございました。
あまり文章がうまくないですが、また普通の博士課程にもどったD3の研究人生も時間があれば書こうと思います。ざーっとは企業で有効性インターンしつつ、博論との死闘と、アカデミア就活のお話など。
結果的に、ポスドクしたり、東大の松尾研で基盤モデル×ロボットしたりとでした。

ざっとはこちらに自分の20代の振り返りで書いているのでご興味あればよんでみてください!

現状は…

現状となるのですが、私の今のステータスとしては大学教員3年目で2026年は4年目となります。
テニュアトラック教員であり、任期は5年となっていて、今後審査に受かるのかどうかも色々とまだ謎に包まれています。
まだまだ大学で研究と教育をやっていきたいなと思うので、任期が外れるように頑張っていこうと思います。

ご興味あれば個人サイトものぞいてみてください!!!
一緒に研究したい学生さんもウェルカムです!!!


個人サイト


またどこかで見かけましたら、お声がけください!
(ついに本日12/15で31歳になってしまった…今後の人生どうなるのか…!!!!)

↓よければ拡散してくださると嬉しいです!

https://x.com/MeRTcooking/status/2002208025621467458


余談


最近はこんな研究しています!

ロボット教育サイトやコードもOSSで公開しています!

ありがとうございました!

2025年の振り返りももしご興味ありましたら!


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