文字を消して、終わりじゃない。――少し深い朱書きの話
「トルツメ」「トルママ」この二つは代表的な校正記号です。
校正記号「トルツメ」と「トルママ」。
実はこの違い、チームワークを左右する重要なポイントだとご存じですか?
トルツメとトルママの違い
「トルツメ」は取った後にその空いたスペースを詰めること。
「トルママ」は取った後はそのスペースを空けたままにしておくことです。
じゃあ「トル」だけの指示の場合は?と思う方もいらっしゃると思います。
「トル」の場合は「トルツメ」になります。
このことをご存じない方が多いかもしれませんが、「トルツメ」の方が圧倒的に多いため、あまり混乱することはないと思います。
ただし、「トル」だけで書くと、取った後はどうすればいいですか?
と聞き返してくださる方もいます。
なので、私は相手が迷わないように「トルツメ」と書くようにしています。
「トルママ」の出番はどんなとき?
主な出番の1つがレイアウトを崩したくないときです。
詰めてしまうと違和感が残る空きになったり、文字が詰められて改行が変わるとレイアウトが崩れ文字のオーバーフローが起こることもあります。
もう1つの主な出番は「禁則」への配慮や読みやすさへの配慮です。
現在は禁則がだいぶゆるくなりましたが、受けの」や句読点が文頭にくるのはさすがに違和感があります。
文章作成ソフトであれば自動的に禁則に配慮してくれますが、デザイン性の高いソフトを使うと自分で配慮することが必要な場合があります。
また、この単語と単語はつながっていないとわかりにくい、改行されると読みづらいという場合もありますので、ここでも活躍します。
戦略的な使い分け
主な出番をお話しましたが、最近ではデザインやインパクトを考えて使い分けることが多くなっています。主に広告やカタログで見られます。
デザインを考えるのは何も制作側・クリエイターだけの特権ではありません。
こうした方が伝わりやすいのでは? ここであえて改行しましょう、など校正・校閲側から提案しましょう。
制作側・クリエイターの方はデザインに関する議論が好きな方が多くいます(実感ですが)。普段は気難しそう、ほとんど話をしない方も自分の得意分野については語ってくれます。そんなに話すんかい、と思うことも。
そういったコミュニケーションを続けることでこちらを認めてくれ、仕事がすごく気持ちよくできるようになったことが何度かありました。
校正記号で大切なことは相手のことを思いやること
今回の「トルツメ」「トルママ」だけでなく、校正記号全体に言えることは相手のことを思いやることです。
校正記号は伝わりやすさと効率を突き詰めて究極の形にしたものと言えます。
そのため少し無機質に感じられる記号に見えることもあります。
詳しくは別の記事で書こうと思いますが、そこに相手を思いやる気持ちを少し加えることで、実務ではよりスムーズな仕事につながるのです。
あなたは制作側とどんなやり取りをしていますか?
追記:「トルママ」ではなく「トルアキ」で使用されている方も多くいらっしゃると思います。「トルママ」と「トルアキ」はまったく同じ意味とJIS校正記号でも定義されていますので、ここでは「トルママ」で記事を書いています。
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