個人事業主の発信が止まる理由は「文章力不足」ではない:土門蘭『ほんとうのことを書く練習』に学ぶ。#ほんとうのことを書く練習 #発信設計 #個人事業主
『ほんとうのことを書く練習』を軸に、なぜ個人事業主の発信が止まるのかを整理しました。「うまく書こう」とするあまり、他者の目を気にしすぎて言葉を失っている人に向けた内容です。本書のワークを実務に引き寄せることで、AI時代にこそ必要な「自分の水源」を確かめ、無理なく運用を続ける設計図が手に入ります。
最近、大事な打ち合わせの最中に、ふと自分の親指の爪の形が「銀杏(いちょう)みたいだな……」と気になってしまい、気づいたら20分ほど意識がどこかへ飛んでいました。
相手の話に相槌を打ちながら、脳内は銀杏のことでいっぱい。僕の集中力は、いつもどこかへ遊びに行ってしまいます。
こんにちは、メンタルツヨシです。
僕はADHD傾向があって、とにかく疲れやすく、集中が散りやすい。そんな自分を欠点として直すのではなく、「そういう前提条件」として受け入れた上で、いかに壊れずに働き続けられるか。
そのための思考と仕組みを、日々整理しています。
本業はWebライターをしていますが、最近は複数のオウンドメディアで、AIを使った制作フローの構築を請け負う「制作フロー屋さん」としての活動がメインになりつつあります。
AIで書ける時代だからこそ、逆に「何を、どう書くか」の設計が、商売の命綱になると痛感する毎日です。
そんな僕が、発信や運用に悩む皆さんと同じ目線で、今の時代にこそ必要な「書く姿勢」について整理しました。
プロフィール|メンタルツヨシ
今回は、土門蘭さんの『ほんとうのことを書く練習』をきっかけに、「発信が止まってしまう構造」を解き明かしてみたいと思います。SNSやブログが続かないのは、実は技術のせいではないのかもしれません。
発信が止まるのは、書けないからではなく「最初から読まれようとしすぎる」から
「何を発信すればいいか分からない」
「書こうとすると指が止まる」
個人事業主の多くが抱えるこの悩み、原因は「文章力」でも「ネタ不足」でもありません。
本当の原因は、書き始める前から「他者の目」を自分の脳内に招き入れすぎていることです。
土門蘭さんの『ほんとうのことを書く練習』で僕が確信したのはここです。
本書の核は、「誰かに読まれることを前提に書くから書けないのだ」という強烈な指摘にあります。
僕らの商売、特にSNSやnoteを運用していると、常に「役立てなきゃ」「ちゃんとしなきゃ」「売上に繋げなきゃ」というプレッシャーがつきまといます。
この「〜しなきゃ」という他者最適の視点が、第一稿の段階から入り込んでくると、言葉は一気に死に絶えます。
借りてきたような綺麗な言葉。
どこかで見たようなビジネス論。
それらを並べているうちに、自分でも何を言いたいのか分からなくなる。
それは、自分の言葉を「出力」しているのではなく、正解を「推測」している状態だからです。
「こう書けば正解だろう」という予測で書く文章は、書いていて少しも楽しくありません。
楽しくないから、当然続きません。
最近はAIを使えば、それっぽい文章は10秒で出てきます。
でも、AIが出した完璧な「他者最適」の文章を前にして、多くの人が公開ボタンを押せずに立ち止まる。
それは、その文章に「自分がOKを出せる言葉」が一つも入っていないからです。
設計不全は、スキルの欠如ではなく、順序の間違いから起きています。
最初から「読まれること」を目指すと、僕らのような疲れやすい人間は、その重圧に耐えられなくなってフリーズするのです。
「誰にも読ませない文章」は、公開発信の前にある“水路の掃除”なのだと思った
本書で提案されている「誰にも読ませない文章」を書くという実践。
これは単なる「逃げ道」ではありません。
むしろ、公開発信というプロの仕事に耐えうる言葉を育てるための、必須の前処理なのだと感じます。
例えるなら、それは「水路の掃除」です。
発信が続かない人ほど、いきなり「商品になる言葉」や「共感される言葉」という綺麗な水を流そうとします。
でも、水路自体がドロドロに詰まっていたら、どんなに綺麗な水を流しても濁ってしまう。
まずは、誰にも見せない場所で、自分の内側にある違和感、怖さ、曖昧さをそのまま書き殴る。
そうして水路を掃除して初めて、澄んだ言葉が流れるようになります。
例えば、整体師の方が発信をするとしましょう。
いきなり「腰痛を治す3つのコツ」を書こうとすると、どこかの教科書の写しのような内容になります。
そうではなく、まずは非公開のノートに「今日のお客様、本当はもっと伝えたいことがあったのに、言葉にならなくて悔しかった」と書く。
サロンオーナーなら「選ばれる理由」を捻り出す前に、「なぜ私は、あのお客様の笑顔をあんなに必死に守ろうとしているのか」を、独り言のように書いてみる。
塾講師なら「合格実績」の裏側で、「あの子が初めて見せた小さな変化に、実は泣きそうになった」という一次感情を掬い上げる。
この、誰にも見せない場所での「水源確認」がないままAIやテンプレートに頼ると、発信はどんどん薄っぺらくなっていきます。
AIは綺麗な水路を作ることは得意ですが、水源そのものにはなれないからです。
この「水路の設計」と「言葉の鮮度」の話は、僕がメイン垢(本垢)でずっと扱っている「継続できる運用の設計論」の根幹にもつながっています。
自分の一次感情という水源を汚さずに、いかに実務的な発信へと変換していくか。
その変換装置としての「型」を、僕らは使い分ける必要があります。
でも、装置を動かす前に、まずは水が流れていることを確認しなければならないのです。
この本は「文章術」だと思って読むとズレる。でも、そのズレがむしろ大事だった
正直に言えば、この本を「もっと具体的にバズる書き方が知りたい」と思って手に取ると、肩透かしを喰らうかもしれません。
「PREP法を使いましょう」とか「タイトルのクリック率を上げましょう」といった、即効性のあるテクニックは書かれていないからです。
実際、レビューを眺めていても、その抽象度や内省の重さに戸惑う声は見かけます。
「自分探しはもうお腹いっぱいだよ」と感じる人もいるでしょう。
でも、その「ズレ」こそが、今の僕らにとって最も価値があるものだと僕は思います。
世の中に溢れる文章術の多くは、「外側にどう見せるか」というデコレーションの技術です。
一方で、この本が扱っているのは「内側から何が湧いているか」を確かめる、いわば土壌改良の技術です。
すぐ使える型が欲しい人には、土をいじる作業はもどかしく感じられるでしょう。
しかし、発信が止まってしまう根本的な理由が「技術不足」ではなく「自分の言葉が定まらないこと」にあるのなら、テクニックを学ぶ前に、この本を読むべきです。
「共感を取りに行く文章」と「理解されうる文章」は、似ているようで全く違います。
前者は、相手の顔色を伺って言葉を選びます。
後者は、自分の「ほんとうのこと」を、他者が理解できる形に整えて差し出します。
どちらが持続可能かは、火を見るよりも明らかです。
相手に合わせ続ける発信は、いつか必ず息切れします。
でも、自分の土壌から湧いた言葉を届ける発信は、書くこと自体が自分への報酬になります。
書き方という「器」の前に、自分の言葉を雑に扱わず、大切に育てる時間を確保する。
それが、結果として「読まれる文章」への最短距離になるという逆説。
その逆説を、この本は静かに、でも力強く教えてくれます。
僕らが「ほんとうのこと」を書くときに気をつけたいこと
本書の主張は、一つの前提条件の上に成り立っています。
それは「内省を通じて、自分の中に静かな水源を見つけられる」という前提です。
ただ、僕のようなADHD傾向があったり、日々の業務に追われて頭がパンパンな個人事業主の場合、この前提が少し崩れやすい。
誰にも見せない文章を書き始めると、自分のダメなところや不安ばかりが溢れ出してしまい、そのまま内省の泥沼に沈んで、実務に戻ってこれなくなるリスクがあるのです。
「ほんとうのこと」を書くことが、結果として自己嫌悪のトリガーになってしまう。
そうなると、発信どころか仕事自体が止まってしまいます。
だからこそ、僕らは「書く時間」に厳密な制限を設けるべきかもしれません。
「10分だけ、水路を掃除する」と決めて書く。
深い穴を掘りすぎるのではなく、表面に溜まった泥をさっと流す程度にとどめる。
そんな「ほどほどの内省」という付き合い方があってもいいのではないでしょうか。
深入りしすぎて自分を壊す必要はありません。
あくまで、商売を健やかに続けるためのメンテナンスとして「ほんとうのこと」を扱う。
そのくらいの温度感が、僕らにはちょうどいいのかもしれません。
皆さんは、自分の「水源」を最近確認しましたか?
あるいは、深掘りしすぎて疲れてしまってはいませんか?
“読まれる文章”の前に、“自分が見捨てない文章”がいる
『ほんとうのことを書く練習』は、文章をうまくするための本ではありません。
それ以前の、「発信を続けるための前提」を立て直す本です。
個人事業主や小さな事業者にとって、本当に大切なのはバズることではなく、無理なく言葉を出し続け、信頼を積み上げることです。
そのためには、何よりもまず「書いている自分自身」が、その言葉に納得していなければなりません。
AIが普及した今の時代、外向きに整った「綺麗な言葉」は、もう無価値に近い速さで生成されます。
だからこそ、誰にも見せない場所で確かめた、ゴツゴツとした自分の本音が、何よりも強いフックになります。
今日からいきなり、素晴らしい記事を書こうとしなくていい。
まずは誰にも見せないノートの片隅に、今の自分が感じている「ほんとうのこと」を、一文だけ置いてみる。
その小さな一歩が、いずれあなたの商売を支える太い水路になっていくはずです。
まとめ
「うまく書こう」とする他者視点が、あなたの言葉を止めています。まずは誰にも見せない場所で「水路の掃除」をするように、自分の一次感情を吐き出してみてください。
その未完成な言葉こそが、AIには決して真似できない、あなたの発信の本当の種になります。
ミニアクション
今日、寝る前の5分だけでいいです。スマホのメモアプリか紙のノートに、今日仕事で感じた「誰にも言えない小さなイライラや喜び」を、一文だけ書いてみてください。公開する必要はありません。
まとめ:この記事の要点
発信が止まるのは、書く前から「他者最適」のプレッシャーがかかっているから
「誰にも読ませない文章」は、公開発信の質を高めるための「水路の掃除」である
テクニックより先に、自分の言葉の「水源」を確認する作業が、継続の鍵になる
AI時代の発信こそ、一次感情に基づいた「自分に嘘のない言葉」が差別化になる
著者・土門蘭さんのnoteでは、本書の背景にあるような「書くことへの向き合い方」が、より生々しく綴られています。ぜひ触れてみてください。
「書くこと」と「生きること」を整えるおすすめ本
死ぬまで生きる日記|土門蘭
書くことが生存とどう結びつくのかを、より切実にたどれる一冊。本書の背景にある「なぜ書くのか」を深掘りしたい人向け。
書く習慣〜自分と人生が変わるいちばん大切な文章力〜|いしかわゆき
自分の言葉で書き始めたい人に向く実践寄りの本。内省だけでなく、書く習慣そのものを回したい人の補助線になる。
自分の意見で生きていこう|ちきりん
「自分の言葉がない」「意見として外に出せない」と感じる人が、考えを整理して発信に変えるための思考補助として相性がいい。
今回紹介した本を含め、多くの「書くヒント」がKindle Unlimitedなら月額のみで読み放題になっています。一冊買うより安く、たくさんの思考に触れられるので、水路の掃除のお供にどうぞ。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
この話は、本の中だけで終わるものではなく、個人事業主やひとり社長の発信にもつながる気がしています。
「AIを使えば書けるはずなのに、自社の発信としてはうまく回らない」
「日々の仕事の中に素材はあるのに、記事にできていない」
「記事を書いても、サービスや問い合わせにつながる感じがしない」
そんな方に向けて、このテーマをもう少し具体的に整理した記事も書いています。
→ 設計思想について詳しく
このあたりの発信設計やAIライティング内製化は、実際の支援としても行っています。
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※本記事のエピソードは一部脚色を含みます。セルフヘルプとして、気楽に読んでもらえたら嬉しいです。
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