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初性交が早いと短命傾向、では高齢童貞は勝ち組なのか

早い初体験は健康に不利らしい。そういう研究が出た。

健康記事を読むとき、人はたいてい無意識に自分の順位を探しています。この研究も例外ではなくて、読んだ瞬間に僕は「じゃあ遅い側は勝ちなのか」という都合のいい発想に飛びついていました。この願望がどこで足を踏み外すのか、順番に見ていきます。

研究が言っていること

中国・山東大学のグループが、初めての性交を経験した年齢と、寿命や虚弱度の関係を調べました。2026年3月に『Healthcare and Rehabilitation』へ載った論文です。

使ったのはメンデルランダム化という手法。英国バイオバンクの約39万人分の遺伝データから、「初性交年齢が早い傾向」に結びつく遺伝子の目印を取り出し、それが長寿・フレイル指数・親の寿命などとどうつながるかを推定しています。遺伝子のくじは生まれた時に一度だけ配られて、後から引き直せない。だから普通の観察研究より逆向きの因果が入りにくく、一段だけ因果に踏み込める設計です。

結果はこうでした。遺伝的に初性交が早いと予測される傾向は、長寿になりにくさ、虚弱度の高さと関連していた。しかも本人だけでなく、親の寿命が短いという傾向とも結びついていた。強く効いていた媒介候補は、フレイル、慢性閉塞性肺疾患、心理的なつらさ、そしてADHD傾向だったそうです。

「早いと計画性がない」とは言い切れない

ここで衝動性の話が出てきます。ADHDの特徴のひとつが衝動性で、先を読まずに動きやすい。だから早い人はリスク行動も習慣化しやすい、という筋書きです。

ただ、研究は衝動性そのものを測っていません。著者自身がその点を断っています。しかも媒介候補には、喫煙のようなリスク行動と、教育や経済状況のような環境要因が同居している。早い初体験が「だらしなさ」を映しているのか、それとも早婚文化や貧困を映しているのか、この設計では分けられない。

もうひとつ、目印そのものの不純さもあります。初性交年齢が早い傾向に結びつく遺伝子の目印は、実は教育年数や社会経済状況にも効いている。目印が「早さ」だけをきれいに指しているとは限らない。純度の低い目印で傾きを引いている、という前提は忘れないほうがいい。

親の寿命まで動いた事実が、その証拠でもあります。本人の初体験が親の寿命を縮めるはずがない。つまりこれは、家系で共有される遺伝や環境の束が、「早い初体験」と「短命」の両方に出力されているだけ。初性交年齢は原因ではなく、束を映す目印です。

だから「早い→計画性がない→短命」という三段論法は、真ん中が抜け落ちる。

では高齢童貞は正義なのか

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