【個人開発】名作との出会いは、冒頭の一文から。文豪たちの書き出しだけをひたすら読めるWebサービスを作りました。
こんにちは、芽芽斗 守(めめと・まもる)です。
昨日、息子の卒園式がありました。
式の前日にまさかの嘔吐で早退。
病院に連れて行くと、入院するかどうかの瀬戸際でした。
幸い血液検査の結果はすぐに入院を要するものではなく、
点滴を打って回復し、無事に卒園式を迎えることができました。
注射の際、私たち夫婦は部屋から追い出されます。
扉越しに聞こえてくる「嫌だよ、痛いよ」という叫び声に、夫婦でただうずくまることしかできませんでした。
その余韻が強すぎて、卒園式当時は感動に浸るどころか、無事に終わってほしいという緊張感でいっぱいで、涙を流す余裕もなかったです(笑)。
この一連の流れを、少し自分に重ねてしまいました。
私はこの3月いっぱいで今の会社を卒業する身です。
先ほど最後の産業医面談も終わり、会社の人と話す機会もこれでおしまいになります。
嘔吐して病院へ行き、点滴を打って回復し、卒園式を迎えた息子。
その小さな背中が、休職して回復しながら、復職ではなく起業の道を選んだ自分と、どこか重なって見えました。
そんなひとつの区切りのタイミングだからこそ
今回はいつもと少し違う切り口で、noteを書かせてください。
自分が本当に欲しかった文学系Webサービスを作って、
無料公開した話です。
稼いでいない私に、渡せるものはあるのか?
改めまして、いつも読んでいただき本当にありがとうございます。
noteを書き続けていると、人間の性というか、少し欲が出てきます。
「もっと皆さんの役に立つ情報を」
「いわゆる『有料級』と呼ばれるような記事を書いてみたい」と。
ところが、編集画面を前にして手が止まってしまいました。
今の私に、「有料級」として出せるものなんてあるのか、と。
世間で言う「有料級」のコンテンツとは、だいたいこういうものです。
「こうやって稼ぎました」という実績か、
「この通りにやれば成功する」という再現性の高いノウハウ。
翻って、いまの私はどうか。
40歳で長年勤めた会社から距離を置き、現在はキャリアブレイク中。
あと2週間もたたずに卒業する身で、その後も完全に回復するまでは傷病手当をいただく身ですから、そもそも1円も稼いではいけません。
最近は小説の新人賞も落選続きです。
文章を書くという点では、輝かしい成功体験も、
誰かを儲けさせる魔法のノウハウも、私の手札に一枚もありません。
稼げない人間は、価値を提供できないのか?
この2ヶ月ほど書き続けながら考えて、ある結論が出ました。
私なりの「有料級」の定義。
それは、お金を取れるノウハウを語ることではなく
「読んでくださる方が、読み終えたあとに何か一つ、
行動や視点が変わっている状態を作ること」だと思い至りました。
たとえばこの記事であれば、読み終えたあとに
「そういえば自分も、誰かに渡せるものがあるかもしれない」
と思ってもらえること。
あるいは今日紹介するWebサービスを開いて、
文豪の一行目に出会えて良かったと思ってもらえること。
そうですね。それだけでいい。
「読んでよかった」ではなく「何かした」に変わる瞬間を作ること。
それが私の考える、有料級と言えるひとつの条件です。
成功体験が語れないなら、いま自分が「本当に欲しい」と思ったものを作って、そのまま使ってもらう。
来年1月に起業するまでは広告も入れず完全無料で公開する。
それが今の私にできる、正直な差し出し方です。
冒頭一行に、作者の魂が宿る
小説を書いたことがなくても、
こんな言葉は聞いたことがあるかもしれません。
「作家は、冒頭の一行にすべてを込める」
「書き出しの一文が、その小説の運命を決める」
最初は「本当にそうだろうか」と思っていました。
でも、新人賞に向けて原稿に向き合い続けると、
それが痛いほど事実だと、身をもって知らされました。
冒頭のたった一文で、読者をその世界へ連れて行かなければならない。
その産みの苦しみは、想像以上でした。
たとえば、太宰治は『走れメロス』をこう始めています。
「メロスは激怒した。」
たったの数文字。でもこの一文を読んだ瞬間、私たちはもう、メロスという男の体温の中にいます。これが書き出しの力です。
見つからなかったので、作ってしまった。
だからこそ私は、どうしても欲しいものがありました。
先人たちが血を吐くような思いで紡ぎ出した
「名作の冒頭」だけを、ひたすら読めるWebサービスです。
芥川龍之介、太宰治、夏目漱石。
文豪たちが命を削って生み出した書き出しに触れ、
自分の作品の参考にできる場所。
探しても見つからなかったので、
AIという名の「最強のパートナー」の力を借りて、
自分のために作ってしまいました。
そうして出来上がったのが、『冒頭収集館』というWebサービスです。


Webサービスに向き合い続けてきた15年以上のキャリアを活かして
とにかく「言葉に没入できる体験」にこだわりました。
スマホなら上下にスワイプするだけで、
純文学から推理小説まで、文豪たちの冒頭に次々と出会えます。
心が動いた一行があれば、
ハートを押して「書棚」に保存する。
ただそれだけです。
自分が使いたいからこそ、複雑なメニューは徹底的に省きました。
【動作環境】
iPhone / iPad:Safari(推奨)、
Chrome Android:Chrome(推奨)
PC:Chrome / Safari / Edge(最新版)
※ Internet Explorerは非対応です。
※ PWA対応ブラウザではホーム画面に追加してアプリとして使えます。
創作に悩む人にも、
通勤中にただ良い言葉に触れたい人にも。
敷居は低く、言葉の密度は高い。
そんな場所を目指しました。
不自由な今だからこそ、できること
私はまだ、何者でもありません。
稼ぐ方法も語れません。
ただ、少なくとも来年1月に起業するまでの間、
giverでありたいと思っています。
だから今は、自分が本気で欲しいと思って作ったこのサービスを、惜しみなく完全無料で公開することができます。
創作の書き出しに苦しむ誰かや、
ただ美しい言葉に触れたい誰かの背中を、ほんの少しでも押せたなら。
それが、不自由な状況にいる今の私がたどり着いた、
一番正直な「有料級」の答えです。
もし興味を持っていただけたなら、このWebサービスの裏側やAIとどう作ったかなども、いつか書いていけたらと思っています。
引き続き、見守っていただけたら嬉しいです。
