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にせものの「ほしいもの」に惑わされない方法

誰しも、ほしいものがある。

高い年収。
柔軟な働き方。
立地が良くて広くて快適な家。
幸せな結婚生活。かわいい子ども。

でも、これらは本当にあなたがほしいものなのだろうか。

本当はほしくもないものをほしいと思わされていないだろうか。

ほしくもないものをほしいと思わされて、思い悩んだり、貴重な時間やお金を使うのはもったいない。

わたしはすぐに欲望が刺激される。ついこの前も久しぶりに友人に会って欲望がむくむくと湧いてきた。しょうこりもなく欲望に負ける自分に笑えてくる。

人のものが欲しくなってしまう心理を解説した本を読んだので、偽物の欲望を滅する方法をちょっと実践してみる。

あなたのほしいものが、ほんとうにほしいものかどうかを判定する助けとなりますように。


本当にほしいものと、ほしいと思わされているもの

ほしいものには2種類あります。

本当にほしいものと、ほしいと思わされているもの。

先日読んだ本ではこれを、Thick Desires(濃い欲望)、Thin Desires(薄い欲望)と表現していました。

ほしいと思わされているもの
Thin Desires(薄い欲望)は表面的な変わりやすいもので、たいていは外部の刺激から生まれるもの。他の人の欲望を模倣したもので、追いかけても本当の達成感は得られず、むしろ虚しさを感じる。例えば、最新のファッションだったり、SNSでフォローワーを集めることだったり。

本当にほしいもの
Thick Desires(濃い欲望)は個人の価値観と深くかかわるものです。外部の刺激によっては容易に変わらず、意義深い満足感を与えてくれます。例えば、家族との強い絆を築くことだったり、やりがいのある仕事を追求することだったり。

書籍Wantingからの筆者意訳

外からの刺激に振り回されて、ほしいと思わされているものばかり追いかけていたら、空虚な気持ちになることは間違いありません。

ほしいと思わされる仕組み

本を読んでハッとしたことは、ほしいと思わされるきっかけが2つあるということです。

憧れの人が持つものがほしい

1つ目は、有名人やフォローワーが多い人など、自分が憧れる人のもつものがほしくなること。これはインフルエンサーという職業が成立していることからも、容易に理解できます。

そして、これは時に「自家用ジェットは時間と場所の制約なく、会いたい人に会えるから最高だ」などと、明らかに自分の現状とは次元が違う欲望を見せてきます。

著名人やインフルエンサーなど、遠くから憧れる存在の欲望を私たちは模倣します。彼らが選ぶモノや生き方を見ることで、それが価値あるものだと感じ、自分も欲しくなるのです。
ただし、彼らとは同じステージにいるとは思っていないため、競争心は生まれません。

書籍Wantingからの意訳

こちらは比較的気付きやすいです。そしてSNSのフィードを整理することでコントロールしやすい欲望です。

身近な人が持つものがほしい

2つ目は、友人や家族、同僚など身近な人が持つものがほしくなること。
持ち物だけでなく、例えば結婚した、子どもができた、家を買った、仕事で昇進した、年収XX万円を超えた、起業した、などといった人生における大きなイベントなどもほしいものになります。

そして、身近な人が持っているものを自分が持っていないときは「自分だけなんだか前に進んでいない」といった劣等感や焦燥感を抱かせたりします。

身近な友人や同僚、家族などの欲望は、距離が近いため強い影響を与えます。たとえば同僚が最新のスマホを買ったり、仕事でマイルストーンを達成したりすると、自分も欲しくなることがあります。それは本当に必要だからではなく、近くの誰かが持っているからです。
彼らとは同じステージにいると思っているため、競争心が生まれたり、自分が持っていないことに対して劣等感を抱いたりします。

書籍Wantingからの意訳

これは身近な人から無意識化で影響を受けて、欲望がコピーされるので気づきにくいそうです。そして、身近な人と交流を断つことも難しいので、コントローすることが難しい欲望です。

わたしが欲望に溺れていた原因

ここ数ヶ月わたしが欲望に溺れていた原因は、身近な人の持つものがほしくなってしまっていたからでした。

育休中で時間ができたので、普段はなかなか会えなかった学生時代の友人たちと久しぶりに会っていたのです。

お互い近況報告をすると、結婚したり子どもを持ちながらもキャリアを積み重ねる友人たち。そのキラキラした毎日が眩しいこと眩しいこと。

家庭優先17時帰宅を厳守しながら30代前半で准教授のポストについたケロッピ好きパパ
・「結婚します。引越します。退職します」の報告を、フルリモート・帰省費支給のVIP待遇で引き留められた会計士
・夫の海外転勤に合わせて、0歳児を抱えて現地採用で転職を果たしたトリリンガル

ライフステージの変化の中、まばゆく輝く友人たち

刺激的で楽しい話を聞いた後、家に帰って自分の方に目をむけると、なんだかパッとしない気がしてしまったのです。

一度は机を並べた友人たちだからこそ、無駄に劣等感を刺激されたのでしょう。

本当にほしいか、わかる質問

自分にとって意味のある欲望なのか調べるには、自分に質問してみるのが良いみたいです。

友人たちの話を聞いて、なにを欲しいと思わされていたのかリストしてみました。

  • みんなにすごいと言われる肩書

  • 一人だけ特別扱いの好待遇

  • ハイキャリア海外転職

わたしは今更アカデミアの道に進みたいわけでも、会計士になりたいわけでもありません。トリリンガルにもなれないでしょう。

でも、上の3つは純粋に「すごいな。わたしもそうなりたいな」と思いました。さらに一歩踏み込むと、次の3つがほしいのかもしれません。

  • 仕事の評価:昇進、好待遇などが得られるような、仕事の成果を積み重ねること

  • キャリアの選択肢:職歴やスキルを武器に、転職や海外現地採用でやりたい仕事につく自由があること

  • 豊かな時間の使い方:柔軟な働き方で短時間で成果を出しながら、子どもとの時間や夫婦の時間も大切にできること

これらが本当にほしいのか、本に書かれていた質問を参考に探ってみます。

①これまでに達成感を感じたことと繋がる?

心からの達成感を感じたのはいつでしたか?
なにをしていたときですか?
なぜ達成感を感じたのでしょうか?

達成感を感じることから自分が本当に欲しいものかをさぐる質問です。

この質問は答えることが難しいです。

  • やりがいのある仕事に打ち込んでいるとき

  • 環境の変化で自分のあたり前が壊されるとき

  • 家族で大笑いして過ごしているとき

どれも等しく大切で楽しい時間ですが、心からの達成感と言える瞬間は1つも思いつきません。

②ほしいと思ったきっかけは内的要因?外的要因?

自分自身の価値観や、好奇心からほしいと思いましたか?
それとも他の人からの期待や社会的な流行からほしいと思いましたか?

きっかけをさぐる質問です。

わたしの欲望のきっかけは友人という外的要因です。でも、そのきっかけから内省して導いたほしいものは内的要因とみなせそうです。

③昔からずっとほしい?今だけ?

一過性の熱病のようなものですか?
それともずっと価値を感じているものですか?

すぐ過ぎ去る欲望なのか、人生をかけて探求したい欲望なのかをさぐる質問です。

表面的な、例えば社会的にすごいと言われる「准教授」という肩書や例が少ない「海外転職」へのあこがれは一過性のものです。でもその本質である仕事の成果を積み重ねること、それを他者にわかる形で表現することはずっと価値を感じているものと言えそうです。

④ほしいものが手に入ったら、どんな気持ち?

ほしいものを手に入れた自分を想像してみてください。長く続く満足感をもたらしますか?
それとも一過性の楽しみだけで、すぐ色褪せてしまいますか?

この質問は求めるものの性質を良く吟味させる質問です。

ゴールがあるような行動によって達成できるもの(Do)と、ライフスタイルや状態を表すような自分のあり方を定義するもの(Be)で異なりそうです。

例えば、仕事でXXを達成する、といったようなものは達成したところで長く続く満足感をもたらすわけではなく、また次の達成したい目標が出てきそうです。

一方で、仕事ができる自分である、海外も含め望む職場に移る交渉力を常に持っている、とほしいものを定義すると長く続く満足感を得られそうです。

⑤ほしいもののために、時間と労力を投下できる?

ほしいものを得るためには継続した努力が必要です。あなたはそれを得るために時間と労力を投下できますか?

この質問が一番刺さりました。

わたしは未来の自分を過大評価して、未来の自分は「努力家で、やればデキル人」といつも思ってしまいます。ほしいもののための努力は継続できるし、しかも能力が高いからちょっとの努力で手に入ると思ってしまうのです。

実際は継続力には難があるし、能力も期待するほど高くないので、ほしいものが手に入らないことの方が多い。運よく手に入れられたものも思ってたのの10倍くらい時間がかかるのです。

時間と労力をかけてでもほしいものでしょうか。

迷いなく「ハイ」とすべての質問に答えられれば、それはあなたが人生をかけて探求するにたる、ほしいものなのでしょう。

にせものの「ほしいもの」にはご注意を

なんとなくほしいと思っていたものは「本当にほしいもの」だったでしょうか。

わたしが友人と会ってほしいとおもったものは、ほとんど「本当にほしいもの」ではありませんでした。

  • みんなにすごいと言われる肩書

  • 一人だけ特別扱いの好待遇

  • ハイキャリア海外転職

どれもにせものの「ほしいもの」でした。

この記事を書いていて、思い出した一節があります。
『やり抜く力 GRIT(グリット)』の中のキャリアの目標について説明した段落です。

First, you write down a list of twenty-five career goals. Second, you do some soul-searching and circle the five highest-priority goals. Just five. Third, you take a good hard look at the twenty goals you didn’t circle. These you avoid at all costs. They’re what distract you; they eat away time and energy, taking your eye from the goals that matter more.

まず、あなたのキャリアにおける目標を25個書き出します。

次に、じっくりと内省して、その中から最も優先度の高い5つだけを丸で囲みます。5つだけです。

そして最後に、丸をつけなかった残りの20個をよく見てください。これらは絶対に避けるべきものです。なぜなら、それらはあなたを惑わせ、時間とエネルギーを奪い、本当に大切な目標から目を逸らさせるからです。

Duckworth, A. (2018). Grit: The power of passion and perseverance. Scribner.
日本語は筆者意訳

にせものの「ほしいもの」、ほしいと思わされているものは、この絶対に避けるべき20個の目標なのかもしれません。

何の興味のないものは、ほしいと思うこともありません。でも、優先度は低いけど、ちょっとほしいものにはふらふらと引き寄せられるのでしょう。

有名人をみて生まれるほしいもの。
身近な人と会って生まれるほしいもの。

それらが本当に自分の時間とエネルギーをかけるに値するものかはよくよく注意しておきたいものです。



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メラミン|1歳3歳の母 こんなところまでお読みいただきありがとうございます! なにか心が動きましたら、チップでお知らせいただけるととってもうれしいです。