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10歳でおぼえた金利の味

金利の味。

寝かせるだけで稼げる、あまーい味?

知らぬ間にふえる借金の、にがーい味?

これは兄弟で明暗がきっぱり分かれた金利の話。

10万円を兄に貸す、小学生の妹

年の瀬も迫った12月のある日、兄は小学生だったわたしに1つの頼みごとをした。

「10万円貸して。お年玉で返すから」

兄にはどうしてもほしいものがあった。万年金欠の兄は、お年玉の前借りを親に頼んだが断られたので、お小遣いもお年玉もほぼ使わずにひたすらに貯めこんでいた妹に頼み込んできたのだ。

兄弟がいる方はわかると思うが、小さい頃の兄弟の上下関係はそれはもう厳しい。

絶対服従。

妹の抵抗など、夏の夜にまとわりつく羽虫のようにサッと手で払って無視して、理不尽を貫き通すのだ。

ほしいものには、ちゅうちょなく有り金を全部ぶっこむ兄。そんな兄にノーガードでお金を貸したら最後、永遠にお金が返ってこなくなることは目に見えていた。

とはいえ、絶対服従の妹、ここで「貸せない」とは言えない。よわよわな妹は考えた。

「利子付きで、借用書を書いてくれるならいいよ」

契約の力を借りたのだ。あと一週間でお正月だ。お年玉でお金が入ってくるタイミングは抑えている。あとは期日と利子の金額をしっかり書いておけば、踏み倒されないで回収できるはず。

かくして、暴利な金貸しもびっくりな1週間で1割の利子をとる金貸し屋が誕生したのだった。初めての融資先は兄。金額は10万円。

兄が何を思って、このはなはだ理不尽な約束事にうなずいたのかはわからない。利子分は踏み倒せると思ったのか、ほしいものに気がとられてそこまで気が回らなかったのか。それでも特に大きな反発もなく無事契約は締結された。

借用書の力はつよい。踏み倒せない、利子の1万円

年が明けて、お正月を迎えた。親戚へのあいさつまわりもして、予定通りお年玉が入ってきた。

お金を返してもらう時だ。

そのころ兄は、借りた10万円はもちろんさっさと使い切り、新しく手に入れたお年玉で何を買おうかと算段をしていた。

そんな兄に、わたしは一言。

「明日までにお金返して。利子付けて11万円」

兄は大いに反発した。最初は「1ヶ月待って」と期日の交渉、わたしが譲らないとわかったら今度は「利子が高すぎる」と金額の交渉。よわよわなわたしも借用書を盾に「書いてあるから!」の一点張りで徹底抗戦した。

もはや単なる殴り合いの兄妹げんかに発展しそうだったので、よわよわな妹は公平なる裁判官として母を召還した。

そうして母の、「借用書に書いてるなら払いなさい」の一言で、兄は元金と利子をそろえて11万円を払うことになった。

今考えるととんでもない話だ。

苦くて甘い金利のはなし

あとでこの話を聞いた父は、「トイチかー」と言って笑っていた。わたしが設定した利率が高すぎるということだ。

「トイチ」とは、10日間の利息が1割(10%)であることを表す言葉。主に、高金利の融資業者(闇金)の借入条件を示す際に使われる

トイチを年利換算すると365%である。カードローンの年利18%と比べても高い。

今考えると、投資信託で年利5%とか10%とかを狙っている中でとんでもない金利である。

利息制限法では、利息を以下のように制限しており、超過部分は無効です。元本10万円未満:年20%
元本10万円以上100万円未満:年18%
元本100万円以上:年15%

e-Gov法令検索(総務省)「利息制限法第1条」

調べてみたら、利息制限法で年20%までしか利息をとってはいけないようだ。ということは、10万円貸して利子分1万円を稼いだ小学生のわたしは、法律違反の悪徳業者だったということ。

がめつさを少し反省した。

暴利の金貸し屋として妹がお金を貸すことは、以後一度もなかった。利子が高すぎる妹に借りることを兄は諦めたのだ。わたしがせっせとためこんだお金は活用されることなく、社会人になって健全なお金の使い方を学ぶまで死蔵されることになる。

お金は天下の周りもの、と信じる人には強く怒られるかもしれない。

それでも、ことあるごとに兄に「お金かして」と言われるのは、ストレスだった。だから、暴利の金貸し屋として一発かましたあの日は、案外、正解だったのかもしれない。

苦くて甘い金利の味。

あなたの金利はどんな味?


好き勝手書いていたnoteではじめてお題のあるコンテストに参加してみました。
主催のレンタル無職ズボラさん、スポンサーのやまだくにあきさん、ありがとうございます!書くのが楽しいお題でした!

#はじめてのお金

いつも頭の中がうるさい僕が、そのことを誤魔化すために、弁護士になったり、商業出版したり、起業したり、NPOつくったり、VC組成したり、Vtuberになったりといろんな実験をしました。その実験の結果、学んだことや気づいたことを共有していくメンバーシップです。

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企画にも参加されているふりこさんが応募作品の感想を書いてくれています!どれを読むか迷っていたらぜひこちらの感想もご参考にどうぞ。



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メラミン|1歳3歳の母 こんなところまでお読みいただきありがとうございます! なにか心が動きましたら、チップでお知らせいただけるととってもうれしいです。