Co.山田うん 『遠地点』(配信)
1週間限定配信にて鑑賞。配信終了当日のギリギリに鑑賞したものだから2回目鑑賞の途中でプツッと切れてしまい、自身の愚かさに依然として無念…の状態ではあるものの、例によって鑑賞記録は残しておくことにする。
※しかし、これもKAATでやっていたのか。今年はKAATをもっと信頼して足繁く通わねば。
門外漢
そもそも自分は門外漢。山田うん氏の名前すら今回初めて知ったような口である。ダンスシアターなる言葉も最近まで知らず、Noismにてやや開眼、夏にパリ・オペラ座『PLAY』を観に行くことは決めたので、それまでにダンス素養を向上すべく、国内の主要カンパニーで観られるものは観ておきたいと、まあそんな構えであった。

つまりは、Noismとコンドルズしか知らない(ピナはもちろん知ってる)ダンスシアター初心者で、何を観るべきか相談できる人がいるわけでもなく、Co.山田うんが国内主要カンパニーであるかどうか知っているはずもなく、Co.はきっとカンパニーの略ですよね..?ぐらいの状態であったのが正直な所だが….トレイラーに感じた直観を信じて大正解だったのではないでしょうか。こちらの方と同じように自分も感じたのである。
Co.山田うん『遠地点』を配信で買って見た。ちょっと、あまりにも凄かった。折り畳まれていた宇宙が展開して、ひっくり返って生まれ直す。完全にSF。踊りってこんなところまで表現できるのか!ってことを人生で何回も目の当たりにしてきたのに、その価値観がまた一新されたような。大興奮。
— 雲の上あおさ一座 (@inennko) March 14, 2025
創作経緯&インスピレーション元
FIGAROに山田うん氏のインタビューが掲載されており、これに当たるのがまずは最善である。(この取材記事は最後に、山田うん氏に健康でいるために気をつけていることまで聞いており、色々と興味深い)
毎回斬新なチャレンジで披露するダンスカンパニー「Co.山田うん」。今年1月の公演『遠地点』(神奈川芸術劇場)では、紙を使ってダンスと演劇、さらにはマジックを思わせる舞台演出を行い、しかもサルバドール・プランセシア著『紙の民』からインスピレーションを得たとあって、その想定外なパフォーマンスが話題を集めた。そして大変好評とあり、3月12日〜18日に期間限定でオンライン配信されることとなった。
――素晴らしいですね! 『遠地点』のストーリーはメキシコにも関係するのですか?
メキシコで閃きました(笑)。ある空間に立って、そこで自分がパフォーマンスしようとした時に、なぜか宇宙から、宇宙人ではなく地球人(人間)がやって来るようなお話が閃いたんです。私はすごい遠いところから来た、宇宙から来た地球人です、みたいな(笑)。
――すごいですね。『紙の民』との接点はどのようにして生まれたのですか?
そのストーリーを紙の服を着た人間の姿で映像化したいと調べていたところ、偶然『紙の民』の本を見つけました。読んだところ、土星が出てきて、すごい遠いところから人間社会を見ているというシチュエーションが、私が思い浮かんだものとそっくりで。宇宙から見ているということや古代とSFが繋がっている感じとか......。自分がメキシコで立っていた地形のせいなのか標高が高いからなのかよくわからないんですけど、そういう感覚的なところから『遠地点』ということに行き着いているんです(笑)。
すさまじいイメージである。
この「紙の民」は未見だが、出版社からのコメントもふるっている。
出版社からのコメント
《悲しみに続編は存在しない》
2010年、アメリカの文芸誌が選んだ「世界で最も独創的な作家50人」に、トマス・ピンチョンや村上春樹らとともに名を連ねたメキシコ出身の作家サルバドール・プラセンシアによる傑作デビュー長篇。
小説は、一見メキシコ移民の物語として始まる。妻に捨てられたフェデリコ・デ・ラ・フェは、悲しみを抱えながら一人娘を連れて国境を越え、ロサンゼルス郊外の町エルモンテに落ち着く。ある日、自分たちを上空から眺めている〈土星〉=作者サルバドール・プラセンシアの存在に気づいた彼は、他の移民たちと団結して、自由意志を守るために〈土星〉を相手取って戦いを始めるが......。
〈土星〉が見下ろす世界には、「紙の民」の末裔メルセド・デ・パペル、メキシコの伝説的プロレスラーにして聖人のサントス、メキシコ生まれという設定のリタ・ヘイワース、史上初の折り紙外科医など、虚実入り混じるさまざまな登場人物がひしめき合う。彼らの「声」や「意識」を再現したテクストの自由奔放なレイアウトと飽くなき実験性、作者自身を取り込む語りというメタフィクション的仕掛けが交錯し、唯一無二の世界を作り上げている。「これだけ奇妙奇天烈で、これだけ悲しく、これだけ笑える小説が他にあったら教えてほしい」(柴田元幸氏)
と、柴田元幸先生のコメントまで添えられており、さらに、Amazonレビューによると…
文章や物語自体は、作者がガルシア・マルケス『百年の孤独』を読み返しまくったというのも頷ける、マジックリアリズムの手腕が煌く正統なるラテン文学の継承者です。
なんてことまで書いてあり、この「対土星戦争」の行方が気になって仕方なくもなる。(ややお高いので図書館を探す…)
全13章
こちらの方が詳細にまとめられているように、全体は13のパートに分かれており、それぞれにタイトルが付けられている。これが「紙の民」からもってこられた構成・タイトルなのかは確認できていないが、各パートにおいて紙の扱い方が大きく変化する。

https://x.com/CoYamadaUn/status/1900180161829441686/photo/4

https://x.com/uncoubou/status/1901793838425129271/photo/2
Amazonのレビューには下記のようにも書かれており、むしろダンスで表現しているものはこの感覚に近いのではないか。
むしろ際立つのは繊細な描写です。視点を変えた短いパラグラフの積み重ねで物語が形作られていくのですが、どのひとつをとっても独立したショートストーリーとして発表できるのではないかと思うくらい完成度が高いです。それぞれの話者の心理も共感しやすく、抑制がありながらもセンチメンタルな、細いけれど非常に長い余韻を残します。
家庭では夫婦の間に不和があり、時に警察沙汰があり、社会は孤独であり、社会にはルールがあり、対決や祭があり、恋愛があり、戦争があり、人は死に、宇宙を超えて紙の海に命は再生される。そんなことが踊りで表現されていたように思う。

音楽
また、使用されている楽曲も素晴らしかった。作曲はヲノサトル氏で、どうやら下掛宝生流ワキ方能楽師の安田登先生とも活動をされている方のようだ。会場で販売されていたサントラを購入するすべはないか相談のご連絡をしたところ、ご丁寧にも連絡を返してくださった。
【物販コーナー】💫
— Co.山田うん/Co. UN YAMADA 3/29-30『オバケッタ』 (@CoYamadaUn) January 26, 2025
Co.山田うん公演会場にて販売中♪
🟠『遠地点』全曲!出来たてほやほや!
ヲノサトルによるサウンドトラック🎶
🟠衣装 飯嶋久美子によるイラストレーター奥原しんことのコラボブランドCHEESE-mongerによる小物やトレーナー💋
🟠山田うん手書きおみくじ⭐️… pic.twitter.com/l2TyaLgxg2
ということで、こちらを聴きながら感想をつらつらと書かせていただきました。今週末に『オバケッタ』@新国立劇場もあるのか…。
