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【完全版】プレス種目で「肩が痛い」と言われたら?インピンジメントを防ぐ『肩甲骨の上方回旋』の解剖学と修正ドリル

■ あの「背筋が凍る瞬間」を経験していませんか?

セッション中、ベンチプレスやショルダープレスで、お客様が顔をしかめながらこう言います。

「……あ、ちょっと肩の前側が痛いです」

指導しているトレーナーなら、誰でも一度は背筋が凍る思いをしたことがあるはずです。

痛みを訴えられた瞬間、「フォームが悪かったのか?」「重量が重すぎたのか?」と焦り、結局「じゃあ、今日はこの種目はやめておきましょうか」と、気まずい空気のまま別の種目に逃げてしまう。

クライアントからの信頼残高がスッと減っていくのを感じながら、解決策を提示できない自分に不甲斐なさを感じる──。

この記事を書いているのは、かつてまったく同じ経験をしていたトレーナーとして、その感覚がとてもよく分かるからです。

■ ウエイトの極意と、機能改善の医学的根拠の融合

はじめまして。解剖学×機能改善トレーナーの松岡優斗です。

私はNASM-PES(全米スポーツ医学アカデミー・パフォーマンス向上スペシャリスト)の理論とPHIピラティスに基づく「機能改善・姿勢改善」の専門家であると同時に、自身もクラシックフィジークの競技者としてウエイトトレーニングを継続しています。

「筋肉に最大限の刺激を入れるためのバイオメカニクス」と「関節を痛めないための機能解剖学」。この相反しがちな2つの視点を統合し、現場のトレーナーがすぐ使える「結果の出るアプローチ」を発信しています。

■ この記事があなたの指導をどう変えるか

この記事を読み終えたとき、プレス種目で肩の痛みを訴えるクライアントに対して、「今日はやめておきましょう」と逃げる必要は二度となくなります。

痛みの原因を解剖学的に瞬時に見抜き、マットの上でたった数分間の「修正ドリル」を行うだけで、見違えるようにスムーズなプレス動作を取り戻させることができます。

■ クライアントの「痛くない!」という声

このアプローチを取り入れてから、私のセッションでは肩のトラブルが劇的に減少しました。

長年「ベンチプレスをやると必ず肩が痛くなる」と悩んでいたクライアントが、評価と修正ドリルを行った直後に「嘘みたいに痛くないです!胸にしっかり効きます!」と驚き、そのまま長期契約に繋がることが何度も起きています。

■ 過去の私が陥っていた「声かけ」の罠

実は過去の私も、「肩の痛み」から逃げていたトレーナーの一人でした。

痛みが出たクライアントに対し、当時の私が繰り返していたアドバイスは——

「もっと肩甲骨をしっかり寄せて、下げて(内転・下制)!」

業界の定石とも言える、この声かけです。

しかし、懸命に肩甲骨を寄せてプレスをしてもらうほど、クライアントの肩の痛みは悪化していきました。「私の指導が下手なのか?クライアントの関節がもともと悪いのか?」と本気で悩みました。

解剖学を深く学び直したとき、衝撃的な事実に気づきました。

良かれと思って連呼していた「肩甲骨を寄せて下げて」という指導こそが、クライアントの肩を痛めていた張本人だったのです。

■ 「肩甲骨の固定」がインピンジメントを引き起こす解剖学

肩甲上腕リズムとは

腕を前方に押し出す(屈曲)、または上方に挙げる(外転)というプレス動作において、肩甲骨は本来 「上方回旋(Upward Rotation)」 しながら胸郭に沿って外側にスライド(外転)しなければなりません。

この「上腕骨の動き:肩甲骨の動き=2:1」という協調運動を 「肩甲上腕リズム(Scapulohumeral Rhythm)」 と呼びます。

Inman VT et al.(1944, J Bone Joint Surg)によって初めて体系化されたこの概念は、現在も肩関節バイオメカニクスの根幹として位置づけられています。上腕骨が180°外転するとき、肩甲骨は60°上方回旋することでこの2:1の比率が成立します。

なぜ「肩甲骨を固定する」と痛みが出るのか

「肩甲骨を寄せて下げて(内転・下制)固定しろ」という意識が過剰になると、上方回旋に関わる筋群——前鋸筋(Serratus Anterior)・僧帽筋下部(Lower Trapezius)・僧帽筋上部(Upper Trapezius) の協調した収縮が阻害されます。

肩甲骨という「土台」が固定されたまま、上腕骨だけを無理やり挙上しようとすると、肩峰(Acromion)と上腕骨大結節(Greater Tubercle)の間隔(肩峰下腔:Subacromial Space)が急激に狭小化します。

この物理的衝突が 「肩峰下インピンジメント症候群(Subacromial Impingement Syndrome:SIS)」 の正体です。

参考:Neer CS. (1972). Anterior acromioplasty for the chronic impingement syndrome in the shoulder. J Bone Joint Surg Am. Ludewig PM, Cook TM. (2000). Alterations in shoulder kinematics and associated muscle activity in people with symptoms of shoulder impingement. Phys Ther.

上方回旋エラーの神経筋メカニズム

Ludewig & Cook(2000, Physical Therapy)は、肩のインピンジメント症状を持つ患者において、健常者と比較して以下の有意な差異を筋電図(EMG)で確認しています:

  • 前鋸筋の活動低下(肩甲骨外転・上方回旋の主動作筋)

  • 僧帽筋下部の活動低下(肩甲骨上方回旋・後傾の補助筋)

  • 僧帽筋上部の過剰活動(代償として肩をすくめる動作が増加)

つまり、インピンジメントの多くは「腱板の断裂」という構造的問題ではなく、神経筋コントロールのエラー(前鋸筋・僧帽筋下部の機能低下) によって引き起こされた、修正可能な機能的問題です。

■ 炎症ではなく「スペース」の問題

プレス種目での肩の痛みの多くは、解剖学的な「スペースの消失」による物理的衝突です。

湿布を貼っても、休ませても、根本解決にはなりません。

解決策はシンプルです。エラーを起こしている神経筋システムをリセットし、前鋸筋と僧帽筋下部を目覚めさせて肩甲骨をスムーズに上方回旋させること

関節の正しいキネマティクス(運動学的動き)を取り戻せば、肩峰下腔にスペースが生まれ、衝突は消えます。

Ludewig & Reynolds(2009, J Orthop Sports Phys Ther)は、肩甲骨キネマティクスの改善を目的とした運動療法が、肩峰下インピンジメント症状の改善に有意に効果的であることをシステマティックレビューで示しています。

■ 現場ですぐ使える「評価と修正の完全マニュアル」

では、クライアントの「上方回旋エラー」を現場でどう見抜き、具体的にどんなアプローチで修正するのか。

ここから先の有料エリアでは、実際のセッションで使っている以下の内容を完全公開します。

  • 現場で5秒でわかる! 肩甲骨「上方回旋エラー」の評価テスト

  • 上方回旋を邪魔する筋肉(小胸筋・広背筋)のリリース法

  • 眠っている 「前鋸筋」と「僧帽筋下部」 を100%発火させる修正ドリル

  • 痛みを再発させない、プレス種目への統合とキューイング

もう、セッション中の「肩が痛い」に怯える必要はありません。

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