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角速度が変わると正弦波はどうなる?公式の取り扱い説明書

高校物理では、正弦波を表す数式として次の公式を教わります。

$${Y_{(t)} = A\sin\theta_{(t)}}$$
$${\theta_{(t)} = \omega\,t + \phi}$$
・$${A}$$: 振幅 (-)
・$${\theta_{(t)}}$$: 角度 (rad)
・$${\omega}$$: 角速度 (rad/s)
・$${t}$$: 時間 (s)
・$${\phi}$$: 位相 (rad)

高校物理で教わる『正弦波の公式

では、この$${\omega}$$ がもし時間とともに変化したら、どうなるのでしょうか。たとえば $${\omega_{(t)} = t}$$ としたとき、この正弦波はどのような数式で表されるのでしょうか。

先ほどの公式を使えば、次のように導出することができます。

$$
\begin{align*}
Y_{(t)} &= A\sin\theta_{(t)} \\
&= A\sin(\omega_{(t)}\,t + \phi) \\
&= A\sin(t^2 + \phi)
\end{align*}
$$

いかにも正しそうですが、実は間違っています。

そこで、今回のテーマは…
角速度と正弦波の関係を再確認することで、高校物理で教わった正弦波の公式に隠れている前提 について学び直すことです。

そのうえで、角速度が時間とともに変化するとき、たとえば $${\omega_{(t)} = t}$$ のときの正弦波を数式で表してみましょう!
 

✔︎ 角速度と正弦波の本当の関係

角速度 $${\omega_{(t)}}$$ は、角度 $${\theta_{(t)}}$$ の時間変化量です。

よって、次の関係が成り立ちます。

$$
\frac{d\theta_{(t)}}{dt} = \omega_{(t)}​
$$

この式の両辺を時間 $${t}$$ で積分すると、角度 $${θ_{(t)}}$$ は次のように表されます。

$$
\theta_{(t)} = \int \omega_{(t)}\,dt + \phi
$$

これが、正弦波を正しく描くために必要な関係式です。

つまり、高校で習った $${\theta_{(t)} = \omega\,t + \phi}$$ の形は 角速度が一定のとき、即ち、$${\omega_{(t)}=\omega}$$(一定) のときだけ使える限定条件付きの関係式です。だから、角速度が変化するときは使えません。

では、角速度が時間とともに変化するときの正弦波は、どのように数式化すれば良いのでしょうか。

その答えが、こちらです。

$${Y_{(t)} = A\sin\theta_{(t)}}$$
$${\theta_{(t)} = \int \omega_{(t)}\,dt + \phi (≠ ωt + \phi)}$$
・$${A}$$: 振幅 (-)
・$${\theta_{(t)}}$$: 角度 (rad)
・$${\omega_{(t)}}$$: 角速度 (rad/s)
・$${t}$$: 時間 (s)
・$${\phi}$$: 位相 (rad)

これが『正弦波の基本式

先ほどの角速度 $${\omega_{(t)} = t}$$ の場合なら、

$$
\begin{align*}
\theta_{(t=0\sim t)} &= \int_0^t \omega_{(t)}\,dt + \phi\\
&= \int_0^t t\,dt + \phi\\
&= \frac{1}{2}t^2 + \phi
\end{align*}
$$

よって、このときの正弦波は次式で表されます。

$$
\begin{align*}
Y_{(t=0\sim t)} &= A\sin\theta_{(t=0\sim t)}\\
&= A \sin\!\left(\frac{1}{2}t^2 + \phi\right)
\end{align*}
$$

この数式を使ってExcelで描いたグラフがこちらです。

ω(t)=t のときの正弦波
(A=1, φ=0)

なんということでしょう。
こんなに美しいグラフを描けました。
 

✔︎ おわりに

高校物理で学ぶ $${\theta_{(t)} = \omega\,t+\phi}$$ は、計算しやすい形をしています。しかし、その背景には『角速度が一定』という前提が隠れていました。もしその前提を忘れたまま、$${\omega}$$ を時間の関数として扱ってしまうと、全く違う波形を描いてしまいます。

ここから分かるのは、公式や数理モデルを使うときは、どのような前提で作られたものかを理解しておく必要がある ということ。

家電を買ったときに、まず取扱説明書を読むのと同じです。
え?読まない?読んだほうがいいですよ。
作り手の伝えたいことが、しっかり書いてあります。

前提を無視して使うと、事故につながります!
 


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