お湯が冷める原因はシャワーの水?お湯と水の混合温度を計算!
我が家の場合、浴室でシャワーを出しても、すぐには温かいお湯は出てきません。浴室が給湯器から少し離れた場所にあるからです。最初はどうしても冷たい水がシャーッと出てきてしまいます。
冷たい水が出ている間、子どもたちはシャワーヘッドを浴槽の中に入れています。洗い場で出すと、冷たい水が体に当たって寒くなってしまうからです。
しかし、そのたびにお母さんの声が飛びます。
『お湯が冷めるでしょ!』
でも本当に、その程度の冷水で浴槽の湯全体の温度は下がるのでしょうか。
実は私も、こっそり同じことをしています。入浴中にシャワーヘッドをお湯の中に入れて、まだ冷たい水をお風呂に溜めています。子供たちは、多分その様子を見て覚えたのでしょう。
それでも、お湯が冷めたと感じたことはありません。むしろ『どうせ流す水だし、浴槽に入れて湯量を増やした方が水道代の節約になる』とすら思っています。
お湯が冷める原因は、シャワーを出し始めたときの冷水だけではないはず。
たとえば、浴槽でバシャバシャ遊ぶこと(湯もみ?)や、換気扇をつけっぱなしにしていることなど、ほかにも影響している要因があるのではないでしょうか。
そこで今回は…
お風呂の湯が冷める要因を洗い出し、その中でも 冷水を注ぐことで何℃冷めるのか を数式を使って見積もります!
✔︎ お湯が冷めるのはなぜ?
お風呂の湯が冷めるとき、いくつもの現象が同時に起きています。
まずは、現象全体をザックリと見てみましょう。
下の図は、お湯が冷める要因を洗い出して整理したものです。

このように、お湯が冷める要因を、次の4つのグループに分けました。
1)物理的要因:熱の移動による冷却
お湯の熱は、常に周囲へと移動しています。水面では空気との対流熱伝達や蒸発、また、浴槽を通じた熱伝導も起こります。さらに、お湯の熱が人体の体表面を温めるためにも使われるため、人も熱を奪う要因です。
2)外的要因:環境条件による冷却
浴室の環境も大きく影響します。換気扇や通気口によって空気が動くと、湯面の熱が持ち去られやすくなります。また、室温が低いほど、空気との温度差が大きくなり、熱が奪われるのが速くなります。
3)行動要因:人や動きによる撹拌
人の動きも無視できません。入浴中の体の移動や、子どものバシャバシャ遊びによって湯面が波立ち、空気との接触面積が増えることで熱が逃げやすくなります。空気との接触面積が増えると、対流熱伝達や蒸発による冷却が一気に進み、全体の温度が下がりやすくなります。
4)混合要因:冷水を注ぐ
そして最後に、今回注目する『混合』による冷却です。
新たに加わる冷たい水が、全体の平均温度を下げます。
このように要因を洗い出して整理するときは、まず思いつく限りの要因を洗い出すことが大切です。AIを使えば、自分では気づけない角度の要因まで一気に挙げることができます。
たとえば、次のように入力してみると良いでしょう。
お風呂のお湯が冷める要因を、網羅的にリストアップしてください。
物理的な要因・環境的な要因・人の行動による要因など、考えられることをすべて挙げてください。
一般家庭の浴室を想定し、専門用語が難しい場合はわかりやすく説明してください。こうすると、自分では見落としていた観点もシッカリと出してくれます。
さすがはビッグデータを備えたAI!
あとは、必要に応じて重複を整理・分類・検証を加えていけば出来上がりです。
このように『とにかく出してから整理する』方法は、ブレーンストーミング(Brainstorming)、略してブレストと呼ばれます。
ブレーンストーミング(Brainstorming)とは
複数の人または一人で、判断を保留したまま自由に意見や要因を出し合い、あとから整理・評価することで発想を広げる思考法。
発想段階では『量を重視し、批判しない』が原則。
ブレストの結果、現象の どの要因を数式化するか を決めることが、数理モデルづくりのスタート地点です。
今回は、数ある要因の中でも『冷水を注ぐことによる影響』に注目して、お湯の温度がどのくらい下がりうるのかを計算して見積もります。
✔︎ 冷水を注ぐと、お湯は何℃冷める?
お湯に冷水を注ぐと、温度はどれくらい下がるのでしょうか。
これを見積もるために、次の3つの条件を仮定します。
混ぜる液体が同じ
外界との熱の出入りがない
混ざるのが速く、湯温はすぐに均一になる
この3つが成り立つとき、次の関係式が成り立ちます。
$$
(お湯が失う熱量)=(冷水が受け取る熱量)
$$
つまり、お湯が冷める分だけ、冷水は同じ量の熱を受け取るという考え方です。これを数式で表すと、次のようになります。
$$
V_h (T_h - T_m) = V_c (T_m - T_c)
$$
ここで、
$${V_h}$$:お湯の体積(L)
$${V_c}$$:加える冷水の体積(L)
$${T_h}$$:お湯の温度(℃)
$${T_c}$$:冷水の温度(℃)
$${T_m}$$:混ぜたあとの温度(℃)
よって、混ぜたあとの温度 $${T_m}$$ は次式で表されます。
$$
T_m = \frac{V_h T_h + V_c T_c}{V_h + V_c}
$$
この式が、混ぜたあとの温度 $${T_m}$$ を求めるための基本式です。
この式に我が家の条件を当てはめて、お湯が何℃くらい下がりうるのかを見積もってみました。
我が家の条件はこちらです。
お湯の温度:$${T_h \approx 40.0 ℃}$$
冷水の温度:$${T_c \approx 10.0 ℃}$$
お湯の量:$${V_h \approx 240.0 L}$$
シャワー出始めの冷水量:$${V_c \approx 4.0 L}$$
これらの条件を、温度 $${T_m}$$ を求めるための基本式に代入すると、
$$
\begin{align*}
T_m &= \frac{240.0 \times 40.0 + 4.0 \times 10.0}{240.0 + 4.0} \\
&\approx 39.50 (℃)
\end{align*}
$$
よって、温度の変化量を $${\Delta T (℃)}$$ とすると、
$$
\begin{align*}
\Delta T &= T_m - T_h \\
&= 39.50 - 40.0 = -0.5 (℃)
\end{align*}
$$
つまり、10℃の冷水を4L加えても、お湯の温度は約0.5℃しか下がらない という計算結果になりました。
0.5℃の差は体感ではほとんど分からないと思います。湯量が圧倒的に多いため、少量の冷水が混ざっても温度はほぼ保たれているのです。
✔︎ おわりに
今回の計算では、10℃の冷水を4L加えても、お湯の温度は約0.5℃しか下がらないという結果になりました。浴槽全体の湯量が多いため、冷たい水が少し混ざっても、実際には湯の温度はほとんど変化しません。
『お湯が冷めた』と感じるのは、お風呂でバシャバシャ遊ぶなど、別の要因によるものと考えられます。今回のように、特定の要因に絞って数値を見積もってみると、体感との違いを客観的に把握できます。
もっとも、これをそのままお母さんに話しても、反感を買うだけでしょう。
子どもの自由研究のテーマとして、そっと活用するのが良さそうです。
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