漫画「まるといち 第12話 リビングを素通りする まる」
「まるといち 第12話 リビングを素通りする まる」
それから、まるはリビングを避けるようになった。
仕事から帰ると、声だけを残して廊下を早足で通り過ぎる。いちと目が合いそうになると、心臓が勝手に跳ね上がるから、動線ごと変えてしまった。
自分の部屋のドアを閉め、壁に背中を預けて座り込む。
「……はあ」
顔、見れなかった。
リビングでは、いちがまるの消えた廊下をじっと見ていた。
困った顔でも、苛立った様子でもない。
ただ、静かに待つことを決めた人の顔で。
「……長くなったな」
もう少しだけ、待ってみよう。そう決めたように、いちは冷めたコーヒーに視線を落とした。


つづく
「まるといち 第13話 一人分のコーヒー」
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