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UK JAZZ DANCE, BEBOP, FUSION  それぞれの違いは何ですか?

UK JAZZ DANCE、BEBOP、FUSION。
同じように見えるけど、何が違うんですか?

今回、名古屋のビバップダンサー・Kazumaくんのクラスに通う生徒さんたちから、この質問をいただきました。

UK JAZZ DANCEは、日本では「ビバップ」と呼ばれているダンスです。ただ、名前がややこしく、背景も少し複雑。「ビバップ」という言葉の中には、いくつかのスタイルや歴史が重なっています。


UK JAZZ DANCE  /  Floor Notes
ジャズで踊って、考えたこと


この連載では、UK JAZZ DANCE/BEBOP/FUSION について、じっくりと、できるだけ分かりやすく書いていきます。

一つの答えを出すというより、さまざまな角度からこのダンスを眺めながら、一緒に楽しんでもらえたら嬉しいです。


上がる質問が名古屋からきました。


Fusion、Bebop、UK Jazz Dance。それぞれの違いはなんですか?英語圏ではどう区別されてますか?


はじめたばかりで、この質問!(興奮)
一つづつ説明していきますね。


UK JAZZ DANCE とは

すごく簡単に言うと、1970年代後半に、イギリスのディスコやクラブで生まれた ジャズの音楽で踊るストリートダンスです。

現地のオリジナルジェネレーションのダンサーたちは、このダンスをシンプルに 「ジャズ」 と呼んでいる人が多い。私自身も、現場ではそう呼ばれているのをよく聞きます。

今よく使われている UK Jazz Dance という名前は、たぶんイギリスの外でワークショップをしたり、説明が必要になったときに付けられた呼び方なんじゃないかな、と思っています。

というのも、「ジャズダンス」と聞くと、アメリカで生まれたシアター系のダンスや、スウィングジャズ系のダンスを思い浮かべる人が多い。イギリスのアンダーグラウンドなクラブカルチャーから、生まれたこのダンスを、そのまま「ジャズダンス」と言うと、どうしてもイメージがズレてしまうことがある。

なので、勘違いが起きないようにUK JAZZ DANCE という呼び方が使われるようになったのかな、というのが、いまの私の理解です。(このへんは、またレジェンドの皆さんにも聞いてみたい。)


日本では「ビバップ」

日本には先に90年代に BEBOP が伝わり、ビバップという名前で親しまれてきたと理解しています。日本のビバップのパイオニアの皆さんが、最初にイギリスのダンサーで交流を持ったのがBebopダンサーで、その後、Fusionダンサーをワークショップに招いたり、現地に足を運んだりする先輩方がいました。( ビバップの日本史。連載できそうなくらい深いです。また今度 )

そうした積み重ねの中で、現在の日本のシーンは、FUSIONとBEBOP、両方の技術だけでなくスピリットも大切にしながら、影響を受け合ったミックススタイルとして発展してきたのだと思います。

だからこそ、イギリスのジャズダンスフロアでは、日本人を自然に歓迎してくれる空気を感じるのだと思います。それは、大先輩たちが長い時間をかけて関係とバトンをつなぎ、学び続けてきた行動の積み重ねのおかげです。

また、日本のシーンは90年代から30年以上続いているから、それ自体が一つのカルチャーだと、 Jerry Barry ( IDJリーダー) は話してくれました。

そして彼は、こんなふうにも言っていました。「日本人は、君も含めて“こう”踏むよね。それはそれでいい。でも、俺たちはFUSION的には“こう”踏むんだ」――と、実際にステップを見せながら。

否定ではなく、違いを言葉と身体で丁寧に伝えてくれる。そのやり取りの中で、人間も、ステップも、本当に深いなあと改めて感じました。

日本で育ったスタイルの価値を認めてもらいながら、同時に「元祖の踏み方」「その背景にある感覚」を教えてもらえること。それは、とても贅沢で、ありがたい時間です。

だから最近は、もう一度基礎に立ち返って、フットワークやグルーヴを見直しながら練習していました。積み重ねてきたものを大切にしつつ、もう一段、深く潜っていくような感覚でダンスを磨いていきたいなあと..  振り返ると、踊りすぎてました最近。

現在、アキレス腱の怪我のため執筆活動再開中!ダンサーのみなさん。足のケアを本当に大事にね!笑

英国での BEBOPとは? FUSIONとは?

UK JAZZ DANCEの中の、スタイルの名前です。

FUSIONの有名なチームは IDJ 
BEBOPを創ったチームは BROTHERS IN JAZZ
これはビバップをはじめる方は、ぜひ覚えておきましょう!そして他にもチームはたくさんあるのですが、シーンの黄金期の象徴として必ず名前が上がってくるレジェンド達です。

スタイルを、実際に見てみましょう◎ 
FUSION と BEBOP の代表的なチームの動画です。 
 

FUSIONについて

まずは Fusion から。

もともと Jazz Funk と呼ばれるダンススタイルがあり、そこから発展するかたちで Fusion のスタイルが生まれていった。その背景には、アンダーグラウンドで活動していた第一世代と呼ばれるダンサーたちの存在がある。
同時に、シーンを動かすDJたちの存在も欠かせなかった(この話はまた別の機会に)

Funkで踊っていたダンサーたちの一部が、次第に Jazz Fusion の音楽で踊り始めたことで、グルーヴィーでありながら力強く、スピード感のあるステップが生まれていく。こうして形成されたFusionのスタイルは、ロンドン・カムデンのクラブシーンを中心に、自然発生的なバトルや日々のダンスの中で磨き上げられていった。

そのFusionを、クラブのフロアからショーの世界へと押し上げ、次のレベルへと引き上げた存在が IDJ だ。カムデンの現場で培われた技術を武器に、
ショーケースでの活躍を通してFusionを広く知らしめていった。

先日、IDJ リーダー Jerry Barryと一緒に歩きながら話していたときのこと。
「あそこは昔、アート・ブレイキーとショーをやった劇場だよ」そう言って彼が指差した場所を見て、UKジャズダンスファンとして、思わず倒れそうになった。ブリティッシュ・ライブラリーの隣にある Shaw Theatre(ショウ・シアター) だった。
こちら。

IDJ は I DANCE JAZZ の略だと言われている。(ただし、実は最初は違う意味だったらしいとメンバーの一人 Gary Nurse が最近話していた。きっとビバップを長年やってる人は、私と同じように衝撃!! だと思うからシェア! )
兎に角。それでも、

「 I DANCE JAZZ : 私はジャズを踊る」という言葉の頭文字として、
これ以上ないほどしっくりくる。クラブで、ジャズの音楽に身を預けて踊っていた、あのシンプルで力強い姿勢が、その名前には残っている。

今でもロンドンの「ジャズで踊る」クラブシーンに身を置くと、黒人ダンサーの約9割は、この Fusion のスタイルを踊っている。

 

FUSIONのメッカ - Electric Ball Room 

エレクトリック・ボールルームでは、
ジャズファンクやジャズフュージョンがものすごい勢いでCLUBで流行していたそう。当時の貴重映像。

Electric Ball Room で回していたDJの一人 レジェンドDJ Giles Petersonのインタビュー。

BEBOPについて


Fusionの時代に、Bebopが生まれるまで。

イギリス北部、リーズとボルトン出身のダンサーたちは、ジャズダンスフロアの中でさまざまなジャンルを交差させながら、Fusionとはまったく異なる独自のダンススタイルを形づくっていった。

北部では、ジャズダンスフロアが広まる以前から、FunkやSoulの音楽に合わせて、手や腕を美しく使って踊るダンサーたちが存在していた。彼らはそうしたローカルな表現を土台に、Fusion、Jazz Funk、Northern Soulといったシーンで踊りながら、独自の身体感覚を培ってきた。

その後、1980年代中盤、彼らはスカラシップを得て、北部からロンドンへと出ていった。ロンドンのジャズダンスフロアで、北部で培った身体感覚をそのまま持ち込み、バレエやマンボを織り交ぜながら、独自のスタイルを打ち出していった。

約10年前、Irven Lewis が日本に来たとき、マンボの感情的なアームスの動きを教えてくれた。そのときは、まだこの歴史を詳しく知っていたわけではなかった。ただ、身体に残る強い感覚だけがあった。そして今、こうして当時の背景や流れを聞いて、あのとき感じたものが、ここから来ていたんだと、じわっと腑に落ちています。

ロンドンで彼らが目にしたのが、IDJのJerry Barryの踊りだった。その踊りを前にして「すごい」と感じたのは、同じシーンに立つダンサーとしての素直な敬意に近かった。だからこそ、自分たちのスタイルを作らなければならないと感じたのだという。これは、最近、Wayne James と Trevor Millerから聞いた話です。

1980年代中頃、ロンドンを起点にイギリス全体へと広がっていった「ジャズで踊る」シーンでは、ダンスとしても、DJがかける音楽としても Fusion が主流だった。そのFusionが中心となっていたロンドンの現場において、新たなスタイル〈Bebop〉を打ち出したのが Brothers in Jazz である。

↑関西の素敵なビバップダンサーSeijiさんのYoutubeより


Bebopの育まれたクラブ - WAG


ちなみに、音楽ジャンルとしてのBebopと、ダンスのBebopは、関係があるようで、ないようで、やっぱりある。そんな少しややこしい距離感にある。

彼らが行き来していた WAG というクラブでは、Afro-Cuban Jazz がよくかかっていたそうだ。Afro-Cuban Jazzは、キューバのアフロ系リズムと、
アメリカのジャズ、特にビバップが融合して生まれた音楽ジャンルである。

WAGのオーナー、クリス・サリバンは、Snowboyの著書の中で当時の選曲について語っている。自分自身がジャズ好きだったことから、月曜のレギュラーナイトでは、ヤングホルト・トリオや、ホレス・シルヴァー、
キューバップ、ビバップ、ティト・プエンテといった、より40-50年代のジャズ寄りの音楽をかけてほしいとDJにリクエストしていたという。

当時WAGには生演奏を行う「レトロ・セッション」の夜もあり、そのためフュージョン ( 補足 : 70年代のジャズのジャンルであるFusion )  は避け、マーク・マーフィーやスリム・ゲイラードなど、より純度の高いジャズミュージシャンがブッキングされていた。そうしたDJや、クラブのオーナーの音楽の選択が、フロアに集まるダンサーや踊りの空気にも、自然と影響を与えていったのかなあと、ダンスが動きだけではない、環境や人々の中で生まれるクラブカルチャーとしての面白みを感じます。

こちら別記事でBebop特集、より詳しくWAGについて書いてます。


最初は、分からなくて当然


さて、ふたつのスタイルのダンスをご覧いただきました。「どちらもスーツだし、昔の映像で、正直違いがよく分からない」——はじめたばかりの方から、よく聞く感想です。

でも大丈夫。ステップを覚え、クラブやイベントに足を運び、日本やイギリスのダンサーやその背景やgrooveやvibesを、肌で感じていくと、少しずつ、違いが見えてきます。

同じジャンルの中に、さまざまなスタイルがあること自体が、このダンスの魅力。少し難しいところも、きっとその一部。すぐにできてしまったら、こんなに深くはまらないかもしれません。

焦らず、自分の体がジャズに反応する楽しさ(これは本当に大事)を感じながら、そのプロセスごと、楽しんでみてください☺︎

掘り下げたい方へ バイブルと使い方の紹介

📘 『From Jazz Funk & Fusion to Acid Jazz: The History of the UK Jazz Dance Scene』著者:Mark “Snowboy” Cotgrove(通称 Snowboy)

私にとって、人物辞典のような一冊です。

Snowboyさんは、イギリス中を回りながら、ダンサーやDJへのインタビューは 200人以上。さらに 1000冊以上の雑誌や資料を読み込み、すべて文字起こしをしたうえでまとめ上げた、とご本人から直接聞きました。14年を費やして書かれた一冊だそうです。正直、信じられない偉業だと思います。

私はこのnoteの一記事を書くために、数人のレジェンドに話を聞き、
それをまとめるだけでも、(まだ終わっていない作業が山ほどあって)こんなに大変なんだな、と感じています。

「本当に、目指しているところまで書ききれるんだろうか」そう思いながら進める ( ほぼ進めれてない ) 日々です。

それを何年も、何十年も続け、形にしてきた人たちがいることを思うと、ただただ、尊敬の気持ちしかありません。

そう考えると、この本は、このアンダーグラウンド・カルチャーにおける、ほぼ唯一の歴史書。本当に貴重な記録だと思います。

著者のSnowboyは、このカルチャーの歴史家であり、DJであり、パーカッショニスト。Acid Jazz を代表するアーティストのひとりでもあります。

Snowboyさんが来日した際の映像では、Staxgroove をはじめ、BOPFIVE、Broken Sport など、日本のビバップシーンをセッションやバトルで高めてきた先輩たちが、タワーレコードで踊っている姿を見ることができます。2009年の記録だそうです。(Broken Sport・MiyaさんのYouTubeより)


 
『From Jazz Funk & Fusion to Acid Jazz: The History of the UK Jazz Dance Scene』著者:Mark “Snowboy” Cotgrove(通称 Snowboy)

私にとっては、バイブルであり、人物辞典のような一冊です。もしロンドンに来る機会があれば、この本に出てくるDJやダンサーの名前をきっかけに、
イベントを調べたり、MixcloudでDJの音を聴いてみたり、YouTubeでダンサーを探してみるのも面白いと思います。Facebookなどでつながって、
「この本に書かれていたことって、実際どんな感じだったんですか?」
と、少し掘り下げて聞いてみるのもひとつ。タイミングが合えば、実際に会いに行く、という選択肢もある。そんなふうに、本から現場へつながっていけるのが、この本のいちばんの魅力かもしれません。


無理に全部やらなくても、気になったところから、少しずつ。
UKジャズダンスの世界を、立体的に感じられると思います。

MUSIC INFO


「読んで理解するというより、聴きながらなんとなく掴みたい」人向け。

リアルなジャズダンスフロアやシーンで、実際にどんな音楽がかかっていたのか。その情報がたくさん詰まっているのが、FUSIONの歴史をダンサーの視点から綴ったウェブサイト『THE BOTTOM END』**です。

著者は、IDJのカリスマダンサー Gary Nurse の双子の兄弟で、ダンサーでありDJでもあった Seymour Nurse。当時のフロア感覚に根ざした選曲や、音楽への深い愛情が伝わってくる、貴重な情報源だと思います。

紹介されている音源は、基本的に FUSION寄り。「じゃあ、Bebopではどんな曲で踊られていたの?」という方のために、実際に本人たちにも話を聞きながら、Spotifyでプレイリストをまとめているところです。

文章だけでなく、音からシーンを感じたい人におすすめ。


さらにDIGしたい方、沼ってる方へ 


『Beyond the Bassline: 500 Years of Black British Music』(Mykaell Riley 監修 / Paul Bradshaw 編)

500年にわたる移動と音楽文化の歴史から、イギリスの黒人音楽カルチャーを辿る一冊。

UK JAZZ DANCERのオリジナル世代の多くは、British Black、つまり Afro-Caribbean にルーツを持つ人たちです。彼らの歴史やコミュニティの中で育まれてきた音楽的感覚や身体性が、UK JAZZ DANCEというスタイルの核になっていると感じています。

個人的な体験として、パーカッションの強い Afro-CubanLatin Jazz がかかった瞬間、ダンスフロア全体の反応が、まるで示し合わせたかのように
同じタイミングでグルーヴやエネルギーが立ち上がる場面に、何度も立ち会ってきました。

知っている曲かどうかは関係なく、身体が先に反応している感覚。それはきっと、育ってきたリズム環境や音楽との距離感が深く関係しているのだと思います。

そうした感覚から、UK JAZZ DANCERたちの輪郭が、もう少し見えてくるかもしれないと感じて、この本を読み始めました。まだ一部しか読めていませんが、時間をかけて、じっくり向き合いたい一冊です。


動画でわかりたい方へ Bebop VS Fusion

 
「もう、理屈じゃなくて。ただダンスが見たい。感じたい。」そう思う方へ。私も最初はまさにそうでした。

そんなときは、こちらをぜひ。
Brothers in Jazz VS  IDJの Gary Nurse、Marshall Smith が Lynne Pageとこの日のためだけに組んだ Back Street Kids による、TV番組でのダンスバトル。司会は Jerry Barry(IDJ)

バトルのダンサー達のスキルと熱と、周りの盛り上がりがグッときます!


それぞれのDANCER の背景

ダンスの名前や音楽のことを知るのも楽しいし、ただ体が反応するまま踊るのも、最高に楽しい。そのどちらかじゃなくて、「なんで自分はこれが好きなんだろう」とふと立ち止まったときに見えてくるものが、私はとても好きです。

音楽やダンス、人がつながった瞬間に生まれるクリエイティビティやエネルギー。今、私がダンスでいちばん惹かれているのは、技術やスタイルから見える、その背景にある人の生き方や関係性です。

誰かや音楽との出会いで心が動いたり、一緒に頑張る仲間ができたり。ダンスは、ひとりでは完結しないからこそ、深く、楽しくなっていくのだと思います。レジェンド達が、昔のことを、大好きな音楽のことを話すと少年のようにどの人も目が輝くのになんだか純粋さにすごく感動するんです。UK JAZZ DANCE, BEBOP, FUSION どんな感覚で踊っていたのか、どんな時代を生き、何を大切にしていたのか。知りたくなり今ロンドンに住んでいます。

始めたばかりの方が、今後、知りたくなったり、ルーツって?ってなった時に、参考になる ( 研究中で完璧ではありませんが ) 形としてアーカイブされてたらいいのかなあと、まとめてみたりしています。

始めたばかりの方が読んでくれた時に、長くて申し訳ないと思いつつ「このダンスって何なんだろう」と考えたり、わからないことがあったり、感じたりできること自体が、とてもいいことなんじゃないかな、とも思います。

また書いていきます。現場からは以上です。
ここまで読んでくれて、ありがとうございました。

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