旅ログ(長野県上田)──映画『わたのはらぞこ』をなぞる2日間 (2026.02)
始まり:スクリーンの向こう側へ
昨年12月、私のホームグラウンドである大宮の「OttO」で、一本の映画に出会いました。タイトルは『わたのはらぞこ』。
長野県上田市のゲストハウス「犀の角(さいのつの)」を中心に、現実と幻想が溶け合う物語です。
「ここは昔、海だった」
劇中の言葉と、主人公ヨシノの圧巻のラスト・ラップが心に焼き付き、いつか上田に行きたいと考えていました。そして今年、幸運なことに100年構想リーグで「AC長野パルセイロ vs RB大宮アルディージャ」のアウェイ戦が実現。この機会に、映画の舞台を巡る旅に出ることにしました。
Day 1:オレンジの誇りと、湯煙の夜
旅の始まりは、本来の目的であるサッカー観戦から。長野Uスタジアムでの激闘を終え、アドレナリンが残る中、夕暮れの上田へと車を走らせます。
17:00|室賀温泉 ささらの湯
映画でヨシノが訪れた別所温泉には行けませんでしたが、今回は地元で評判の「ささらの湯」へ。とろみのある良質なお湯が、遠征の疲れと冷えた体を芯から温めてくれました。

18:00|袋町の居酒屋「めめ家」
今夜の宿「犀の角」へチェックイン後、近所の居酒屋「めめ家」さんで晩酌。上田名物の「美味だれ(おいだれ)」焼き鳥をいただきました。ニンニクの効いたタレが絶品です。


20:30|犀の角(さいのつの)への帰還
映画のメイン舞台であり、今回の宿泊地。
チェックインしてベッドに横になると、試合の興奮が引いていく安堵感に包まれました。映画に出てきたドアを抜けると、そこはヨシノがラップをした劇場兼カフェ。
奇跡的なことに、映画のような会話をしている若者グループがいて、まるで自分も映画の中に入り込んだような不思議な感覚を味わいました。

ドミトリーなので客層は若く、中年である自分の身の置き場に一瞬迷いましたが、それすらも楽しい体験となりました。
Day 2:土地に積み重なる「時の記憶」を辿る
3月1日。映画の記憶を頼りに街を歩きます。
08:03 - 09:16|海野町商店街・柳町
「犀の角」で、映画にも登場したモーニングをいただきます。
宿を出てすぐの海野町商店街は、ヨシノが歩いた風景そのもの。柳町の古い街並みを歩き、劇中の「ニュービーナス」を探しました。日曜のためシャッターが閉まっており、気づかず通り過ぎてしまいましたが、あのメニューを食べられなかったことに少し後悔がよぎります。


そのまま散歩を続け、上田城跡から千曲川沿いへ。映画で印象的だった赤い陸橋を目指します。市内からは少し距離がありますが、堤防を横切り踏切を渡る道のりも含め、素敵な景色でした。実際に歩くことで街のサイズ感が分かり、あの時ヨシノがどう過ごしたのか、想いを馳せることができました。



09:15|上田映劇
市内に戻り、大正時代から続く劇場の前へ。
映画と同じ歴史ある建物を見ると、登場人物のヤンが布を広げていたあの場所に入ってみたくなりましたが、残念ながら朝のため入館はできず。外観を目に焼き付けました。

10:30|「かつて海だった」景色と無言館
映画の核となる「1400万年前、ここは海だった」というエピソード。
化石が眠る場所は見つけられませんでしたが、印象的だった「岩鼻(いわばな)」へ向かいました。その前に立つ道の駅で買い物をしつつ、塩田平へ。
もう一つの目的地、戦没画学生たちの遺作を展示する「無言館」も訪れました。こちらについては、別の記事を書いたのでご参照ください。

12:00|昭和亭で最後のランチ
長野の締めくくりは、やはり蕎麦。
探して見つけた「昭和亭」さんへ。おそらく矢沢永吉ファンと思われる店主が打つ蕎麦は絶品で、これまで食べた蕎麦の中で一番と思えるくらいの美味しさでした。


旅を終えて:自分自身の「休憩」
映画の感想で、私は「ヨシノにとっての休憩」について書きました。
実際に上田の街を歩き、犀の角に泊まり、この土地の歴史の重なりに触れたことで、私自身もまた、日常から切り離された深い「休憩」を得られた気がします。
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