心の揺らぎを抱きしめる
ピーベリーとフラットビーンの物語
君はふたつの心を持っていた
浮かんでは沈み 浮いてはまた潜ってゆく
それは打ち寄せる波のように
摑もうとしても 掴んだと思っても
掌からサラサラと溢れてゆく
僕はずっとひとりだったんだ
誰かといるよりも一人のほうが好きだった
寂しいなんて思ったことはなかった
でももう過去の話だ
君と出会ってしまったから
君がそこにいるのを感じるから
どうしてこんなにも
胸が苦しいんだろう
どうしてこんなにも
夜が長いんだろう
何処からか芳ばしい香りがする
その向こう側から 軋む水車のような
あるいは 器械の歯車のような
そんな音が聴こえてきた
僕は引き寄せられるように
その音のする方へと流されてゆく
小さな無数の泡と共に
影が浮かんでくるのが見える
君だ 君の影だ
さっきまで 深く深く 沈んでいた君は
僕と同じように
その香りと その音に
引き寄せられてきたんだ
僕らは磁石のように惹かれ合う
やがて よれ合い もつれ合い
そして 擦り合わさるようにして
螺旋状の渦の中へと堕ちてゆく
双極のふたつの心を持つ君と
重く閉じられた扉のなかの僕
今この瞬間にとけ合い弾け飛ぶ
その僅かな時間 永遠を感じる
ギュルルる ガリガリ
ギュルルる ガリガリ
砕かれた身体は細かく挽かれて
砂粒のような香りの粉となる
いつの間にか眠っていたようだ
ポタリポタリと雨粒で目が醒める
あたたかい雨が徐々に激しさを増す
その時気付いたんだ
僕はもう僕だけじゃないことに
君とひとつになる
僕らは分子レベルで液体となり
零れ落ちてゆく
赤褐色いろの薫る液体
人はそれを珈琲と呼ぶ
いつしか僕らは
深くて大きな
マグカップの海に
揺蕩っていたんだ
ブレンドの海
心は凪 無心だ
フルレットさんの呼びかけに応えて
創作してみました。
なんだかちょっと恥ずかしい作品になってしまいましたが照
お題からの閃きで考えるっていうのも楽しいなあって最近思っています。
これからも楽しい方へ
ふらりふらふらと漂っていこうと思うのです。
#なんのはなしです珈
🍀11/2 追記
朗読してもらいました!
なんだか心がゾワゾワして、照れくささと感動とが一気に押し寄せてきたのです。
初めての感覚。 凄いです。
是非聴いてください(^^♪
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