夕暮れ黄昏つれづれに
二つ目の角を曲がったら、その先の突き当たりを右に。暫く真っ直ぐに行った後、確か左に。あれ? なんだか行き過ぎたような気がして少し戻る。
確かこの辺りだと思ったんだけどな。
時刻は午後5時を過ぎたところ。
夕闇が迫る。暗くなるのが早くなったな。
秋は、いつの間にかこんな近くまで来ていたのか。
場所はうろ覚えだった。近くまで行けばその香りで気付くだろうと高をくくっていた。
路地裏にある珈琲のお店。手作りの焼き菓子も美味しいんだって。
仕事帰りに、たまたま入った本屋さんで、なんとなく手にした雑誌。
そこに凄く唆られる珈琲店の記事が載っていたんだ。
家からそう遠くない。3つ先の駅から歩いて15分位だろうか。
住宅街の道はどこを曲がっても同じような景色だった。
どこでどう間違えちゃったんだろう。
行けども行けども辿り着く気がしない。
やれやれと半ば諦めかけていると、道の両脇にある街灯に手前から順番に明かりが点った。
その瞬間フッと、沈みかけていた僕の心が軽くなるのが分かった。
また今度改めて来よう。そう思って駅の方へ戻る途中で、スっと視界の開ける場所に出た。
公園だ。なんだか見覚えがあるような。
そうだ、息子がまだ保育園に通っていた頃、来た事があるぞ。
元気が有り余っている息子のガス抜きをするために、当時はよく帰りがけにあちこちの公園に行ってたんだ。
ちょうど日が沈む時刻。
オレンジ色に染まる空。茜に滲む雲。
眩しさに目を瞑る。
あの日見た景色と同じだ。
夕日を背中に立ちすくむ君の姿。
そのシルエットが瞼の裏に映る。
あの日の君の影。
今の君の姿が重なる。
息子、大きくなったなあ。もうあれから5、6年も経つのか。

暫く物思いに耽っていると、辺りはすっかり暗くなっていた。
黄昏時、逢魔が時とも言われるこの時間帯。この世とあの世が交わる時間。心に闇が差し込んでくるようなザワつきを感じる。
今日はもうお家へ帰ろう。
妻と子供たち、愛する家族が待っているお家へ。
結局、珈琲屋さんには辿り着けなかったけど。
でもいいんだ。 それよりも、あの日の君に出会えたこと。
ジワジワと嬉しさと懐かしさとが胸に込み上げてきて
なんだか気持ちが満たされている。
家に帰ったらゆっくりコーヒーを淹れよう。
僕の焙煎した豆で。妻が好む深煎りの珈琲。
帰りの電車のなか、窓から見える流れる景色はもう夜のそれだった。
街の灯りをただぼんやりと見ていた。
次第に音が遠ざかっていく。微睡みの中へと。意識は一足先にお家へ飛んでいく。
ただいま。
玄関を開けるとドタドタと階段を駆け上がる音がした。
どうやら娘がプンスカしているらしい。
ケンカばっかりしている兄妹。すぐに仲直りするけれど。
おかえりなさい。
妻の声を聞いてホッとする。
コーヒー飲むかい?
数秒間が空く。
コーヒーよりビールが飲みたいな。
そうだよね、もうそんな時間だ。
プシュッとビールを注いで、お互いにグラスを傾ける。
おつかれさま。
ひと息ついて落ち着いたら
今日あった事を話そうか。
家族の日常。なんでもない一日の出来事を。

noteの街の路地裏にひっそりと佇む
そんなコーヒーのお店を目指しています
ページをリニューアルしたよ
新しいラインナップも追加したんだ
覗いて見てね
とても興味深い記事でした。
ワクワクしちゃいます☕️𓂃◌𓈒𓐍
そして僕も路地裏へ迷い込んでみたいと思ったのです。
ビール美味しかったけど、
やっぱりコーヒー飲みたかったな。
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