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閣僚会議を濫用する政府:国民監視は?

権力を「官邸」に集中させたことで、まるで2つの政府があるような状態になって久しい。


閣僚会議vs審議会

官邸にできた「会議」で進める政策について、国会側から尋ねると、その政策を所管する本来の省の官僚を連れ立って、内閣官房の官僚が説明に来る。そんな光景が国会議員の事務所で裏方をしていたときに頻発していた。今もおそらく、それは変わっていない。

官邸の会議のほとんどに、法的な根拠はない。
物事を動かしている(動かされている)のは、元の省庁だ。

たとえば、原子力関係閣僚会議はその一つ。

閣僚会議で原子力政策を左右するが、裏方は経産省だ。
影響を受けるのは国民。

本来、エネルギー政策決定プロセスで審議を担うのは、国会が定めた法律に基づいて設置される審議会だ。にもかかわらず、閣僚会議が実質決定し、その結論に合う審議委員が選ばれて、結論ありきで物事が進む。

市民参加はおざなり。昨今、日本はそんな国になってしまった。

国会の手が届かない、権力濫用構造

たとえば、では、法的な根拠がない原子力関係閣僚会議は何を根拠にできているのか。

根拠・構成を見ると、「原子力政策に関する重要事項に関し、関係行政機関の緊密な連携の下、これを総合的に検討することを目的」に、2013年12月13日、官邸主導で、閣議口頭了解で作られたものだとわかる。

権力の濫用に他ならない。
しかし、それが常態化し過ぎて、問題にされることも稀になった。

ちなみに、政策決定における市民参加に関する各政党への公開アンケートでは、この事態の是正について、各政党の見解を尋ねている。

(カ) 同閣議決定別紙4の「懇談会等行政運営上の会合の開催に関する指針」は、法的根拠を持たない懇談会等について定めたものです。「意見交換、懇談等の場として性格付けられ」、「答申、意見書等合議体としての結論と受け取られる」ことがないようにとの縛りをかけています。ところが、昨今、市民参加はもちろん、国会関与や法的根拠もなく設置された「有識者会議」や「タスクフォース」等、さらには「閣僚会議」等で政策変更を行うケースが見られます。このような行政裁量に依拠した政策形成手法には、縛りをかける必要があるとお考えですか

ご回答(はい/いいえ)
自由記述(                          )

地味な取材ノート「政策決定における市民参加に関する各政党への公開アンケート 」より抜粋

さて、今日の本題。

東京電力が閣僚会議で表明した「地域経済の活性化」

東京電力が昨日(2025年10月8日)、日経新聞電子版の記事「東京電力、新潟県向け基金1000億円規模 柏崎刈羽原発再稼働にらむ」について、「当社が発表したものではありません」と否定したとの情報を、今朝、新潟県の方からいただいた。

この日経記事には、「柏崎刈羽の再稼働へは原発立地自治体である新潟県などの地元同意が必要になっている。新潟県の花角英世知事は態度を明らかにしていない。基金を通じて継続的に支援する姿勢」だと書かれている。

東電発表を見ると、この記事を否定する中で、「当社は(略)、新潟県内の「安全・安心の向上」と「地域経済の活性化」に貢献していくことを、本年8月29日の原子力関係閣僚会議の場で表明し、現在、その内容について検討を進めて」いるが、報道内容を決めた事実はないとしている。
(新潟県議会から柏崎刈羽原発の取組について、意見を聞きたいと要請されたから社長が10月16日に出席するとも書いている。)

再稼働を推す閣僚会議

東電の言う原子力閣僚会議の議題を見ると、この日の会議は、政府をあげて、柏崎刈羽原発の再稼働を推すためのものだとわかる。

2025年8月29日原子力関係閣僚会議

再稼働のために東電と政府はカネ、ヒトを出す

資料1で、内閣府・経済産業省が「地元理解促進に向けた対応」を後押し。資料2で、東電が「新潟県内における新たな取組」を説明。記事にあるような基金という言葉はないが、「金を出します」というメッセージは伝わる。

2025年8月29日原子力関係閣僚会議 資料2

資料3で、原子力関係閣僚会議の下で「柏崎刈羽原子力発電所の運営に関する監視強化チーム」を開催することを決定。

法的な根拠を持たない閣僚会議が、さらにその下部に法的根拠のない組織を作る。柏崎刈羽原発再稼働のために政府が人(つまり金と時間)を出すのだ。政府内アナーキー状態とでもいうべきか。

2025年8月29日原子力関係閣僚会議 資料3
「柏崎刈羽原子力発電所の運営に関する監視強化チーム」

このような原発回帰の動きを作ったのもまた、官邸に造られたGX実行会議であり、本来の審議会はその決定に従った審議を行った。原子力規制委員会も、独立委員会としての機能を果たさず、なびいて、今がある。

三権分立の土台を立て直すために、コツコツできることをしていくしかない。アンケートに各政党が真摯に答えてくれることを今は期待している。

【タイトル画像】

2025年8月29日 原子力関係閣僚会議


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