Road to 後楽園ホール。「大きくなる」ことと、「強くなる」ことは違う。
昨日はPPPTOKYO新木場1stRING公演、ご来場いただいた皆様ありがとうございました。

正直な話、開催前日までは動員の苦戦も予想していました。それが蓋を開けてみれば、久しぶりの新木場1stRINGに250名のお客様。最後まで営業を続けた選手、スタッフの頑張り、そして直前まで足を運ぶことを検討してくださった皆様のおかげで、何とか一つの形に辿り着けた興行だったと思います。
新宿FACEや川崎とはまた違う空気がありました。
新木場1stRINGという会場は、やはり「試合」という料理そのものをしっかり味わうお客様が多い。ノリや勢い、バイブスだけで押し切るのではなく、プロレスリングそのものの質、試合の積み重ね、カードの意味が会場の熱に直結する印象があります。


盛り上がり方にも会場ごとの性格があります。最初から一気に爆発する会場もあれば、試合を追うごとにじわじわ温度が上がっていく会場もある。今回は他団体の選手に多く参戦いただき、日曜日開催だったこともあって、普段とは違う客層の流入も感じました。
この新しく触れてくれた方々が、次もPPPTOKYOを選んでくれるのか。
結局、ここが重要なのだと思います。
一度来てもらうことと、好きになってもらうことは違います。満員の興行を一度作ることと、満員を作り続けられる団体になることも違います。
この違いについて、最近よく考えます。
11月26日には後楽園ホール公演があります。

当然、満員を目指します。その先に描いている景色もあります。
ただ、大きな会場を借りれば団体が大きくなったことになるのか。有名な選手を招聘し、豪華なカードを組めば成長なのか。売上が2倍になれば、会社は2倍強くなったと言えるのか。
そんなに単純ではありません。
規模が大きくなれば、必要な経費も増えます。選手へのギャランティ、制作、映像、広告、人件費、会場費。興行の見栄えを良くし、内容を充実させようと思えば、いくらでもお金をかけることができます。
PPPTOKYOも以前より、選手や制作にかける予算は確実に増えています。これから新宿FACE最終公演、そして後楽園ホールへ進めば、さらに必要な資金は大きくなる。
ここで大事なのは、「売上が増えること」と「会社が強くなること」は同義ではない、ということです。
100万円を使って120万円を売り上げるのと、30万円を使って80万円を売り上げるのでは、見える景色が違います。売上だけなら前者が大きい。しかし、利益、再現性、リスクまで考えれば、単純な比較はできません。
興行も同じです。
一度だけ後楽園ホールに1200人を集めることと、1200人を集められる団体になることは別の話です。
昨日の250人と、11月の1200人は別の数字ではありません。新木場に来てくれた一人、川崎に来てくれた一人、SNSで初めてPPPTOKYOを知った一人。その積み重ねの延長線上にしか、後楽園ホールの景色は存在しません。
1200人という数字は、一人のお客様が1200人いるだけです。
当たり前の話ですが、経営をしていると、この当たり前が一番重く感じます。
だから最近、自分の中では「大きくすること」と「強くすること」を分けて考えるようになりました。
PPPTOKYOを大きくしたい。それは間違いありません。
ただ、その前にPPPTOKYOを強くしたい。
そのために、自分たちなりの「箱庭」を少しずつ作っていきたいと思っています。
プロレス興行があり、選手がいる。LittlePartyがあり、プライムレッスルアカデミーがあり、PARADISE CLINCHのような小さな挑戦もある。スポンサー、グッズ、イベント、配信、SNSもある。
一見すると別々の事業に見えますが、本来はすべて繋がっているはずです。
プロレスを見た人が選手を好きになり、その選手に会えるイベントへ行く。イベントをきっかけに団体を知った人が、今度は興行へ来る。選手の物語に共感した企業がスポンサーになり、その企業の商品をファンが知る。
そうやって小さな循環が生まれていく。
経営の言葉で言えば「エコシステム」に近いのでしょうが、自分には「箱庭」という表現の方がしっくりきます。
大きな一本柱を作るのではなく、小さなものを丁寧に配置し、それぞれが支え合いながら一つの世界を作る。
興行という商売は不安定です。
選手の怪我もあれば、天候もある。カード変更もある。SNSの流れも景気も変わる。
だからこそ、一つの大会、一人のスター、一つの収益源だけに依存しない団体を作りたい。
それが、自分にとっての「強い団体」です。
前回のnoteで『仙女魂』について書きました。
あの記事を書きながら改めて感じたのは、人は試合という単体のコンテンツだけを見ているわけではない、ということです。
団体の空気、選手同士の関係性、夢へ向かう過程、成功も失敗も含めた時間。その全体を好きになった時、人は一試合の勝敗を越えて団体と関係を持つようになる。
PPPTOKYOも、そこをもっと強くしていかなければならないと思っています。
だから「Road to 後楽園ホール」は、11月26日に1200人を集めるためだけのキャンペーンではありません。
後楽園ホールを満員にできる組織へ成長する、その過程そのものです。
昨日の新木場も、8月6日の新宿FACE最終公演も、川崎の小さな興行も、行徳での新しい挑戦も、一枚のチケットを案内することも、全部同じ道の上にあります。
経営は、遠くと近くを同時に見なければなりません。
未来の大きな景色を描きながら、目の前のチケットを一枚売る。ブランドの未来を考えながら、今月のキャッシュフローを見る。選手に夢を見せながら、その夢を継続できるだけの利益を残す。
完全なる手弁当零細企業なので、その両方を毎日考えています。
物語のあるマッチメイクを組みたいプロモーターとしての自分と、その予算をどう回収するのか考える経営者としての自分が、頭の中で喧嘩することも珍しくありません。
選手にはもっと還元したい。スタッフにも還元したい。映像も広告ももっと良くしたい。同時に、会社には次の挑戦をするための体力を残さなければならない。
おそらく、小さな会社を経営している方なら、この感覚は分かってもらえるのではないでしょうか。
会社が大きくなれば楽になると思っていたら、次のステージには次の課題がある。経営に完成はないのだと思います。
11月26日の後楽園ホールも、きっと同じです。
仮に満員になっても、その翌日には「この景色をどう次に繋げるか」を考えているでしょう。
だから、成功してから「あの頃は大変だった」と語るだけではなく、まだ何者にもなっていない今を残しておきたいと思います。
昨日の250人は、ゴールではありません。
ただ、確実な一歩でした。
大きな夢は、大きなことを一度やったから叶うのではなく、小さなことを途方もない回数積み上げた先に現れるものだと思っています。
11月26日、その日に突然PPPTOKYOが大きくなるわけではありません。
今日まで積み上げてきたものが、一つの景色として現れるだけです。
だから未来のために、今を積み上げる。
一人のお客様を大切にし、一つの興行を丁寧に作り、小さな事業を育て、選手一人ひとりの価値を高める。
「大きくなる」より先に、「強くなる」。
昨日の新木場1stRINGも、そのための大切な一日でした。
Road to 後楽園ホール。
まだまだ、ここからです。
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このnoteでは、PPPTOKYO代表としての日常やプロレス業界の考察はもちろん、団体経営・ブランディング・人材育成・マーケティングなど、「プロレス」というフィルターを通して見えてきた仕事や人生の本質を、自分なりの言葉で綴っています。
プロレスファンの方はもちろん、経営者やビジネスパーソン、何かに挑戦している方にとっても、少しでも気づきや学びのある記事を届けられたら嬉しく思います。
PPPTOKYOは、「人生という物語が投影できるリング」を創り続けます。
このnoteもまた、その物語の一部です。
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今後とも、PPPTOKYOならびに三富兜翔をよろしくお願いいたします。
