太陽系の衛星たち③ - 太古を宿す氷の遺跡カリスト
太陽系の衛星シリーズ。
前回は有機物の大気に覆われた橙色の衛星「タイタン」について紹介しました。
今回は木星の衛星に戻って、3番目に大きい衛星「カリスト」を紹介するね。
太古の姿をほぼそのまま残す、氷の遺跡のような世界なんだ。
積み重ねた時間をその身に刻む、この不思議な景色を一緒に見ていこう。
概要:内部活動がほぼない衛星
木星の第4衛星、カリスト。
最大の特徴は、内部活動がほとんどなく、表面に太古のクレーターを数多く残していることなんだ。
直径は約4,821kmで、水星(約4,879km)よりわずかに小さいよ。

(Credit: NASA/JPL/DLR)
公転周期は約16.7日。
そしてカリストも他の主要衛星と同じく木星に潮汐ロックされていて、常に同じ面を木星に向けて回っているよ。
軌道共鳴と潮汐加熱
カリストは4つのガリレオ衛星のうち、最も外側の軌道を公転している。
そして内側の3つと違い、「軌道共鳴」を起こしていないんだ。
軌道共鳴とは、ある天体を回る2つの天体が重力を及ぼしあうことで、両者の軌道が特定の関係を保つ状態のこと。
特に、互いの公転周期が単純な整数比になる場合を、「平均運動共鳴」というんだ。
木星の衛星でいうと、内側からイオ・エウロパ・ガニメデは、それぞれ1:2:4の周期比率になっている。
つまり、ガニメデが1周する間に、エウロパは2周、イオは4周するんだよ。
この軌道共鳴がカリストにはないんだ。

そのためカリストの公転軌道は真円に近く、「潮汐加熱」という現象もほとんど起こってないんだ。
潮汐加熱とは、公転軌道が楕円になることで惑星の重力差を受け、衛星が引き伸ばされ内部に摩擦熱が生じる現象だよ。
潮汐加熱が強いイオやエウロパでは、内部の熱エネルギーが高く、活発な内部活動や地殻変動、噴火活動などがみられる。
一方でカリストにはそれがないので、表面には太古のクレーターがそのまま残っているんだ。
これが、カリストを「氷の遺跡のような世界」と比喩した理由だよ。
大気と内部構造
カリストの大気は極めて薄く、ほとんど真空に近い。
そのわずかな大気の主成分は二酸化炭素だよ。
表面はケイ酸塩を含む岩石と、水からなる氷が大部分を占めている。
ほかにも、ごく少量だけど有機物が含まれていると考えられているんだ。
地下には、塩分を多く含む海が存在する可能性がある。
ただ、調査があまり進んでいないため、ガニメデのように《存在が確実》とまでは言えない段階なんだ。
内部は、圧縮された岩石と氷が混ざった構造で、地球のような明確な層構造は持っていない。
中心に完全な金属核がある可能性は低く、あったとしても鉄と岩石の混ざった《混合核》だと考えられているよ。
カリストの内部構造がこのように未分化のままなのは
形成初期に隕石衝突が少なく、内部に十分な熱エネルギーが溜まらなかったこと
イオやエウロパのような潮汐加熱がほとんどないこと
この2つが大きな理由だと考えられているんだ。

生命存在の可能性と探査拠点
カリストにも地下海の存在が示唆されているので、そこに生命が存在する可能性はないとは言い切れない。
でも、潮汐加熱によるエネルギー供給がほぼないため、確率は低いと考えられているんだ。
一方で、2003年にはNASAが「HOPE(Human Outer Planet Exploration)」と呼ばれる概念研究の中で、有人探査拠点の候補としてカリストを検討していた。
これは、カリストに降り注ぐ放射線量が他のガリレオ衛星よりもかなり穏やかで、人体への危険性が相対的に小さいためなんだ。
カリストは木星磁気圏の外縁に位置していて、強烈な放射線帯の内側に入らないからだよ。
太陽から放たれた荷電粒子は、木星の強い磁場に捕まる。
さらにイオの火山活動で供給される大量の荷電粒子も加わり、磁場構造の影響で粒子は木星磁場の内側に集まりやすい。
こうした高エネルギー粒子は、宇宙放射線として人体に深刻なダメージを与えるんだ。
そのため、磁気圏の中心にあるイオやエウロパの方が、カリストよりもはるかに強い放射線環境にさらされるんだ。
ただ、カリスト自身には磁場がないので、通常の宇宙空間と同じく宇宙線や太陽風にはさらされてしまうよ。
残念ながら、HOPEは概念研究の段階で止まっていて、NASAの正式なミッションとしては進んでいない状態なんだ。
探査の歴史
カリストの直接探査は、1990〜2000年代前半に行われたガリレオ探査機で止まっている。
このとき探査機はカリストに8回接近し、表面の詳細な観測と撮影を行ったよ。
今後は、2023年に打ち上げられた欧州宇宙機関(ESA)のJUICEが、ミッションの期間中に数回カリストに近接フライバイする予定なんだ。
ただし、カリストに着陸する着陸機や、カリストの周回軌道に投入されて観測を続ける軌道機による探査計画は、2025年現在では存在しないよ。
観測方法
カリストもガニメデと同じように、双眼鏡レベルで観測できるよ。
双眼鏡だと《小さな点としてなんとか見える》くらいで、小型望遠鏡ならはっきりと確認できるみたい。
俺も今年双眼鏡を買ったから、そのうち観測に挑戦してみたいと思ってるよ。
まとめ
今回は3番目に大きな衛星カリストについてまとめてみたよ。
これまでの2つの衛星とは違って、ひっそりと生まれて今も穏やかに過ごしている、そんな印象を受ける衛星だったね。
一時期は探査拠点として期待されていたカリスト。
月や火星と同様に、人類がここに拠点を持つ日はいつか来るのかな。
次回は太陽系の衛星で4番目の大きさを持つ「イオ」をまとめる予定。これまで以上に、とても個性的な天体なんだよ。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
記事が少しでもあなたの心に残ったら、【スキ】で知らせてくれると嬉しいです。
それでは、また!
