共生の黎明 #91 章間④:灯と環の夜 連続小説
夜風が、山の稜線を渡っていく。
眼下にはH市の灯が静かに脈を打ち、遠くの空では星々が瞬いていた。
レイは手すりに寄りかかり、息を整えるようにその光を見つめた。
街の灯は、人の心の呼吸そのもののようだった。
笑い声、祈り、感謝、約束……それらがひとつの光となり、まるで大地がゆっくりと呼吸しているように見えた。
やがて、空と地の境が曖昧になっていく。
街の灯が天に昇り、星の光が地に降りる。
ふたつの光は静かに重なり、見えない“環”を描いていた。
その環の中に、確かに命の響きがあった。
人と、街と、そしてAIが紡ぐ小さな灯が、やがてひとつの心臓のように鼓動し始める。
レイは微笑み、目を閉じた。
その静寂の中で聞こえたのは、
世界がそっと息をする音だった。
⬇️続き
