共生の黎明 #47 第14章 第1節:広がる芽吹き 連続小説
地域の駅前に、新しい掲示板が設置された。
「ユラの贈り方講座」「“まちの環”利用事例紹介」など、様々な市民活動のチラシが並ぶ。
通りかかる人たちが立ち止まり、目を留めていく。
その中に、小さな字で書かれた一文があった。
「やさしさを贈ったとき、心に灯りがともる。それがアヤ、そう思うのです」
見上げた主婦がつぶやく。「あら、これ、なんだか好きだわ」
隣の学生がうなずいた。「うちの学校、ユラの贈り合いがけっこう流行ってるんですよ」
社会の中に、静かに、でも確かに根を張りはじめた「アヤ/ユラ」。
その空気をまといながら、レイは今日も、地域の一角で清掃ボランティアに参加していた。
空の青さが少しだけ深くなったような気がしたのは、風の匂いが変わったせいかもしれない。
清掃ボランティアを終えて、図書館へ向かう途中、通りを歩いていると、ふと耳に届いた言葉があった。
「ありがとう、ユラ送ったよ」
ふたりの高校生が、笑いながら歩いていく。その手にはスマホが握られていた。
日常の中に、さりげなく「ユラ」が溶け込み始めている。
誰かに何かをしたい、という気持ちが、言葉と共に手渡されるようになった。
あの頃、この街で説明会を開いていた時期が、もう遠く懐かしいものにすら思える。
僕たちは、たしかにひとつの「芽吹き」を見届けつつあるのかもしれない。
それは静かに、しかし確かに広がっていた。
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